A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

たかが口笛、でも人の才能は鍛えれば限りない可能性が・・・

2014-07-06 | CONCORD
Ron McCroby Plays Puccolo

先月は忙しい毎日が続き、ゆっくりレコード&CDを聴く時間もなければ、ライブにでかける暇もなかった。今月に入って一息ついたところに、マイクプライスのカルテットのライブの案内があり先日久々に出掛けてみた。

場所は、赤坂のビーフラット。ビッグバンドのライブでは良くいくところだが、コンボの演奏は久しぶりであった。ボーカルのハーヴィートンプソンと一緒とのことで楽しみは倍増。さらにこの日はノーチャージデイ。このノーチャージデイは月に何回か催されるが、有名ミュージシャンの演奏が食事とドリンクだけで聴けるファンにとっては有難い企画だ。スポンサーでもつくイベントならまだしも、反対にミュージシャンとお店の懐具合の方が心配になるのだが。



マイクプライスはいつもビッグバンドを良く聴きにいくが、コンボでの演奏を聴くのは久しぶり。それに、トンプソンもいつもはどこかのバンドのゲストで数曲。タップリ聴くのはこれが初めての機会であった。

少し遅れての到着であり、すでにステージは始まっていたが、マイクプライスの溌剌としたプレーがいきなり聞こえてくる。そして、ピアノの田中祐士の華麗なピアノが。
数曲すると、ハーヴィートンプソンがステージに。マイクプライスのカルテットにゲストというのではなく、よくよくプログラムを見ると、当日のメインはハーヴィートンプソンであった。

いつもは、飛び入りでビッグバンドをバックに聴く事が多く、ブルースも得意にしているせいかジョー・ウィリアムスのような歌手と思っていたが、これがとんでもない間違い。
キングコールの持ち歌ネイチャーボーイも本家に負けない歌いっぷり。軽妙なテンポの曲はメルトーメを思い浮かばせ、スキャットを操ればジョンヘンドリックスやアルジャローと十分に張り合える。女性陣に押され気味で、数少ない男性ボーカルの第一人者といっても過言ではない実力の持ち主であった。
特に、ピアノの井上裕士とはプレーすることも多いようで、コンビネーションはピッタリ。チックコリアのスペインでのスキャットでの掛け合いは圧巻だった。

遅れ馳せながら、プロフィールを見てみると、日本に拠点を置くものの世界を股にかけた活躍をしている。デトロイト出身で地元のトランぺッター、マーカスベルグレイブスに世に出してもらったとある。今では、デトロイトでは名誉市民でもあり、つい先日のデトロイトタイガースの本拠地の試合では、開会時の国歌斉唱を務めたようだ。
また、ライブの予定で要マークのミュージシャンが増えた。



さて、ジャズボーカルでの魅力のひとつはスキャット。人の声をまるで楽器のように操るのを聴くのは普通のボーカルを味わうのとは違う楽しみだ。ジャズの創世記は洗濯板でもバケツでも楽器になったが、人の操る楽器擬きにもうひとつ口笛がある。子供の時、何度もチャレンジしてやっと音が出たのがすごく嬉しかった記憶がある。
たかが口笛だが、されど口笛。世の中には口笛上手が時々いる。

このアルバムを初めて手にとった時、「Puccoloとはいったいどんな楽器だろうか?」と一瞬理解できなかった。聴いてみてすぐに口笛と分かったが、口笛とは思えないしっかりした音程とフレーズを繰り出す。ちょうどピッコロと同じ音域だということだが、音色も一緒にプレーをしているサムモストのフルートと実に良くブレンドしている。
そして、選曲がスタンダード曲というよりは、クリフォードブラウンやゴルソン、マリガン達のジャズの名曲というのも、「ジャズの口笛」というポジショニングを明確にしている。

という訳で、これは単なる余興というのではなく、口笛によるストレートなジャズアルバム。バックはモスト以外にも、ドラムは名手ハミルトン、そしてベースのボブマグヌソンの重厚なベースとのコントラストも聴きどころだ。マリガンの曲、Line for Lyonsではクラリネットも聴かせてくれるがこれは愛嬌。
ジャズで口笛といえば、ボブハガートのBig Noise from Winnetkaが有名だがこれは余興、



こちらのロン・マックロビーは本物だ。

このアルバム制作直前の1981年の映像があった。地元シンシナティーでカルコリンズとも共演している。翌年テレビのTonight Showで全国デビューを果たし、モンタレージャズフェスティバルにも出演し、このレコーディングに至ることになる。



1. Joy Spring               Clifford Brown 4:40
2. If You Could See Me Now    Tadd Dameron / Carl Sigman 6:08
3. Line for Lyons              Gerry Mulligan 5:02
4. Puccle While You Work (Whistle While You Work) Frank Churchill 3:13
5. Daahoud                Clifford Brown 4:46
6. Everything Happens to Me   Tom Adair / Matt Dennis 3:35
7. Boplicity                 Cleo Henry 4:44
8. Along Came Betty           Benny Golson 5:52

Ron McCroby (puccolo,cl)
Sam Most (fl)
Bill Mays (p)
Bob Magnusson (b)
Jeff Hamilton (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California December 1982
Recording Engineer : Phil Edwards

Originally released by Concord CJ-208
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