鎌倉八百ヶ谷戸

鎌倉の街はそのものが環境遺跡

善財 一 写真集

明石ヶ谷

2020-12-17 21:50:07 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集

 

六浦から朝比奈の切り通しを通らず、その南の山中を経て鎌倉に入る古道がある。

今は十二所果樹園の南の端を通るハイキングコースになっているようだが、かつては朝比奈切り通しほどではないものの鎌倉と六浦を結ぶ要路であった。

この古道の北西に位置するのが光触寺のある宇佐小路とその南の明石ヶ谷。

谷戸はけっこう深い。

谷戸の奥は建設会社の資材置き場とされているため、建物がなく広々としている。

建築資材が興ざめだが、谷戸の構造がよく判ると思う。

モノクロフィルムで撮影していたころに入れてもらったが、今は立ち入りが禁止。

写真は宇佐小路と明石ヶ谷の間の山襞への上がり口。

かつてはヤグラがあったと思われる。

山道の脇にもヤグラが遺されているが、深い藪で観察することはできない。

この山の尾根を経て十二所果樹園の古道にまで行くことは容易だ。

写真の灰色の縞状部分には砂鉄が含まれている。

崖面が脆弱であるため、砂鉄層が崩れて流される。

滑川などの川底には砂鉄が溜まっているはずである。

鎌倉にはこのような砂鉄の層が各所でみられるのだ。

砂鉄は鉄製品の原材料に他ならない。

先に鑪ヶ谷を紹介した。

鑪とは、砂鉄を加熱して溶融した鉄を取り出すための加熱送風装置のこと。

鑪ヶ谷には鋳物造りに関する施設があったのではないかと考えられている。

鎌倉近隣には鉄の原材料が豊富に存在するのだ。



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