陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

こころの健康を害するライフイベント(前)

2020-11-02 | 医療・健康・食品衛生・福祉

近年職場内のハラスメントがやっと表面化し問題として認識されるようになりました。
社員が病んでしまい、急な退職や休業に追い込まれると、残された社員の負担が増え、下手すると第二、第三のこころを病む人も出てきます。

ところで労働者のメンタルヘルス不調は、仕事によるものとは限りません。
加齢による体力・思考力の低下、配置転換で適応力のない業務についた、部下の指導や上司同僚との軋轢などの会社内でのストレスのほかに、私生活上の理由もあります。業務遂行性や業務起因性が認められる精神障害は、労災の認定対象になりますし、事業者の安全配慮義務も求められますが、個々人の家庭の事情や遺伝的な健康状況にまで会社が立ち入るのは難しいものではあります。

そうかといいまして、社員が家庭状況でストレスフルな事態(家族の介護・看護、出産育児、離婚や配偶者問題など)を抱えているのを無視して、過剰な業務ノルマを課しても責任を問われないわけではありません。上司ひいては事業者には部下のメンタルへルスを気遣うラインケアの責任があります。職場内でこころの健康づくりの指針があるのが望ましいし、産業医や外部専門家への支援を仰ぐ必要もあります。いま、不調者がいないからといっても、予防対策はあったほうがいいのです。

そのいっぽう、被用者個々人も自己の心身の健康を自分で管理する自己保健義務もあります。労働者がストレスを感じるかは職場の風土や規模、労働環境によって異なります。またリフレッシュの方法も個々さまざまで、社外の人間関係にもよりけりです。ストレス耐性も本人の属性に左右され、かならずしも医師の診断をうけたカウンセリングや薬物療法が有効とは限らないのです。

近年では、脳機能の異常により精神状態やホルモンバランスが崩れることがメンタル不全を引き起こすことも明らかになっています。けっして本人の性格の脆弱さや能力の問題だけではないのです。職場で働けないほどこころを病む要因はひとつではなく、複雑に絡み合っているケースもありえます。

今回は、日常生活の延長でメンタルを病みやすいライフイベントについて考えてみましょう。どのような出来事が自己のストレスになるかを認識できていれば、いかなる気晴らしや対処療法をすればいいのか考えられるかもしれません。


こころの健康を害するライフイベント(後)
家族の死や離婚、別居、失業などの喪失体験ならまだしも、意外なのは、結婚や妊娠、家族の増加、子どもの独立など慶事に思えるイベントまでもがストレスになりかねないということです。労働者が日常問題をうまく解消しストレス発散できずじまいになると、職場内でキレやすくなったり、ハラスメントを生じやすくなったりするかもしれません。


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