23日から4日間、伊豆大島でダイビングを楽しんできました。器材のトラブルに泣かされた一方で、20余年の大島来島歴で初めてのポイントに潜る楽しみもありました。
ドライスーツ大水没
前回11月のダイビングでドライスーツのネックシールの縫合部分から浸水があって、メーカーで修理が完了して「今度こそは」とウキウキして持ち込みましたが、1本目のエントリー直後に左の太腿あたりに盛大に浸水の感触があり、そのまま1時間のダイビングは続けたもののクラブハウスに戻ってスーツを脱ぐと、ブーツからじゃーっと海水が流れ出る始末。なんと左太もも辺りの生地の縫合部分に長さ3cmくらいの裂け目が出来ていました。
ソメワケヤッコ
シラタキベラダマシ
人気者のイロカエルアンコウ。体長1cmほどのチビです。
2本目以降、残りの日程はレンタルのドライスーツで凌ぎます。前回の水没経験で念のため予備のインナーウェアも持って来ていて、図らずも役に立ってしまいました。ツアーから戻ったら再びメーカー修理へ直行です。
ガラスハゼ
ハワイトラギス
「ピカチュウ」こと、ウデフリツノザヤウミウシ
段落ちのハナゴイです。
段落ちの岩穴に隠れているユカタハタ。
段落ちの壁下に堂々と寝そべっているネコザメ。
リブリーザーで危機一髪?
二日目はPoseidon SE7EN CCRを準備して、秋の浜の「おかわり」を目指しました。一緒に潜るのはガイドの有馬さんとMさん、お二人は通常のスキューバです。エントリーしてまずは水深5mの海底で中世浮力の調整とリブリーザーとカメラの正常動作も確認した後、水深10m~15mほどの中層を際沿いに北上します。目的地に近付いたら海底へ向かって水深を下げて行き、ー45mの岩の窪みではアサヒハナゴイを確認。ここまでは過去にスキューバで何十回、何百回も潜ってきている景色で、リブリーザーでも過去に2回来ています。
さぁ、ここから先はリブリーザーでは初体験の深度。しかしスキューバでは1度「おかわり」のー57mまで来たことがあるので、不安はありません。左腕に着けたリブリーザーのパドル表示盤も異常なし。もちろん呼吸もいたってスムーズ。この先の「おかわり」を目指して有馬さんの先導で潜降を続けます。それからものの1~2分後、ふと左腕のパドル表示盤をみると、なんと
すべての表示が消えている!!! 予期せぬ緊急事態です。
冷静になって事態を観察すると、呼吸はスムーズで正常。異常なガスの注入・排出音は聞こえず、警告音、警告灯もなし。しかしこの水深で万一酸素分圧が正しく調整されないと、酸素中毒でいきなり痙攣を起こしたり、あるいは低酸素で突然失神したり、命に係わる危険に直結します。直ちにリブリーザーの使用を中止して、浮上する決断を下しました。先を行く有馬さんに機器異常と浮上のサインを送って、マウスピースのレバーをOpen Circuitに切り替えて、元来たルートを引き返します。Open Circuitモードでは希釈用の3Lの圧縮空気タンクのから空気を吸って呼吸するので酸素中毒の心配はなく、普通に呼吸しながら浅場を目指します。この時でも急速な浮上は危険なので、ダイブコンピューターの水深計を見てBCDとドライスーツ、リブリーザーのカウンターラングの余分なエアを排出しながら浮上します。一方、希釈ガス用3Lタンクでは容量が限られているので、ー50mからの浮上では途中で不足してエア切れの可能性がありますが、その場合は緊急用にもう1本3Lの圧縮空気タンクを携行しているので、そちらのレギュレーターに交換すれば問題ありません。
浮上開始から10分、水深10mの「段落ち」まで戻ったところで、ふと左腕のパドル表示盤を見ると
画面表示が復活している!!!
