❖ 宝積山無動院光前寺
中央自動車道「駒ヶ根インターチェンジ」から車約3分、中央アルプス山麓に広がる「宝積山(ほうしゃくざん)無動院(むどういん)光前寺(こうぜんじ)」は、天台宗信濃五山に数えられた比叡山延暦寺末だ。本尊は「大日如来(だいにちにょらい)」の化身とも言われる「不動明王(ふどうみょうおう)」で、天台宗「別格本山」の寺院だともいう。
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四大絵巻物とされる国宝「伴大納言絵詞」の題材で、大伴氏没落と藤原氏摂関政治確立のきっかけとなった事件とされる866(貞観8)年の「応天門の変」と同時代の860(貞観2)年に、第3代天台座主「円仁(えんにん)慈覚大師(じかくだいし)」の弟子「本聖上人(ほんじょうしょうにん)」によって開基されたとする。時代は、905(延喜5)年奏上の「古今和歌集」や935(承平5)年頃の成立とされる「土佐日記」、あるいは10世紀半ばまでの成立とされる「竹取物語」などから遡ること半世紀から1世紀前のことだ。
梅雨の切れ間の湿潤な空気が、緑深き山の寺をつつんでいる。春の華やぎからまもなく3ヶ月、今は訪れる人も途切れた境内で、慎ましく咲く花が、安らぎを与えてくれる。
❖ 養命酒 ハーブの庭
中央自動車道「駒ヶ岳スマートインターチェンジ」から車約3分の「養命酒製造 駒ヶ根工場」「養命酒健康の森」へのエントランスゲート手前(東側)に2019(平成31)年4月25日「養命酒ハーブの庭」としてオープンした薬草園は、中央アルプスと南アルプスへの眺望がひらける中で、「薬用養命酒」に含まれている生薬(14種類のうち10種類)を観賞用に栽培するなど約160種の薬草や花を、春から秋に間近で楽しめることを目指しているという。
「薬用養命酒」に含まれる生薬を観賞用に栽培する「養命酒 ハーブの庭」では、梅雨空の湿潤な空気につつまれる今日も、手入れが続けられている。