A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

バックとのアレンジとソロが映えると歌も自然に・・・

2014-07-28 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Bobby Troup and His Stars of Jazz

前回、ルースプライスのアルバム紹介の中で、テレビのショーに出ていたプライスの映像を一緒に紹介した。この映像はボビートループが司会をやっていたテレビ番組“Stars of Jazz”の一シーンだ。

ボビートループといえば、有名な「ルート66」の作曲家として知られている。トループは多彩な才能の持ち主で、生涯の中で色々な顔を持っている。いわゆるマルチタレントであるが、才能以外にもツキにも恵まれたのだろう。

1964年は外タレの来日ラッシュだった。このトループも来日し、このルート66の自ら演奏する映像があった。



彼が作曲を始めたのは学生時代、すでにその時にヒット曲”Daddy”を書いている。戦争中は海兵隊に属してリクリエーション施設建設の陣頭指揮をとり、部隊のテーマソングも作った。最後はサイパンで終戦を迎えたという。その間に、最初の妻のシンシアと結婚していた。

有名な”Route 66”が生まれたのは、戦後すぐの1946年、彼女と一緒にまさにルート66をドライブしている時に生まれた。クレジットこそされていないが彼女と一緒の共作であったようだ。トループとしては作曲家としても有名だが、ニールヘフティーの作った名曲”Girl Talk”では作詞家としてもクレジットされている。曲作りも両刀使いであった。
この曲で、作曲家としてのトループは一躍有名になったが、ナットキングコールも後に有名なアルバム”After Midnight”で再演し、他にもこの曲をカバーするミュージシャンはジャンルを問わず多い。

さらに60年代に入ってからは、同名のテレビ番組まで登場し、これも大ヒットする。この番組の主題歌はトループの曲が使われているかと思ったら、ネルソンリドルオーケストラの別バージョンであったが。



一方で、トループのミュージシャンとしての活動はピアニストから。時には弾き語りで歌も歌いながらウェストコーストで活躍。自らリーダーアルバムを出す一方で、地元の名だたるクラブに出演しては地元のミュージシャンと親交を深めていった。60年代まで活動を続けたが、プレーヤーとしては商業的に大成しなかった。印税が入るので、生活には困っていなかったようなので演奏は趣味の域でも困らなかったのかもしれない。

そんなある時、将来のワイフとなるジュリーロンドンと出会う。クラブで歌っていた彼女を見て、歌手として何とか彼女を成功させたいという想いで今度はプロデューサー業に。そして生まれたのが彼女のヒット”Cry Me a River”。これで彼女の心を掴んだのか、1959年に2人は結ばれることになる。



その間、多芸なトループ、今後はクイズやバラエティー番組のホスト役でテレビ出演をするようになる。その中で最も有名な番組が”Stars Of Jazz”。1956年にロスアンジェルスのローカル番組でスタートしたが、58年には全国ネット番組に昇格し、毎週有名ミュージシャンのゲストを迎えた番組として続いた。ミュージシャンへのギャラなど色々問題はあったようだが、ちょうどテレビがメディアとしてスタートした時に、ジャズをコンテンツとしてオンエアさせ、世に広める役割に一役かったようだ。
そして、晩年には、自ら俳優としてテレビ番組に出るようになる。いつの時代をみても、順風満帆の人生を過ごしたように思える。

このトループが、テレビ番組“Stars of Jazz”の放送が終わった直後に、卒業記念ともいえるアルバムを作っている。このアルバムでは主役は自分のボーカルであるが、バックの面々が素晴らしい。付き合いがあったウェストコーストの有名ミュージシャンが集合してオールスタービッグバンドを編成している。ドラムにシェリーマンと一緒にメルルイスも。

アレンジャー陣も、ジミーロウルズ、ショーティーロジャースとお馴染みの面々が揃っている。そして、一番素晴らしいのが、一曲ずつ違ったソロプレーヤーをフィーチャーしていること。ソロ自体は短いが、アレンジもソリストを意識したアレンジが施されており一曲一曲が実に念入りに作られている。フォーブラザースを意識してか4人のテナーの揃い踏みとか、ベニーカーターのバラードプレーや、テクニシャンロソリーノのプレーなど聴きどころ満載だ。歌のバックのソロは絶妙な絡みと短めが秘訣かも。

シェリーマンとレッドノーボのバックが絶妙な、Is You Is or Is You Ain't My Baby




ボーカルのバックというのは簡単そうでそうでもなさそうだ。聴いている方でもバックがしっくりくる場合と、何かとってつけたようでただ一緒にやっているだけというのがはっきり分かる。ライブの場合は会場の盛り上がりに左右されることもあると思うが、スタジオ録音となるとやはりアレンジの巧拙が鍵になる。という意味では、格別上手いという部類に入る歌手ではないトループの歌が、実に表情豊かにバリエーション豊富に聴こえるから不思議だ。それに、日頃付き合っている面々との番組卒業記念というシチュエーションでのセッションなので、集合写真とは別に一人ずつ友人達と記念写真をとっているような特別な計らいなのかもしれない。



1. Free and Easy               3:40
2. Sent for You Yesterday           3:10
3. Back in Your Own Back Yard         3:19
4. I'm Thru with Love             4:06
5. Oh! You Crazy Moon             2:57
6. Perdido                   3:39
7. Take Me out to the Ball Game        2:19
8. Is You Is or Is You Ain't My Baby     3:32
9. As Long as I Live              2:18
10. Please Me Kind                3:19
11. Tulip or Turnip              2:42
12. Tip-Toe Thru the Tulips with Me       2:54

Bobby Troup (vol)

Buddy Childer (tp)
Conte Candori (tp)
Pete Candori (tp)
Ollie Mitchell (tp)
Al Porcino (tp)
Shorty Rogers (tp)
Ray Triscari (tp)
Stu Williamson (tp)
Milton Bernhart (tb)
Harry Betts (tb)
Bob Enevoldsen (tb)
John Halliburton (tb)
Dick Nash (tb)
Frank Rosolino (tb)
Kenny Shroyer (tb)
Benny Carter (as)
Bob Cooper (ts)
Chuck Gentry (bs)
Bill Holman (ts)
Paul Horn (ts)
Plas Johnson (ts)
Richie Kamuca (ts)
Bud Shank (as,fl)
Jimmy Rowles (p)
Red Norvo (vib)
Barney Kessel (g)
Monty Budwig (b)
Joe Mondragon (b)
Mel Lewis (ds)
Shelly Manne (ds)

Recorded in Hollywood, California on October 24,November 10,and December 3, 1958


STARS OF JAZZ
Bobby Troup
RCA SPAIN
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