現代視覚文化研究会「げんしけん」

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地獄少女 第一話「夕闇の彼方より」

2005年10月09日 02時47分45秒 | アニメ・映像全般
 この作品は「赤」を巧みに使用した幻想的な映像表現と作品全体の凛とした雰囲気作りが特徴のアニメが『地獄少女』だと感じております。それと、第一話でも「イジメ」のシーンのリアルさにも代表される様に、本当に恐怖でおののく存在は、幽霊などの目に見えない物ではなく、人の持つ「心」であるといった、人間に内在する色んなモノを表現しているのも魅力の一つです。
 今作の物語は「クラスの募金を失くしてしまった【橋本 真由美】。クラスメイトの【黒田 亜矢】が助けてくれてその場は難を逃れたが、この日から【亜矢】と【真由美】のつらい主従関係が始まった。追い詰められた【真由美】は「地獄通信」の噂を耳にする。」感じで展開します。前半パートでは、リアルな「イジメ」の描写が表現されている。【亜矢】と取り巻きの女生徒に呼び出されて、お金を返したのに「利子よ。利子」と言われ、「のどが渇いた」とジュースを買いに行かされるが買って来たジュースが違うと地面にこぼされたり、授業中に呼び出しの手紙が来たり、お金を持って来いと言われ拒否をして頬を腫らしたり、繁華街で逆ナンパをさせられたりなどが細かく忠実に描かれています。【真由美】の心理的描写などもよく表現されていた。地面にこぼれたジュースの水面にうつる悲しい表情、家に帰っての母親との会話シーン、自室のパソコンで「地獄通信」を見て「黒田 亜矢」の名前を書くが送信を押せないとか、夜の繁華街で見た噂が立ちクラスで孤立したりなどが描かれているが、【真由美】の心理的な描きで一番、印象に残っているのは、再び「地獄通信」にアクセスする場面です。この場面では【真由美】の送信への震えたカーソルが物語る様に、息を切らせた緊張感が伝わる場面であり、また、携帯のまっ赤な返信画面も彼女の恐怖心を上手く演出していた。次に、【閻魔 あい】との出会いがアニメ劇中では描かれる。逆ナンパでの写真を携帯で撮られて、泣くしかない【真由美】が飛び降り自殺をするが・・・落ちる途中で【あい】に救われた(?)のか。場面は全てがまっ赤に染まった世界だった。【真由美】の目の前にセーラー服の少女・・・彼女が【閻魔 あい】。そして「私は、閻魔 あい・・・あなたが呼んだのよ」と「黒藁人形」を持っている。それに気付く【真由美】。【あい】は「受け取りなさい・・・」と言う。私は、このシーンで【あい】の表情から感情が読み取れないと感じました。それだけの圧迫感があったと思います。このシーンでは「呪い」に関する「契約」と「代償」が話される。【真由美】が「黒藁人形」の「赤い糸」を解くか?解かないか?を悩みますが、その決断は突然に訪れるのだった・・・。職員室で先生にあの写真を見せられて、「両親への報告」「来年の高校受験の推薦」などが一方的に言われ、弁解も許されない展開になる。その姿を笑みを浮べ立っていた【亜矢】と取り巻きの女生徒を睨む【真由美】の鬼気迫る表情と目を赤く腫らした描写が「赤い糸」を解く決意をさせた印象深いシーンとなっている。そして【あい】はセーラー服から着物に着替えて「地獄少女」となり【亜矢】に対する「怨み」を実行に移します。その場所に選ばされたのが【真由美】と【亜矢】の通う夜の学校が舞台となる設定も意味深く感じます。学校に呼び出された【亜矢】には徐々に迫る恐怖感を与える演出が展開される。校門が開き【骨女】が変装した【真由美】を追って行くと、教室に明かりが・・・入ると普通の授業風景だが違うのは全員の顔がのっぺらしていたり、【真由美】を追おうとするが空間がねじまがり追いつけない、校庭でバレーやランニングをしている学生と食べ物をする学生の日常風景が描かれ、ホッとさせるが・・・【亜矢】がボールを取ってと頼まれて取るとボールが「ドクロ」だったり、極め付けは、校内で先生に会うが「こっちだ」と一緒に行き、「心配するな友達もいる」と指の指す先を見ると取り巻きの2人が壁に吸い込まれてたりなど。【亜矢】が逃げようとすると場面が教室に戻り、お金が無くなった真相が描かれる。もちろん、お金を盗み【真由美】を罠にはめたのは【亜矢】。それでも認めない【亜矢】の前に【一目連】【骨女】【輪入道】の3人が現れるが、その3人の言葉にも耳をかさない【亜矢】の「冗談じゃないわよ、からかっただけじゃん、遊びよ遊びあたしは何も悪い事をしてない」とのイジメた側の無責任なセリフを演出するシーンはこのアニメを観ている側にも「怒り」を伝えられたと思う。【あい】が背後に現れ「闇にまといし、哀れな影よ。人を傷つけ貶めて罪に溺れし・・・いっぺん、死んでみる」と言うシーンが表現されるが、このセリフの【あい】の目を開くタイミングに合わせたセリフの言い回しがとても良くて、観ていてその恐怖感がダイレクトに伝わるシーンでした、【あい】の着ていた着物の柄から無数の朝顔が画面いっぱいなる演出も綺麗だった。そして【亜矢】は「この怨み、地獄に流します」と三途の川を渡り地獄へ向っていた。最後では【真由美】が明るく、元気を取り戻すが彼女の身体には消える事の無い「地獄の刻印」があり、「地獄の蝋燭山」に【橋本 真由美】の名が刻まれる。「死んだら、その魂は地獄に堕ちる・・・」と暗示的な表現で終わるのも良い。