A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

若手のスタジオワークのメンバーがストレートなジャズをやると・・・・・

2007-12-21 | CONCORD
Good Stuff / The Grant Geissman Quintet

スコットハミルトンを世に出したConcordは、基本的にベテランの再デビュー&再発見を得意としていた。ハミルトンのような若手を、本当の意味での新人の発掘というのは行っていなかった。というか、ジェファーソンのコンセプトに合うような若者がいなかったということだろう。その意味でも、スコットハミルトンは例外中の例外だったのかもしれない。
ところがハミルトンの成功に気を良くしたのが、同じような新人のデビューアルバムを企画して出した。奇しくもハミルトンノ2作目に続けて。

主役はギターのグラントガイスマンだ。
ところが、このガイスマンとハミルトンは丁度正反対、現代的なセンスの若者だ。演奏スタイルも時代の流行を取り入れた普通の若者である。今までのコンコルドでは考えらないような人選で、コンコルドもいよいよ拡大路線を始めたのかとも思わせる一枚だ。

そもそもガイスマンの、コンコルドのアルバムデビューはこれが初めてではない。
ルイベルソンのコンビに加わって、’76年のConcord Jazz Festivalに出演している。
メインストリームの演奏であるが、彼のスタイルは完全に今風のサウンドを聞かせてくれる。
ルイベルソンは自らビッグバンドを率いていたがジャズの教育にも熱心だった。そのためでもあろう、自分のグループにはベテランだけでなく新人も起用していた。その中の一人がガイスマンだ。
ガイスマンとコンコルドの接点はこんなところだったと思うが。このガイスマン、実はこの頃、76年の後半にはトランペットのチャックマンジョーネのグループに加わって、New Yorkでの満員札止めになったコンサートにも一緒に参加していた。そして、マンジョーネの有名なアルバム“Feels So Good”にも参加している。このアルバムが作られた前後だ。

ベースのMAGNUSSONはバディーリッチのオーケストラにも参加、ドラムのSCHAEFFERはあのハーブアルパートのグループにも参加していた。コンコルドではバドシャンクのアルバムにも参加していたメンバー。そして、サックスには、最近ビッグバンドで有名になっているゴードングッドウィンが参加。
ガイスマンだけでなく当時の西海岸で多方面で元気に活躍していた若者達がこのアルバムの主役だ。

演奏の方は、マイルスのオールブルースから始まる。B面はウェスの演奏で有名なロードソング。スタンダードのシャドウオブユアスマイルもあるが、半分はガイスマンやグッドウィンのオリジナルも。最後の一曲はリターンツゥーフォーエバーを彷彿とさせるようなリズムで。なかなかいける演奏だ。
ストレートなジャズに根ざしたプレーを基本にPOPからフュージョンまで何でもこなす新進気鋭のメンバーの演奏は新鮮。フュージョン全盛期のバップムーブメントのようなよう様相だ。

その後、西海岸のスタジオワークも彼らのような新人にだんだん変わっていったのだろう。
ここに参加したメンバーは、その後も様々なセッション、あるいはテレビや映画のバックに参加している。グッドウィンは作編曲に加え、自己のビッグバンドも有名になっている。これにはガイスマンも加わっている。
ガイスマンもいわゆるスムースジャズの分野で活躍したようだが、最近はストレートなジャズや自分のビッグバンドもやっているとか。
Concordが70年代にやってことをまたどこかのレーベルがやっているのだろう。歴史は繰り返す、いずれのアルバムも未聴だが聴いて見たい気分になった。

その後、このガイスマンはコンコルドに再び登場することもなく、コンコルド自体がこのような試みを積極的に行ったわけではない。
何かのきっかけで生まれた一枚のアルバムであるが、他のバンドやセッションで活躍していた若者だけで、ストレートなジャズの世代交代の新たな兆しを捕らえたアルバムとしては貴重なアルバムだと思う。

1. All Blues
2. Good Stuff
3. Slightly Out Of Town
4. There Will Never Be Another You
5. Road Song
6. Later Wally Gator
7. The Shadow Of Your Smile
8. Manbo’s Guava-Sava Samba

Grant Geissman (g)
Gordon Goodwin (sax)
Tom Ranier (Keyboards)
Bob Magnusson (b)
Steve schaeffer (ds)

Originally released on Concord CJ-62
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