陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

憧れのお仕事のお給料について調べておこう

2023-08-08 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

子どもの頃の夢はと聞かれて、なにがしかの職業を答えることが多いもの。
小学生男子の将来の夢ではユーチューバーやゲーム関係、女子はデザイナーやらパティシエやらが多いそうですが。でも、親御さんなら絶対それはやめておきなさいよ、と言いたくもなるお仕事もありますよね。

なぜって、子どもは仕事の本質をまだ知らないからです。
いいや、大人になってなんとなく、ぼんやりと働いている大人だって、わかっていないのかもしれない。ある日、いきなり食べていけなくなるような不安定なお仕事をするには、するなりのメンタルや体力が要ります。

働く=お金を稼ぐ、生きていく、ということです。
ですので、いやらしい言い方ですが、自分が目指したい仕事があれば、そのお給料の相場についてまず調べておいたほうがいいわけで。私は子どもの頃、そういうことを意識したことがまったくありませんでした。ぼんやりと、自分の興味、好きなもの、得意教科、なんかで決めていたりしたのです。今ほどキャリア教育もうるさくはないので、職場見学といいましても地元の大手メーカーの工場ぐらいでしたし、仕事を糧にする、というイメージが湧きにくかったのです。

図書館にある職業図鑑のようなマニュアルには、ざっくりとした額しか書かれていません。
職種や業界、会社規模、雇用形態、勤続年数、そして男女によっても当然ながら差があります。

うちのご当地県では、県内のハローワークの求人情報がプリントされて、役所窓口や図書館、主要な商業施設にて配布されています。
職種、事業所名、就業場所、就業時間、加入保険、そして必要な免許・資格などが明記されていますよね。街角にある無料求人誌などもありますし。転職したいわけでなくとも、どんな会社や仕事があるのか知りたくて、こうした求人情報をよく拾ってきます。傍からみたら無職に見えるのでしょう(笑)

たとえば、一般的に難関といわれる資格取得に何年も費やして、晴れて合格。
さて、どこかの事務所だか企業だかで経験値を積んで独立しよう。そう思っていても、田舎の個人事務所では取得にかけたコストに見合わない給与、もしくは待遇だったりもします。40歳近くで開業できる士業資格を得ても、その業界に身を置いたこともない、そもそもの社会人経験すら浅いとなれば、独り立ちするのもなかなか大変です。

自分の適性を知らずに、なんとなくの憧れだけで仕事選びをしてしまうと、キャリアに一貫性がなく転職や再就職するにしても不利になってしまいます。
また目が出ないままずるずるとその業界に居続けたあげく、成長産業へ行く機会を失ってしまうこともありますよね。でも、成長産業ってなんでしょう。今はIT産業がと言われていますけども、それが30年とのちも安泰の業界であるかわからず、そこでの個人の幸福感があるのかは未知数です。常に異業種や異業界に移ってもいい様に日ごろから情報収集したり、ビジネススキルを磨いておくべきなのでしょう。

私も転職でよく失敗をしていますけども。
就職氷河期だから、田舎だから云々というよりも、この業界と職種の相場を読めていなかったことが原因のこともありました。給与が低く、事業規模が小さい、アットホームな会社だから楽だろうと踏んでいたらそうじゃなかったり。非正規で働いているけれども、企業母体が大きいから待遇が意外にも良かったり、なんてことはよくあります。中小企業の事務員は、30年以上も働いているのに定年前でも月給が20万以下なんてザラです。では、一見、時給の高い派遣仕事ばかり渡り歩けばいいかといえば、スキルが身につかなかったりもしますよね。

それに今は終身雇用や定時昇給が保証されてもいないから、キャリアパスが描きにくくなっている。予想だにしない業界へ流れて、キャリア育成で人生設計どころか、もう目前の賃仕事で生きていくのが精いっぱいという。そんな人は多くいます。

以上は雇われを前提としていますが、自営業やフリーランスの仕事では、いくら稼げるかというのはまったくの想定外です。

そういう現実を、自分はこの年までこれぐらい稼ぎたい、けれど実際は…といった諦念を不惑を迎えるころになんとなく知ってしまうわけですね。
ああ、あの仕事がしたいと思ってみても門戸が閉ざされているわけです。中年になって大学に入りなおしても、就職に有利になるわけではない。

ちなみに私が美術関係の研究職を諦めたのは、受からなかったせいもありますが。
非正規採用が多くて、全国各地に応募があり、割りに合わないと感じたからです。今って恐ろしいことに、どんな業界でも労働価値の価格破壊が起こっていますよね。高給取りとされたアナウンサー職でも、医療関係のお仕事でも、非正規で募集だったりしますし。社長さんと呼ばれていても、会社が借金だらけで自分のお給料は返上になっている、なんてこともよく聞きます。私が昔、経理事務で勤めていた会社もそうでしたし。

自分の仕事の満足度を高めていくには、既存の労働報酬以外の価値観が必要になってきた時代なのかもしれませんね。
ただし、どこかの組織に属するというのは身元保証でもあるので、一概に収入額だけでその労働価値を算出されるものではないのですが。


(2021/09/11)

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