「見分けがつかない!」陸小鳳は言った。
緑の長衫の老人は、杯を持ってゆっくりと口に運び酒をすすった。彼の杯を持つ手は、痩せこけて干からびまるで鳥の足のようだ、そして、四、五寸の長さに伸びた爪は、深緑色をしている。
陸小鳳は見たことも無かった。
老人は「おぬしはまだ見分けがつかないのか?」と聞いた。
「見分けなどつかない!」
老人は冷たく笑いながら、ゆっくりと立ち上がり、みんなの前で着物の胸元に刺繍された、絶世の美女のような美しい顔立ちの一つの顔を見せた。
彼はみんなの前にまっすぐ立って、着物の上の刺繍が、事も有ろうに人の首に、体は蛇、蝙蝠のような翼を持った不思議な獣だと言う事に、気が付くのを待った。
皆は、この獣の由来は知りえないが、この獣は、服の上に施された刺繍なだけにもかかわらず、それを見た人は、直ちに口では言い様の無い寒気が、心の中から起こり、身震いする事を我慢できなかった。
陸小鳳は見ないつもりのようだ。
緑の長衫の老人は「もう、おぬしにも見分けがついたであろう?」
「まだ、解からん!!」陸小鳳は叫んだ。
。。。。。。。。。つづく