ドナルド・トランプ大統領は、クレイジーで、独特で、例外的な人間なのだから、
アメリカ国民やアメリカの民主主義を、ましてや世界の表情や未来を映し出してなどいない、
と考えると、気休めにはなるのかもしれない。
しかし、現実は、2016年、多くのアメリカ国民がトランプを大統領にし、世界は否応なしにその現実に直面することになった。
日本においては、安倍元総理がトランプ大統領とうまくやれていることで、安心していたり、他国に対してリードしているかのような報道の向きすらあった。
トランプ大統領が再選するシナリオが濃厚になり、アメリカはもちろん、日本や世界も「また」危機感を募らせている。
しかし、トランプは、
危機に瀕する世界に現れた症状のひとつであって、
世界が危機に瀕する唯一の原因ではあり得ないのである。
フリードリヒ・ニーチェが
「狂気は個人にあっては稀有なことである。
しかし、集団・党派・民族・時代にあっては通例である」
と述べた。
世界が抱える抱える問題をすべてトランプひとりのせいにすることは、
あり得ないと思われた彼の大統領就任を可能にした社会に根深く潜んでいる病を見逃すことである、と私は、思う。
トランプ大統領誕生を
「偶然だ、クレイジーだ」と言ってしまえば、私たちは社会に潜む狂気との対決を避けることは出来る。
しかし、それは、何の解決にもならないと、私は、考える。
よって、まず、私たちが自分自身を洞察することからはじめてみたいと思う。
つまり、トランプ大統領の登場がクレイジーなのではなくて、トランプ大統領の登場を可能にした私たちの世界がクレイジーである、という前提に立ってみようと思うのである。*1
また、次回以降、その視点で、世界が抱える問題たちを分析してゆきたい。*2
ところで、共同体の責任、という概念は、非常にアメリカ的なものである。
協力はアメリカ人の良識を表すし、成功には不可欠なものであるようだ。
開拓者の伝統として、今日隣人を助ければ、明日は隣人が、自分を助けてくれる、と共同体の皆が進んで協力した。
現在の多くのアメリカ人のご先祖は、強固な個人主義を掲げてアメリカ大陸に上陸し、それぞれが、自分だけを頼りにして道を切り拓いた、というわけではなく、
集団のなかで、分かち合うことを逆境や不運に対する保険とし、
集団の中で個々のリスクと負担を分散したのである。
ほとんどの場合、今のアメリカ人のご先祖には、1人だけが先にアメリカに行き、そこで共同体を作り、いくらか貯蓄しながら、徐々に兄弟姉妹、両親、近親者をアメリカに呼び寄せたケースが多いようである。
だからこそ、彼ら/彼女らは、皆で共に分かち合うことを知っており、他者に対する責任感を持っていた。
それを象徴するように、
1776年7月4日、つまり最初のアメリカ合衆国の独立記念日に
「E Pluribus Unum」
という言葉を、アメリカのモットーとした。
「多数から成るひとつ」とも訳すことのできるこのラテン語を、
キケロは、
「おのおのが自分を愛するように他者を愛するなら、多くの人々はひとつになる」と表現している。
アメリカ合衆国独立から、228年後、
オバマは新しい「E Pluribus Unum」のカタチともいうようなスローガンを掲げた。それは、
「リベラルのアメリカ、保守のアメリカというものはない。
あるのはアメリカ合衆国だ。
黒人のアメリカ、白人のアメリカ、中南米系のアメリカ、アジア系のアメリカというものはない。
あるのはアメリカ合衆国である。
共和党系の赤い州も、民主党系の青い州もない。
あるのはアメリカ合衆国だ。」
というものである。
私は、これを想い起こすとき、アメリカ、ひいては世界の対立や分断を煽ることではなく、止めることが
「アメリカを再び偉大にする」
ための最良の方法であるように思うことを禁じ得ない。
ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。
*1、*2について詳しく述べさせていただきます。
次回から、私たちが直面すること(仮)、というシリーズで、現在の世界が抱える諸問題について描いていきたいなあ、と思っています。
アメリカ大統領選挙2024を考える、シリーズは今回でひとまずお休みにしたいと思います。
ちなみに、今回は、字数の関係で、タイトルにシリーズ名が入りませんでした。すみませんm(_ _)m
ディサンティス氏が大統領選挙撤退を表明しましたね^_^;
アメリカはどうなるのでしょうか、さあ、「どうする日本」。
「光る国」へ、すぐになれとは言いませんが、今年は国内外ともに大変な状況スタートなので、日本や世界が安心して暮らせるようであってほしいなあ、と思っています。
(→ちなみに先の2つの「」内は、時事ネタを頑張ろうとした私のつまらない努力の跡です^_^;、皆さま、寒い朝からすみません。)
次回からもかける範囲で、描いてみたいなあ、と思います。
また、よろしくお願いいたします( ^_^)
今日も、頑張り過ぎず、頑張りたいですね。
では、また、次回。
大変参考になりました、ありがとうございました。
オバマ大統領の"We are united."、これを実現するには多々の困難が伴うだろう、と
その時思いましたが、ここまで大変だとは想像せず。
おっしゃるように、トランプを支持する国民がいなければ彼は大統領にならなかった。
だから、社会全体の問題であるのは明らかですね。
これからもいろいろなお話を聞かせてください。楽しみにしています!
いつも読んでくださりありがとうございます。
また温かいコメントありがとうございます!元気をもらえております( ^_^)
ディサンティス氏が大統領選挙撤退を表明し、これからまたまた読めなくなりましたね^_^;
今回でアメリカ大統領選挙を考えるシリーズはいったんお休みにしますが、これからも良かったらまた読んでやって下さい(*^^*)
今回ではシリーズが終わり、
お疲れ様でした😊
今日はめちゃくちゃ寒い🌬️
お互い体調には気をつけて、
無理し過ぎないよう
乗り切っていきましょうね😊
ステキな一日を☆★☆
テル
おはようございます。
いつも読んで下さりありがとうございます。
先日は、私が、誤って2通同じようなコメントを送ってしまったにもかかわらず、2通とも温かいお返事を返してくださったこと、嬉しく思うとともに感謝しております( ^_^)
寒いですが、テルさんも体調に気をつけて下さいね!
いつも楽しく拝読させて頂いています。
これからもよろしくお願いいたします(*^^*)
シリーズも今回で1区切りですね。大変勉強になりました。次回の私たちが直面するものも面白そうで、今から期待しております。
とにかくアメリカの大統領選挙、トランプの対抗馬、ヘイリー氏司会なくなってしまいましたね。僕は憂鬱です。
寒いので体調を崩さないようにお過ごし下さい。
いつも読んで下さりありがとうございます。
また温かいコメントありがとうございます( ^_^)
つぎのシリーズも描ける範囲で描いてみたいなあと思いますので、また、良ければ読んでやって下さいね(*^^*)
amocla91さんも体調お気をつけて下さいね( ^_^)