桜咲く、若葉芽吹くそんな春の季節。
四月は新しい旅立ちの時期。クラス替えも行われるので、新しい出会いにわくわくする。しかし、二次創作者はどうでしょう? いつまでも古いジャンルにしがみついて、教室にひとりポツンと残された状態を味わうことになります。窓ガラスの向こうで、級友たちが楽しそうに校庭で騒いでいるのを目やりながら…。
以前にジャンルイナゴのお話を記事にしました。
そのカウンターパートとしてジャンルの古株ことジャンルゴジラのことも記事にしたりもしました。
私は少数作品での二次創作歴が長いほうで、やはり、同じく次から次にジャンル飛びするひとよりも、ずっとその原作ジャンル界隈にいてくれる方に親近感が湧きます。これは何も同じジャンルだからではなく、まったく知らないジャンルだけども、長編の二次ものを定期的に更新したり、継続はできないけれども数年ぶりに続きを書いてくれたり、という行為をみると、ヲタク魂が揺さぶられます。
しかし、ある原作ジャンルにずっと居続けることは美談のように語られがちですが、決していいとはいいきれません。ジャンル移動しないというかできない事実には、それなりの理由があるのです。今回はその事情を列記してみます。
・書きかけのものを捨てられない
大量に下書きしたデータ、メモ、途中まで仕上げたが飽きたまま放置のストーリー。中断した理由はいろいろですが、未練があって消せないし、廃棄もできない。構成しなおして他のジャンルでも流用できるかといえばそうでもない。なので、しぶしぶ更新を続けることになります。しかも、在庫処分中に原作ジャンルの続編がきたりして、再熱することもあります。
・他ジャンルの最新作に脳が追いつかない
中年ヲタクあるあるです。若者向けの刺激的で伏線が複雑に絡み合ったストーリー展開やややこしい名前、場所、道具、設定などなど覚えられない。しかも、年を取って目が肥えたのか似たり寄ったりにみえて、萌えられない。なので、新ジャンルに飛び出せないまま、古巣にずっといるパターンです。
・ジャンル内のお付き合いに不満がない
これはいちばん幸福な事情ですね。ジャンルで同志とトークができて、情熱も等分なので楽しい。ただ、これはどちらかが他の作品に浮気したり、無理に染めようとしたりすると、仲違いを起こしやすい危険をはらんでいます。私の子ども時代のオタ友だちがそうでした。別れたのは互いに相いれない作品にハマったから。私自身は現在同ジャンルの人とは深く付き合わないようにしているので、ストレスはありません。ただし、ムカついた言動があったらブログで暗に厭味を書いていますけどね。
・二次創作ふくめたヲタク活動を自粛したい
二次創作をしてはいるが、いずれやめたいと思っているので、もう新規作も発表できないパターンです。経済的に他の作品を買い支えできなくなったとか、仕事や家庭の事情でヲタク活動を楽しめなくなったとか。同人誌出版にお金がかかるからやめたとか。
・リア充な趣味が楽しすぎる
上記の理由と似ていますが、ややポジティブな理由。恋人ができたから結婚するから二次元妄想をやめようとか、社会人サークルでアウトドア趣味ができたとか。私の場合、数年前に資格取得と、空き家問題発生の処理に追われてしばらく二次創作をやめていた(在庫があるからブログに載せてはいた)し、二次創作以外にもやりたいことはあります。ブログでは、二次創作以外の記事もたくさん書きたいですし。多趣味のなかのひとつという位置づけですね。
桜の木の下には死体が埋まっているそうですが、ジャンル移動できない二次創作者はその原作ジャンルにとらわれてしまう理由があります。頑なに貞操を護っているという信条からではなく、ぬきさしならぬ事情があったりもするのです。
(2020/11/07)