陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

神無月の巫女設定資料集(九)

2014-12-21 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女


今回で、ロボット関連もの考察の締めとなります。
(なんだ、まだ続くのかと思ってる皆さん。残念ながら、「まだ最終回ではないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ 」by 亀仙人)

前回では、大正時代にロボットが存在しうるのかについて検証してみました。で、存在する余地があることを(かなり無理矢理に)確認いたしました。
でもね、でもね、この作品。現代であっても、ロボットが登場するのに違和感がありますよね。そのもやもや感って、どこからくるんだろう? 

百合アニメにロボットがそぐわないから?
女の子がくっつきあって、いちゃいちゃしてればいいのに、ロボットバトルなんて邪魔だ。というようなご意見もありますよね。でも、そうでしょうか? だって、女の子が集団でロボットみたいな機体に乗って戦うアニメって、ちらほらありますよね。たとえば「シムーン」(しかし、これはロボットではなくて飛行艇らしい)ですとか、ちょっと古いですが「魔法騎士レイアース」ですとか。あと、最近だと水樹奈々さん主演で、客演の田村ゆかりさんの役どころがかなり笑ってしまう(リリカルなのはファンだったらとくに(笑))「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」という、今期かなりの衝撃でもってはじまる問題作(なんだけど、意外にストーリーはしっかりしてるし、優生学や戦争における強制された傭兵、偽善的な平和、形式的な絆など社会的なテーマをうまく料理しています。もともとはSFものやロボットものにはよくあるテーマなんでしょうけど。でも、これも視聴者をかなり選んでしまう異色作)もあります。

こうした作品群と「神無月の巫女」との明確な違いってなんだと思いますか?
百合度が少ないから? いえいえ、そうではありません。ロボットに搭乗するときのいでたちにあります。ロボットで女の子が搭乗者の場合、戦闘員という職業に近い存在なので、専用のパイロットスーツみたいなの、着てますよね。いっぽう、「魔法騎士レイアース」はたしかセフィーロという異世界に召還されたヒロインたちが、現実世界の学園の制服の着の身きのままやってきたのだけど、戦闘となると肩と胸を保護するプロテクターを装着してますよね。続編になると、マントぴらぴらさせてますし。そういえば、最近のアニメキャラって、あんまりマントありませんよね。もう時代遅れなんかしら。


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そもそも、おおかたのロボットアニメ、とくにガンダムだの、エヴァンゲリヲンだの、マクロスだの、有名どころを見るに、搭乗者の少年少女たちはたいがい、ぴちっとしたスーツにヘルメットをかぶっています。言うなれば、ちょっとカラフルな宇宙服といったところか。防護服であって、それ着てないと危ないからでしょうね。巨大ロボットを動かすために、内包される人間自体も仮装しなければならないんです。

でね、「神無月の巫女」の何が、どう、それらと違うかと言いますと。
(「違う」というのは、比較作品と区別してココ優れてますよという意味あいじゃないですよ。念のため)
敵方も味方も、というか味方はほとんどソウマくん(味方で本気で戦闘員だったのはソウマくんだけなんだが…)ですが、普段着で乗り込んでるんですよね。ロボットに乗るために、わざわざ変身したりなんてしないわけです。だって、これ、変身美少女ものじゃなくて、すごーく地に足のついたお話だから。戦闘服っぽいなって思うのはツバサ兄さんの服ぐらいですよね。あのヤンキーの特攻服みたいなのが(笑)。

この作品で、戦闘服だと認定できるのは、終盤の対オロチ決戦のみです。
通常、学園の制服かもしくは私服かのソウマでさえ、アメノムラクモ内では巫子すがたになっておりました(漫画だと頁の都合かしらんが、かってに着替えていたりする。これ、変身ものじゃないだろうというツッコミが…(笑))ので、ムラクモさんはどうも和装しないと動かないみたいですね。ほんと、ムラクモさん、めんどくさいロボット、中の人が素子だし。千歌音がソウマロボを操縦したのも巫女服ですし、最終的にムラクモさんが本領量発揮するときも、ふたりの巫女は正装となりました。つまりは、この世界でのロボットの戦闘服は巫女服ということになりますね。

そして、「神無月の巫女」っていうタイトルなので、巫女さんが出なきゃおかしいわけだけど、巫女さんがそもそもロボット乗ってるってのが、絶妙に違和感があるわけです。巫女さんがロボットって、あーた、日本の城廓に「ベルばら」のオスカルとかアントワネット様がいるぐらい、へんちくりんなことですよ。

和服の少年少女がロボット乗り込むって、かなりの違和感がありますよね。
この作品のロボット似つかわしくない理由の底にあるのは、これだと思うのですが、どうでしょうか。いや、登場人物がしっかりと和装してて、そのうえ、しっかりとロボットものとしても成立してるんだよ、という作品があるのかもしれませんが。仮にあったとしても、ロボットアニメにあんまり免疫ない人が主要ターゲットになってそうだから、真新しさがあるのかもしれませんね。

この作品で、ヒロインふたりが巫女服にならなきゃいけないのは、先述したように、ここでの巨大ロボット=荒ぶる神であるからです。巫女というのは神を操って戦うというよりも、神の怒りを鎮めるという働きなのでしょう。ここでの神=ロボットがひとを内在させて戦うというのには、ひとを呑む、という意味あいもあるのかもしれませんよね。ですから、ロボットを駆る敵さんも自分の大きなおもちゃのように思っているけれど、実際はそれを動かすって悲惨なことなのかもしれません。

そういえば、姫子と千歌音が制服で乗り込んだことありませんよね、たぶん。
あの制服でお揃いというのは、姫子・千歌音とソウマとを分けるポイントなんですよね。
姫子と千歌音とが「おなじ存在である」「女である」ということを強く感じさせるメルマールであるので、ピクシブやファンサイトの絵師さんに制服姿のほうが、よくよく描かれるのだろうなと思います。(いつもありがとうございます。楽しませていただいております)

姫子と千歌音がお揃いと言えば、そうそう、あのメイド服ですよね。
二人だけじゃなくて乙羽さんも着てた、あの姫宮邸侍女軍団ご用達の、あれ。メイド服のふたりが、そのまま、アメノムラクモに乗ったらどうなるんだろう、…ということを想像してみましたが、かなり、おかしいですよね。初期設定によると姫宮家侍女長の乙羽さん、八の首だったらしいけど、メイド服のまま乗ったんでしょうか…うーん。エプロン掛けてる主婦が戦ってるみたいで笑えますよね。ギャグにしか思えないんですけど。

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で、このメイド少女がロボットに乗るんじゃなくて、ロボットそのものに変形していくのが、「京四郎と永遠の空」なんですよね。いまのアニメですと、メイド少女が戦ってもおかしくはなくなってきてますが(「舞-HiME」に超凄腕の殺人メイドがいたような気がする)、やっぱりメイドさんは暴力には走らずにですね、癒される笑顔でご奉仕してほしいものですよね。

以上、ロボットアニメ視聴者素人による所見でした。
なんか強引に力説してしまったけれど、和服+巨大ロボットって前例がどこかに転がっているのかもしれませんね。もしあったら、どなたか反証お願いしたいところです。

この考察シリーズは、次回をもって最終回となります。


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