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米、国勢調査で市民権の質問できない?ちょっとおかしい米の民主主義

2019年07月06日 | 日記

日本の国勢調査について、意識したことはないが、国籍の質問は、最初から
あるのだろうと思う。
一時期、日本の国籍など聞かなくても、当然じゃないかと、むしろ聞かれることに
疑問を持ったことがある。出生地の質問は当然だと思っていたが。
しかし、今の時代、日本に合法的に居住している人が当然に日本人とはいえないので
むしろ、国籍を聞かない調査の方を異常と思う。

米国は、それこそ移民の国、市民権を聞くのは当然と思っていた。
その米国で、2020年の国勢調査で、最高裁の判決で市民権に関する質問が認められない
ことになったという。
???クレスチョンマークがいっぱい。

1 何で裁判所の判断を仰ぐ必要があるのか?
2 なぜ、最高裁は認めなかったのか?
3 なぜ、長官はリベラルに加担したのか?トランプ大統領に対するしっぺ返し?
などである。

以前にも何回か触れたと思うが、アメリカのちょっとしたニュースメディアのWebサイト
をみると、大抵、記事内容からリンクを通して判決速報を簡単にみることができる。

連邦憲法で10年ごとに人口調査が求められている。それに基づいて連邦議会議員の配分
の見直しや連邦予算配分を決めることになっている。
判決内容によると、
歴史的にみると、これまでに1790年が最初で23回実施。
1820年から2000年の間は1840年の1回を除いて常に、市民権か出生地に関する
質問事項があった。1820-1950は全世帯に対してなされたが、
1960-2000は1/4~1/6の人口について聞かれたという。
ところが2010年のオバマ大統領のときに、全世帯について出生地や市民権について
の質問をしないことに変更になったということであった。
(オバマ大統領が変更した時には問題にする人がいなかったということ)
判決文全体をとおして、市民権の質問については必要性を認めており、基本的に問題はない。
むしろ、元の一審判決が問題のように見える。担当判事はいわゆるオバマ指名なので、
トランプのいうことも理解できる。
一審の判決が維持されたのは、商務長官(担当省)の説明が内部資料等からみて、明らかに
口実(pretextual)に過ぎないことがわかったからということ。
わかりやすくいえば、騙した、というもの。

実際に、商務長官が騙すつもりかどうかは、わからないように思う。
そういう見方もできるが、極めて軽率だったという見方もある。評価の問題である。
ただ、なんとなく、裁判所軽視の感はあったようにみえる。
前記説明からもわかるとおり、むしろ2010年の変更の方が異例で問題ともいえる。
だから、トランプ政権も、裁判を形式的なものと軽く見ていた可能性がある。
昨年の11月、トランプ大統領がオバマ判事(オバマ指名の判事の事)の偏見を、例によって
厳しく非難したことがあり、それに対し、ローバート長官がオバマ判事、トランプ判事、
ブッシュ判事、クリントン判事などない。どの判事も公正・平等な権利のために最善の
努力をしていると反論したことがあった。
勿論、トランプのこと。長官の発言をも激しく批判していた。
政治家同士で激しいやり取りするのは結構。しかし、トランプ大統領のように
自分の指名した判事は意のままのような発言は、いささか行き過ぎではないか、
逆にマイナスになるのではないかと気になった。
このような発言をされると、必要以上に厳しくせざるを得なくなる。
民主党の政治家や支持者の反応は容易に推測できる。

この判決は直ちに無効とはいっていない。合理的な説明をしなさいといって
差し戻しただけである。
「If judicial review is to be more than an empty ritual」と述べていることから
見て取れる。

騙すつもり「more of a distraction」と評価された後では、どう説明すれば、誠意を認めて
くれることになるのか、わからない。
最高裁の多数意見で述べることを基に、当たり前のことをいう。反省を示すしかないのか
もしれないようにも思う。

こういうのは、トランプの得意とするところのようにも思う。
最高の判決を受けてトランプは諦めていないという。
どうまとめるのか期待したいものである。

もうひとつ気になることがある。
政府側の代理人が判事や相手方代理人に毅然とした態度をとれず、ずるずると言いなりになり、
不必要な内部事情を晒し、不必要で予想外の展開になったことを、暗に批判しているように
思われる部分があることである。
おそらく、代理人を含め、政府関係者全員が、油断していたようにも思う。

無能な代理人はいない方がいいのであるが、無能な人ほど気が付かないようである。
これは日本でも同じだ。

私の見立てでは、トランプの発言を受けて、長官としては、厳しくせざるを得なかったと
いうことではないかと思う。

市民権を質問事項に含めることは国勢調査の基本中の基本と思う。
民主党関係者がその基本ルールに反対するのは、民主党の支持者には不法移民者など
市民権に対する質問を歓迎しない者が多いからという。そういう人は回答しないことになる。
実際にはいるにもかかわらず、統計の数字には反映されなくなり、
議員や連邦交付金の配分には反映されず、無回答者の多い、
民主党の強い州には極めて不利になるということらしい。

トランプのいうことは正論ではある。
(オバマ大統領は、トランプからアメリカ生まれではないのではと厳しく批判されていたことが
影響したのだろうか?)

判決は、市民権に関する質問を認めている世界の主な民主主義の国として、
豪、カナダ、仏、インドネシア、アイルランド、独、メキシコ、スペイン、英を揚げている。

オバマやヒラリーの所属するアメリカの民主党というのは、世界の民主主義の主流とかなり
違うようだ。
アメリカというのは、異常なところがあるらしい。