陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

武田泰淳の小説『十三妹』

2009-05-22 | 読書論・出版・本と雑誌の感想


表紙がいかにもラノベふうなのですが、作者を確認して驚いてしまいました。
武田泰淳といいますと、カニバリズムの『ひかりごけ』が有名ですが、この作は、彼の中国通を活かした軽快な読み物。かなりユーモアたっぷりな筆遣いで描かれています。

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主人公は、十三妹(シンサンメイ)という中国の女忍者の活劇。
清国のある名門の御曹司にとついだ第二夫人の彼女が、官位を得ていない秀才肌の夫のために奮闘するストーリー。
これが書かれたのは、なんと一九六〇年代。今では珍しくもない、へたれ男子と戦闘美少女の組み合わせがそんな早くに実現されていたというのも、びっくりですね。

解説を書いているのは、『銀河英雄伝説』で名をなした田中芳樹。
イラストは「アベノ橋魔法☆商店街」の漫画を描いていた方なんですね。
血なまぐさい描写もありますが、イラストの十三妹がかわいいので耐えられます(笑)


ちなみに私のお気に入りは『貴族の階段』
悲しい愛情が交錯するお話でしたね。


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