春を感じる時ってどんな場面なんだろうと考える。
一般的に人がそれを思うのはやはり桜が咲いた時だろうか。ちらほらと花びらを見せ、その二分か三分咲きを見て、人は春だなあと思うのかもしれない。そして、満開になると春気分もそれに比例して満ちてくる。
また案外一面の菜の花畑を見ると春だなと感じる人は多いようだ。
ただ近年めっきりそういう場所が少なくなってきたので、ますます今後は菜の花を見ての春は遠のくばかりかもしれないけれど。
町行く人の服装が軽くなるのを見て、春を感じることも多い。
特にご婦人は春の先取りが上手だから、私も町中を歩いていてついうっかりと見とれてしまう場合がなきにしもあらず。そんな時は車や人のすれ違いには気をつけなければと自分を戒めている。
わが家の庭に目を移すと、やはりその筆頭はヒメリンゴの花だろう。これは梅や桃や桜がわが家にないからという理由からではない。
白い花びらをたくさん付けて、今を盛りと咲き誇っている。今朝初めてその花びらを少しばかり散らしはじめたヒメリンゴ。
春に淡紅色の蕾を付け、やがて白い花を咲かす。
秋には実を成らし、大玉は食べられると聞く。日当たりや水はけ、通風の良い所なら比較的栽培に手はかからず、冬の寒さにも強い。変産地は日本、中国など。
花言葉は誘惑、名声という。
その真っ白い花弁はまるで純白な汚れを知らない乙女のようだ。そういう健気な花が私は好きだ。
「姫りんご」と最初に言った人はどんな人なのだろうかと想像してみる。
今年も咲いてくれてありがとうとまた白い花びらに言っている。
「季節の花(11)白い花びらに春を感じるヒメリンゴ」
咲く花は毎年同じように見えるけれども
それを見る人間の方は同じではない
「代白頭吟(だいはくとうぎん)」の一節より
劉 希夷(りゅう きい)