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【画像20241109】【千歌音とソウマはWヒーロー】
神無月の巫女は、女からの愛が男からの愛よりも尊い、同性愛が異性愛に打ち勝つ。結果論からすればそんな見方もできましょうが、これには少しだけ異を唱えたい。
【画像№017】で引用した旧版DVD―BOXのブックレットから今度は原作者の介錯先生の言葉を引用してみましょう。
「ヒーローはヒロインの為に傷つき、悩む。だが、それは千歌音。つまりヒーローは千歌音」
「ソウマには真っ直ぐなヒーローとしての要素を詰め込んだ。愛を得られなかっただけで、ヒーローであることに変わりはない。姫子の為に地球を守るという行為の動機が叶うことが終着点だと思わない。地球は救うのだ。動機と結果は違う。それでもいいんじゃないか。それでもヒーローなんじゃないか」
これは、柳沢テツヤ監督の言質と似ているようでやや異なるもの。
ソウマは世界を救った英雄。而して、千歌音は姫子をケアした救世主。物語の前半部、姫子を襲った巨大ロボを操っていたのは(オロチの血があったとはいえ)ソウマですし、まず、衣食住を確保できる手配をしたのは千歌音。たび重なるオロチの襲来で無力さを痛感し、姫子の無事のためならば、ソウマの側に送り出さねばならない。巫女の神機アメノムラクモさえ早々に召喚できていれば。千歌音の焦りは姫子に無理強いをし、ソウマとも衝突することに。
その後、8話の夜を経て、闇落ちしたかにみえた千歌音。そうはさせなかったのは、姫子の気づいた愛。ほんらいは敵方、オロチ衆の最終兵器として散るはずの千歌音。けれども、彼女もまた世界の再生を望むために、この修羅の道を選んだのだった。だからこそ、千歌音もまたヒーロー。
千歌音がヒーローたるゆえんは、事実はソウマにとっての恋敵ではなかった点。
アニメ最終話では息を引き取る直前に、お幸せにと願う言葉が。ソウマを潰したければ、奪ったタケノヤミカズチでできたはずです。いっぽうで、ソウマも千歌音の人柄を認めていたので、姫子の想いを汲んで逢瀬の時間稼ぎの為に戦闘をひきうけたわけです。オロチの血に逆らうことが破滅だと知りながら…。
女性同士の愛がより尊いとするならば、ソウマを厭味ったらしいフィアンセだとかにすればよろしかったわけですが、あえてそうしなかったことに、この作品の特異点があるといえます。千歌音やソウマだけではなく、いじわるな同級生に手を差し伸べた真琴にしても、誰もが転んでしまった誰かを救えるヒーローになれる。ヒーローの愛とは、お姫様と結ばれる王子様ごっこではない。世界を救い、人びとの笑顔を守る愛である。だからこそ、千歌音もソウマも相並び立つヒーローである、神無月の巫女はそんな物語、と言えるのでしょう。
【Image】画像で語る、すこぶるアガる、神無月の巫女
神無月の巫女20周年、その前に。二次創作小説の更新時お知らせ記事につけていた画像。たまにコメントをつけていましたが、いい機会なので、ちょこっと遊んで企画化してみることにしました。
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神無月の巫女二次創作小説「君の瞳に生まれたエフェメラ」
第五話:【五】来栖川姫子の変身
千歌音ちゃんはなぜか楽しそうにウインクまで寄越してくる。
生まれ変わる前の、千歌音ちゃんもこんなに目を瞠るぐらいのまばゆい美人さんだったけれど、でも、きっとこんなに割り切ってはいなかった…はず。それはわたしも同じで、いつも臆病で怯えてて、甘えられる人には泣きべそで、泣けない相手には薄ら笑いで黙って耐えるだけ。そこから、ちょっとは成長できたのかな。
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神無月の巫女二次創作小説第十六弾にして、二〇周年記念の新作をお届けいたします。転生後に同棲しはじめたものの、ある一枚の写真をめぐる姫子と千歌音のさざなみを描いた短編アフターストーリー。
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([神無月の巫女二次小説 其の一]→「君の瞳に生まれたエフェメラ」(目次)