空が晴れ渡っていて清々しい。
わたしたちを案内してくださったのは、大浦勝鬨さん。
磐笛と竹笛の奏者で、丹後の歴史や神話伝説には
精通しておられる。
ガイドの要請が引きも切らないようだ。
紹介してくださった島村さんによると、スピリチュアルな
方面でも知られた方らしく、全国からいろんな人が、
大浦さんに会うため丹後を訪れるという。
さて数ある神話伝説の地から、大浦さんが選んでくださったのは
伊根の新井崎(にいざき)神社。
断崖絶壁の上から、灌木を掻き分けるようにして降りていくと
そこに神社が現れる。
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眼下には、真っ黒な火山岩と砕け散る白い波。
真東の海上には冠島が見える。
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ここには徐福が上陸した地だという言い伝えがある。
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徐福
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%90%E7%A6%8F
徐福伝説は各地にあるが、丹後は大陸との行き来を思わせる
伝説が多い(浦島伝説とか羽衣伝説とか)。
信憑性が高い……と思いたい。(身びいき)
「ここは鳥居をくぐった瞬間、空気が変わると言う人が多いんです」
と大浦さん。
丁寧に祝詞ををあげてから磐笛と竹笛を演奏してくださった。
磐笛は海岸などにある穴のあいた石。澄んだ音が浪々と響き渡る。
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次は、真名井神社と同じく豊受大神を祀る二つの神社。
大浦さんによれば真名井神社以上のパワースポットだそうだが、
なにしろ交通の便があまりないところだから、観光客はほとんど来ない。
この日も、私たち以外、誰もいなかった。
両神社ともこの上なく静謐で、かたわらを流れるせせらぎの音が
耳に心地よく残った。
比沼麻奈為(ひぬまない)神社
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藤社(ふじこそ)神社
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かぶと山から見た久美浜湾の小天橋と大明神岬
画面を一直線に横切っているのが小天橋(これに対して天橋立を大天橋と呼ぶ)
手前にワニの口のように伸びているのが大明神岬。
ここにはいくつもの古墳がある。大浦さんによれば天照大神の墓だと
推測される古墳もあるとのこと。たいへん謎の多い岬らしい。
いつか行ってみたいものだ。
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この日、大浦さんは車の運転手もつとめて下さった。
「何度も走って知り尽くしとります」とおっしゃる道。
なのにもうすぐ天橋立駅に戻らないと電車の時間が……という時になって、
「あれ、どうしたんだろ。道に迷った。こんなことって……!」
と、山道でハンドルを握ったまま呆然。
焦ってスピードを上げる大浦さん。
しばらくして左手に鳥居と石段が現れた。大浦さんが声を上げる。
「あれえ、静神社だ! なんでこんなとこへ来ちゃったんだろ!」
「あ、止めてください。ここへお参りさせてください!」
急いで声を上げたのは私。
静御前にまつわる言い伝えが丹後にあることは知っていたが、
神社は念頭になかったので、今回は話にも出なかった。
でも実は、いまとりかかっている仕事のことで、「白拍子」と
呼ばれた女性達のことが、ずっと頭のどこかにあった。
白拍子といえば、代表格は義経に愛された静御前だ。
私には霊感などないが、スピリチュアルな方に案内役をつとめて
いただいたおかげで、静御前に呼ばれたのかもしれない。
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そういうことなら、と納得して、大浦さんはここでも磐笛を
奉納してくださった。
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無事、電車にも間に合い、鳥取へ向かう福井さんとは天橋立駅で
逆方向の電車に。
宮津駅を出てしばらくすると、電車に向かって大きく手を振る
大浦さんと島村さんの姿が見えた。
すっかりお世話になった地元の方々に、心から感謝。
あちこちに心を残す、忘れられない旅になった。