希釈ガスの残圧が残り少ないため abort ↑ (潜水中止)を繰り返し表示していますが、それ以外はまったく正常に表示されています。試しにマウスピースのレバーをClosed Circuit(リブリーザー・モード)に切り替えてみると、Setpoint(呼吸回路中の酸素分圧)は1.0と正常値を示し、普通に呼吸出来ています。そこで、この先エキジット口までの7~8分はClosed Circuitのまま中層を泳いで行くこととしました。水深6mまで上がれば万一リブリーザーの動作が異常で純酸素が供給されても危険はないし、約10分とは言えー50mから圧縮空気を呼吸して浮上してきたので残留窒素を速く排出するためにもClosed Circuitの方が有利と判断したためです。無事にエキジット口のはしご下に辿り着き、水面浮上のため再びマウスピースをOpen Circuitに切り替えた時には、すでに希釈ガスは一息も吸えないまで空っぽになっていました。
クラブハウスに戻って希釈ガスの圧縮空気タンクを再充填し、もう一度最初からダイブ前テストを実行すると、すべて正常。今回の緊急事態発生の原因は不明のままです。いずれもう一度、さらに慎重にパドル表示盤の警告表示を注意しながら、同じ場所まで潜ってみる必要がありそうです。午後からの2本目は最大水深を42mまでで抑えながら、まったく問題なくリブリーザー・ダイビングを楽しんできました。
はじめてのトウシキ
大島でのダイビング歴20余年にしてはじめて、南部のトウシキ浜に潜りました。トウシキはクラブハウスのある元町地区から車で30分ちかくかかるため、高速船の到着や出発に合わせなければならない土日・祝日はまず無理。平日でも秋の浜に入れる日は大抵秋の浜へ潜るので、これまでなかなかトウシキに来る機会がありませんでした。今ツアーの3日目はゲストは私一人で、行き先も含めてリクエストを聞いてくれることになり、風向きも問題なさそうなので実現しました。折しも別のショップのスタッフさんから、数日前からトウシキでサメの目撃情報もあり、期待大です。
トウシキ浜はしかし、エントリー/エキジット口の浅場に大きなゴロタが点在していて足元が不安定で少々難儀ですが、王の浜と同じように水深2m程度の浅場をロープ伝いに50mほど進めば、その先はー8mまで一気に落ち込んで広々と視界が広がります。沖まで進んでも最大水深は20mそこそこ。あいにく期待したサメは現れませんでした。
体長20cmくらいある大きなツキベラ♂
秋の浜は透明度25m以上
ツアー後半に向けて秋の浜のコンディションは尻上がりに良くなってきました。水温も安定して17℃~18℃あり、寒波による冷たい北風が吹きつける陸上よりも、はるかに快適です。年末のためでしょうか、土日にもかかわらずゲストダイバーは少なめなのもgood。三日目の午後は夏帆さんのガイドで右の駆け下りへ。
クダゴンベ
最終日の一本目は、夏帆さんのガイドでもう一度際へ。
アサヒハナゴイ
ホクロキュウセン。鰓蓋と目の間のホクロ模様が特徴。
アマミスズメダイのチビ。体長は2cmほど。
タテジマキンチャクダイの幼魚。体長は5cm足らず。
ペガススベニハゼ
2本目は木村君のガイドで正面ゴロタへ。水中は一段と透明度を増して、明るい陽射しも相まって30m以上見えていました。
岩陰の砂地に熟睡中のカスザメ。支持棒でつついても覚めない。
ミツボシクロスズメのチビが集まって、幼稚園のよう。
体長3cmほどの可愛らしいハタタテハゼ。
【後日談】水没ドライスーツのその後
もう暮れの26日(日)の帰路、大島から高速船で東京港竹芝桟橋に到着し、その足で池袋のジェノバ工房へ直行しました。水没の原因個所は専門家が見ても一目瞭然でした。てっきり年明け1月いっぱいくらい修理にかかるかな、と覚悟していたのですが、幸いにも今回損傷した接合部分は接着剤で貼り直すだけで補修可能で、翌日までに出来上がるとのこと。年明けの遠征予定にも使えることになるので、嬉しい限りです。
オーダーメイドで購入してちょうど3年経ったスーツなので、生地接合部分の接着剤が多少劣化してくるのはやむを得ない頃だと理解しているのですが、ここのおかみさんは自店のスーツの品質には絶対の自信をもっているようで、「ウチのスーツの接合部分が3年くらいで劣化するはずはない」と言った感じでプライドに火が点いてしまったようで、修理代の話など一切始める前から「今回は無料で修理させていただきます」ですって!
翌日は年内の最終営業日。再び店を訪れて、きれいに修理が出来上がったドライスーツを受け取ってきました。年明け早々の遠征予定が楽しみです。