建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

山田恵美 他:自由遊びにおける園児の活動規模と遊びの種類 およびコーナーの型に関する研究

2012-03-14 11:35:41 | 書架(こども関係)

自由遊びにおける園児の活動規模と遊びの種類

およびコーナーの型に関する研究

山田恵美、佐藤将之、山田あすか

日本建築学会計画系論文集 第637号,151-156,2009年3月

 

1)    研究背景・目的

こどもたちの主体的な活動を引き出す「環境による保育」の重要性が謳われているなか、教育的意義についてメリットの多いコーナーづくりはより重要になると考えられる。一方で、こうしたコーナーづくりは保育上や教論の経験によるところが大きく、その手法は体系化されていない。

本研究では、幼保一体型施設において、園児たちの活動実態を詳細に観察することで、設えられた空間と実際のこどもの活動における人数規模および空間規模との関係を探ることを目的とする。また本稿は、遊びに必要な空間の規模や型を導き、人数規模に応じた空間規模の設定、遊びの内容にふさわしいコーナーづくりの資料とすることを目指す。

 

2)    調査概要

幼保一体型施設の中から特徴の異なる3つの園を選定し、観察調査を実施した。

年齢は友達と一緒に遊ぶことの多くなる3歳から5歳児とし、保育室とその周辺での活動を対象とした。

 

3)    まとめ

本研究では、活動の内容と活動の際に空間をどのように用いるかという「活動空間型」および活動の人数規模、活動面積に着目した。その結果、活動空間型は10種類の型に類型化され、設えられた空間(コーナー)と実際に使われていた空間(活動空間)の間には、ずれが生じる場合があることも確かめられた。活動面積に対する設定されたコーナーの大きさについては、概ね十分な広さを有していた。一方で、活動範囲がコーナーからはみ出したり、コーナーの外で活動が展開する事例などもみられた。コーナーづくりには単純な面積だけでなく、こどもが設えとのつかず離れずの距離感を保って活動していることも考慮する必要性がうかがえた。

活動の人数規模と活動面積に関する分析からは、こどもにとって自然な活動形態として、人数規模では6人までの集団で活動すること、また活動規模については2畳より1回り小さいくらいまでの空間があれば十分であり、さらに遊びによってはもっと小さな空間が好まれることも分かった。今回の分析からは特定の活動空間型で展開される遊びと、様々な活動空間型で展開する遊びがあることが示されたが、これらはその遊びやコーナー型のもつ特性を表しており、想定する遊びの種類活動空間型、そして活動規模の組み合わせを総合的に吟味してコーナーの設え方を決めていくことが求められるだろう。

 

4)    感想

コーナーの教育的な意義が最大限活かせるつくりかたを考えていくことは、有用性があって面白いと思いました。コーナー別のはみ出し距離など、具体的な数値が出されているところが特に面白かったです。

 

黒巣光太郎


最新の画像もっと見る

コメントを投稿