今日はマスプロダクション方式の思い出について書いてみます。
私が流れ作業工程を見たのは、今から約60年前 川崎航空機(現川崎重工:岐阜工場)に入社した時の事です。
(品質管理部に配属され機体の製造工程の検査員として配属されました)
当時川崎では、米国ロッキード社設計の対潜哨戒機(P2V-7)や戦闘機(F104)、
ボーイング・バートル社設計のヘリコプターKV107(ローターブレードが前後に有るもの)や
国産旅客機YS-11の主翼を生産していました。(エンジンは英国ロールスロイス社製)
そこでF104J戦闘機が完全な流れ作業工程に成っている事を目の当たりにしてびっくりしたものです。
100年程前の恐慌時、米国で発案された車の流れ作業による生産性向上施策が
航空機まで進んでいたことを見た時のことです。(川崎航空機時代の思い出は別途書きます)
その後4年程してシャープに入社しましたがそこには米国のRCA社
(カラーテレビ発明企業、現在はGEの子会社:私達のカラーテレビの先生)
から学んだ新鋭のカラーテレビ工場が有りました。
工程の長さは150mと長く4ラインのパラレル工場です。
当時の流れ作業は自動化前ですから150mラインに若い女性が100人程並んでの作業でした。
ここで工程の簡単な設計を紹介します。(生産管理設計)
1日の作業時間を8時間(480分)、生産台数を100台とします。
1台当り4800点の部品で構成していた場合(通常カラーテレビの部品点数は約6000点)
ラインの作業者を100人、コンベア速度を1人当り1分としますと
各作業員は1分間で10点の部品装着作業をする事になります。
尚、検査やライン外の修理、部品支給、商品蔵入れ業務等は割愛しています。
ここでテレビの組み立て作業を100分割する場合、
商品品質や生産効率を考慮した合理的なものでなけれなりません。
又、作業員の作業能力を考慮した配置も商品の品質に大きく関わってきます。
従って工程管理者は作業員の技術能力、体力、性格なども良く知り適切な配置をする必要が有ります。
当然事前の教育も必要になります。
■ 工程設計と商品設計の理想化(商品品質と生産性向上)
★誰にでも出来る工程に(特別技能を必要としない工程へ)
↓↓
★ 難し工程の無調整化、機械化、自動化
(商品設計)集積化(真空管→トランジスター→IC→LSI)
(TV方式)アナログ方式TV→デジタル方式テレビへ
↓↓
全行程の機械化(自動化)実現
これにより品質向上、生産性向上に加え省力化(人員削減)を実現しています。
ー以上ー