福島第一原発からの距離が20KM~30KMの市町村は原発事故の直後、意味が曖昧な
「緊急時避難準備区域」と云う名称の地域に指定されました。この区域に指定された市町村の
中に楢葉町といわき市に挟まれた広野町があります。この町で福島第一原発に一番近いところで
原発からの距離が21KMあります。この町の放射線量は20KM圏内に比べかなり低い数値です。
広野町広報によると2011年10月13日のデータで町内で一番高い線量の場所は0.98マイクロ
シーベルト/h(μSv/h)でした。10ヶ月後の2012年8月13日ではこの町の最高値が0.47μSv/hで、
町内全体の平均は0.25μSv/hとなりました。原発に近い浪江町、大熊町、更には原発から
30KM離れた飯館村等の地域に比べれば相当低い数値です。
「緊急時避難準備区域」は行政からの避難指示が無く、事故以降も町内に居住が可能です。しかし
放射線被曝を恐れ、多くの町民が町外へ避難をしました。2012年7月31日の広野町の人口は、
世帯数1,914世帯、総人口5,284人ですが、2012年8月17日現在の町内居住世帯数は
264世帯、居住者数は427人しかおりません。一方、ホットスポットデータでは、千葉県船橋市の
総合公園「ふなばしアンデルセン公園」の一角で2011年10月13日に測定された放射線量が
広野町の6倍の5.82μSv/hだったと報告されておりますが、船橋市民が多数避難したと云う
情報はありません。
最近の広野町の平均放射線量0.25μSv/hは年間の被曝量が1ミリシーベルトを若干超過する
程度でこの数字では健康に異常をきたすことはないと云われております。日本での自然界から受ける
年間放射線被曝量は1.5ミリシーベルトです。しかし現在の町内居住者が人口の一割に満たないと
云うことは何を意味するのでしょう。原発事故以来行政から出される報告に信頼性がありません。
町は町内全てを放射線測定をしたわけではなく、かなり高い放射線量があるホットスポットが残されて
いる可能性を否定できません。町民は行政の情報に基づいて自己の行動を委ねることが出来ず
自分で判断することを余儀なくされているものと思います。福島第一原発から20KM圏外でも
限界集落が増えて行くものと思われます。
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