WILD THINK

ラテン楽団「Orquesta de WILD THINK」のバンマスが、日々思うことをダブワイズ

[連載小説] 五反田アポロシアターマンデイスペシャル 其の4「逃避」

2011年08月22日 | 小説 G.A.M
性風俗店に並々ならぬ興味があるが、未経験。色街五反田の真っ昼間、入ろか辞めとこか考え中。今時のシャイネス青年サラリーマンの葛藤をここに描く。
●これまでの話

午前10時50分
ブラウザには「五反田 アポロシアター 3,000円」のヒット画面。
男は検索最上位「五反田ハイパー激安サロン アポロシアター」のトップページにリンクした。
「ようこそアポロシアターへ 18才以上Enter」
男は、躊躇なくEnterボタンをクリックした。検索とクリックは男の得意分野であった。
そこには、、、

男ははたと気づき回りを見回した。
「こんな時間(昼前)にこんな場所(五反田)で風俗のサイトを見ているなんて、しかもスマフォで、、まるでオレはバカではないか」
男は突如周囲の目が過剰に気になり、iPhoneの画面をさり気なく胸元に当て、できるビジネスマンが重要な商談について考えごとをしながら着信を待っている様子を演出しようとした。


ところで、男は外見には気を使う。
スーツはバーバリーブラックレーベルかポールスミスだし、
時計はタグホイヤーだし、
髪の毛には必ずムースをつけるし、恵比寿の美容室で月イチでカットするし、、
[イメージ図]

しかし、いつの日か、
このスーツがアオキかアオヤマなら、
この時計がカシオなら、
この髪を近所の近所の床屋で切れば、
その差額で何度、風俗に行けるのだろう、オレは。
と思うようになってきたのだった。

モテるため、果ては数多くの女性と肉体関係を交わすために、男はビジュアルに投資してきた、結果、彼は結果がついて来なかったのだった。
しかも、結果を出すための方策、しかも多少の投資さえすれば可能な、つまり風俗、を知っていながらも、男は高価な衣服や宝飾品に投資を続けてきた。
手を伸ばせば届く成果を知りながらも、それに背を向ける行為を、男は一種の逃避である、といつの日か認識するまでに至ったのであった。


たぶん、つづくっぽい


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