見出し画像

青空ーすべてはバランス

自律神経とは!-part4 ホルモンとの関係(血糖値の調整)

自律神経系はホルモンとも協調して重要な働きをしています。

血糖濃度が基準値以下に大きく下がることは、生命にかかわる危険性を有していますが、こんなこと日本人の多くの人は関係ないかもしれません。ぜいたくな食事をして、どうやって血糖値を下げるかで悩んでいるから。
でも、体はどちらであっても、大きく基準値を上回ったり下回ったりすると命にかかわることになります。
正常値は、0.1%。血液100ml中に約100mgのグルコース(ぶどう糖)が含まれている状態です。100mg/100ml=100/100000

人間の体は、血糖濃度が正常よりも異常に低くなった場合の対処方法を複数持っています。食糧が得られないことを想定した体の危機管理が徹底しています。人間の長い歴史の中で築き上げられてきたのでしょう。その歴史がどんなに過酷なものであったかを物語っていると思わざるを得ません。

今回はこのメカニズムを理解しようと思います。


上図の右側を見ると、血糖濃度が増加した場合よりも減少した場合の対処方法の方がいくつもあることが分かる。そして、それはより多くの複数のホルモンがかかわっている。私たちの体は、血糖濃度が減少した場合を第一に考えているから、糖尿病だのなんだのと私たちが心配している感覚とずれがある。
さて、人の体は、70mg/100ml以下の血糖濃度にならないように調整されます。

血糖濃度が減少すると?

第一・第二のルート
・血糖濃度が減少した血液が「間脳」の「視床下部」に流れ込むと交感神経を通じて、膵臓のランゲルハンス島A細胞に指令が下り、ホルモンのグルカゴンの分泌を促進します。
・交感神経からは副腎髄質にも指令が出される。そして、ホルモンのアドレナリンの分泌が促進される。

グルカゴンアドレナリン肝臓や筋肉に作用して、グリコーゲンをグルコース(ぶどう糖)に分解する反応を促進します。

どういうこと?
グリコーゲンは、グルコース(ブドウ糖)がたくさんつながった高分子(重合体)で、いつもは肝臓や筋肉に蓄えられているから、不足する場合は分解して取り出してエネルギーにすると考えればいい。過剰になるとその逆で、グルコースをグリコーゲンに合成して貯蔵すると考えればいい。

第三のルート
・血糖濃度が減少した血液が間脳の視床下部に流れ込むと、放出ホルモンが分泌される。このホルモンの働きにより脳下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促進され、副腎皮質からホルモンの糖質コルチコイドの分泌が促進される。
この糖質コルチコイドはタンパク質からグルコースを作る反応=タンパク質の糖化を促進する。

第四のルート
・膵臓のランゲルハンス島のA細胞は、低血糖を独自に感知し、グルカゴンの分泌を促進します。もし、交感神経からの伝達がない場合でも対処できるようになっています。

第五のルート
・他のルートに異常があれば、交感神経は直接肝臓に作用して、グリコーゲンをグルコースに分解し、血糖濃度を高めることもできます。

血糖濃度が増加すると?

第一・第二のルート
・順番を間違えておいしいご飯を真っ先に口にしました。グルコース(ぶどう糖)がたくさん溶けた血液が流れます。血糖値がグーンと上がります。血糖濃度が増加した血液が「間脳」の「視床下部」に流れ込むと副交感神経を通じて、膵臓のランゲルハンス島B細胞に指令が下り、ホルモンのインスリンの分泌を促進します。
膵臓に流れ込んだ血液で血糖値が上昇していることを感知したランゲルハンス島のB細胞は独自にホルモンのインスリンの分泌を促進します。

インスリンは、血糖濃度を低下させようと、筋肉や脂肪組織内にグルコースを取り込んだりグルコースを細胞の呼吸のエネルギーとして使ったりします。
さらに、肝臓や筋肉でグルコースからグリコーゲンを合成する反応を促進します。

第三のルート
・副交感神経は直接肝臓に作用して、グルコースからグリコーゲンを合成する反応を促進します。

なんとまあ人間の体の働きのメカニズムはすごい!感嘆する!
食後、デンプンなどの炭水化物がグルコースなどに消化(分解)され、血液中に流れ込み血糖濃度が上がりグルカゴンなどの分泌量が増加状態になっている。すると今度は血糖濃度を下げるインスリンの分泌量が増加し、グルカゴンの分泌量が減少する。常にこのような調整がなされていく。

怖い病気!

血液中のグルコース量が過剰になり血糖濃度が高くなり、上記のような血糖濃度調節機能が働かず、高血糖状態が続くと糖尿病になる可能性がある。この病気はひどくなると腎機能不全、失明、四肢の組織の壊死など非常に怖い症状が出る。高血糖による毛細血管の損傷が原因とされる。

Ⅰ型糖尿病・・・膵臓のランゲルハンス島のB細胞が自己免疫によって破壊され、インスリンが分泌されない病気。
Ⅱ型糖尿病・・・生活習慣病と言われ、B細胞は存在するけど、インスリンの分泌が少なかったり、インスリンの標的細胞に異常があったりして、血糖濃度を下げるインスリンの働きがうまく機能しないために起こる。

体は適度な環境で働きたいだろうなぁ!!!と思います。しかし、人間の欲望はそんなこと知ったことか!でしょうね。
自律神経系とホルモン、膵臓・・・協調とバランス。何通りもの対処システム。恐れ入りました。

A細胞・B細胞は、膵(すい)臓にある内分泌器官ランゲルハンス島にある。消化液を分泌する外分泌器官の中に、海にたくさんの島が浮かんでいるように内分泌器官が存在するため、発見者の名前=ランゲルハンスと島とを組み合わせて呼ばれている。
ランゲルハンス島の1個の直径は0.1mmほどで、全部で約100万個あります。グルカゴンを分泌するA細胞、インスリンを分泌するB細胞、ソマトスタチンを分泌するD細胞があり、B細胞が75〜80%を占めます。 
注:ホルモン
膵臓のA細胞ーグルカゴン=グリコーゲンの分解を促進し、血糖濃度を上昇させる。
膵臓のB細胞ーインスリン=グリコーゲンの合成と組織での糖の消費を促進し血糖濃度を低下させる。
副腎の髄質ーアドレナリン=心拍数の増加。グリコーゲンの分解を促進し、血糖濃度を上昇させる。
副腎の皮質ー糖質コルチコイド=タンパク質からの糖の合成を促進し、血糖濃度を上昇させる。
脳下垂体 前葉ー副腎皮質刺激ホルモン=副腎皮質の発育・機能促進。糖質コルチコイドの分泌促進。
間脳 視床下部ー放出ホルモン=脳下垂体のホルモン分泌の促進。


参考

青空ーすべてはバランス - にほんブログ村

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「生活・文化ー健康・体ー自律神経」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事