陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

男でも女でもない人間が増えている?!

2020-12-23 | 芸術・文化・科学・歴史

2020年11月の深夜のことですが、NHKのとある特集番組で、おもしろい企画がありました。確か織田裕二がコメンテイターで、女性の生命科学関係の研究者が登場した番組です。「ヒューマニエンス」とかいったようなタイトルの。

その回の特集は男と女。
男女の違いは生殖器の差異として外形的に現れますが、遺伝子情報の変更によって、完全に男か女かに区別できない、連続性のある中間的な存在があるという。これを虹になぞらえて、性スペクトラムという。

人間の性別が分化するのは、受精卵のときにX染色体を両親からうけつげば女、男親からY染色体をもらえば男になるのは、知られています。ところが、このY染色体がコピーを繰り返すうちに傷ついたり、劣化しているとのことで。研究者の弁では、500万年くらいしたら、Y染色体はなくなってしまうのではないか、という衝撃の事実が。

では、そもそも男性が生まれなくなるかと言えば、その可能性もなく。
長じて性転換する魚のクマノミのように、Y染色体がなくとも、男性化できるような遺伝子変化が生じるのではないかという予測でした。哺乳類は雌雄両性の遺伝情報を受け継ぐことができないと子孫が残せない仕組みであるために、女性だけが残って人類が滅びてしまうなどということはないだろう…と。まあ、あと500万年も生きたらいいんじゃないかなと思いますけども、人類。

さらに踏み込んで、同じ霊長類でも、ゴリラは強い雄が何頭もの雌を従える一夫多妻制。しかし、雌雄の体格差がさほどないチンパンジーは重婚。そのあいだにある人類は、現代の先進国ではパートナーを固定する一夫一妻制だが、ほんらいは自然に反し、海外の研究では夫婦の愛は4年が限度という結果まであるそうです。

しかし、なぜ、人間社会が一夫一妻をかたくなに主張するかといいましたら。
動物界によくある子殺しを防ぐためであるという。子どもがいるので夫婦仲が冷え切っていても離婚しない家庭もあり、またシングルマザーが内縁の夫と同棲したら連れ子が虐待されるというケースも増えています。現実に考えても、一夫多妻制は相続上のトラブルが起きやすいので推奨すべきではないとは思いつつ。

世間でいうところの男らしさだの、女らしさだのって、いったい何なんだろうかと考えてしまいますね。男なんだけどマッチョイズムではなく女性めいた細やかさがあるひとは好かれますし、また女だけども度胸があって統率力があるひとも今後の社会ではひつような人材です。ゼロサム思考ではなく、世の中にはどちらにもあてはまらない、白か黒かでは割り切れないという考えはあってもいいのではないでしょうか。おじさんが可愛く見えたり、女性が性に奔放だったり、そんなサブカルみたいな現実がやってくることが、人類総勢において幸せなのかはさておき、異質なものを理解することのできる中間層の存在って、人の生存には必要な存在ではないかと思うのです。

(2020/11/20)



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