自民党、経団連や一部の企業経営者が原発を推進する理由に、原発停止による日本
企業の競争力の低下の危惧を揚げている。原発稼働停止によって電力料金が上がり、
企業競争力の低下を恐れる企業は工場を国外に移転し国内産業が空洞化する、
と言う全く馬鹿げた主張をしている。下記は経産省の工業統計調査で公表されている
平成21年度の生産額に占める購入電力使用額の割合である。
一般機械 0.94%
電気機械 0.80%
輸送用機械 0.78%
石油・石炭製品 0.39%
食料品 1.28%
化学 1.67%
繊維 2.46%
紙・パルプ 2.05%
窯業・土石 3.71%
鉄鋼 3.51%
非鉄 2.58%
(亜鉛) 16.35%
製造業計 1.44%
これで見るとおり、電力料金の生産額にしめる割合は、製造業全体で1.44%にしかならない。
電力料金が二倍になっても2.88%である。相当以前から言われている日本企業のホワイト
カラーの生産性の低さの改善や無駄の排除によって、仮に電気料金が上昇してもそれは
間違いなく吸収可能である。
又、原発による発電コストが他の発電方式と比べ低いというのは誤りである。原発の廃炉費用、
安全に対する投資、事故の際の賠償費用、使用済み核燃料の処分費用、原発への政府
負担金等を含めると原発の発電コストが一番高くなる、と言うことは専門家が以前より指摘して
いる。
それでは何故、自民党、経団連や一部の学者が原発の稼働を主張しているのか。これはやはり
原子力ムラの住人が原発稼働によって様々な利益を享受しているからに他ならないと思われる。
ここの住人は自分の利益以外に関心は無く他者への配慮など微塵もないのかもしれない。
日本の国力強化や経済の持続的発展に対する思慮が欠落している。日本の将来への思いやりが
足りない。もしあるのであれば以前から発送電分離や電力自由化をやっていた筈である。
2009年の売電価格の国際比較では、日本は産業用ではイタリアに次いで高いがドイツやイギリスと
比べ大幅に高くはない。アメリカ、韓国と比較するとかなり高い。家庭用ではイタリア、ドイツより安く、
英国より1割高い程度である。日本の電力会社は総括原価方式と市場独占で保護されている。
この状況では企業経営の中でのコストダウンや無駄の排除は出来ない。電力自由化によって電力
料金は間違いなく下がる。日本の中小企業並に死に物狂いの企業努力をして発電コストを下げれば
欧米の電力会社並の電力料金かそれ以下となる。日本企業の底力から考えれば出来ないことは
ない。
原発がなくても日本企業の競争力は損なわれない。産業の空洞化も起こらない。政府や企業は
原発再稼働に精力をつぎ込む代わりに、安価で安全な新エネルギーの開発に凡ゆる努力を傾注
すべきである。
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