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SCUBAPRO Galileo 2 ダイブコンピュータのCCRモードの使い方

2023-03-16 11:17:53 | equipment

リブリーザーでダイビングするときは、内蔵のコンピュータが酸素と空気(希釈ガス)の混合比を自動調整しながら、無減圧停止潜水のための潜水時間も計算してくれますが、その一方で別にダイブコンピュータも携行して併用する必要があります。この記事では、そのためのダイブコンピュータの設定と操作をご紹介します

 

 今日では、ほぼすべてのレジャーダイバーはダイブコンピューターを身に付けてダイビングを楽しんでいます。その目的は、減圧症の予防です。減圧症は、通常の陸上生活よりも高い圧力の空気を呼吸することによって体内に余分な窒素ガスが溶け込み、ダイビングを終了して陸上に戻るときに余分な窒素ガスの排出が間に合わないために発症します。この減圧症の発症を防ぐ方法は二つ。

(1)体内に溶け込む窒素ガスの量を減らす。

(2)体内に溶け込んだ窒素ガスがスムーズに排出されるよう、ゆっくりと浮上する。

ダイブコンピュータはダイバーがこの2点を実行するのを支援します。具体的には、ダイバーが潜水中の深度を常時モニターしながら、その深度に応じてダイバーの体内に溶け込む窒素ガスの量を計算し続けます。ダイバーが潜降しているときは水圧に応じて呼吸する空気中の窒素分圧が上がってゆくので、体内に溶け込む窒素が増えて行きます。反対にダイバーが浮上しているときは呼吸する空気中の窒素分圧が下がってゆくので、体内に溶け込んだ余分な窒素は肺から排出されます。

 

1.スキューバとリブリーザー(CCR)の違い

 スキューバでは、ダイバーが呼吸するガスは圧縮空気ですので、そこに含まれる窒素分圧はダイバーが滞在している場所の水圧、すなわち水深が判ればすぐに計算できます。ナイトロックスを使用している場合でも、潜水前にナイトロックス・ガスの正しい酸素/窒素の割合が設定されていれば、同じようにダイバーの水深だけで呼吸している窒素分圧が計算できます。

 しかしリブリーザー、特にClosed Circuit Rebreather (CCR)では、ダイバーが呼吸しているガスはリブリーザーが随時自動的に調整しています。基本的には減圧症を防ぐために酸素を多く窒素を少なくするよう、酸素と希釈ガスのそれぞれのシリンダーからのガスを細かく調整して混合します。しかし高圧の酸素には急性・慢性の毒性があるために、酸素を多くするには限界があります。このためダイバーが深い水深まで潜降すると、酸素分圧が1.4気圧以下に保たれるよう、希釈ガス(通常は空気)を多く混合します。次のグラフは、あるダイビング中の赤:深度変化と緑:セットポイント(酸素分圧)の推移を記録したものです。

エントリー直後の①の時点ではまだ水面にいて、セットポイントは0.5、すなわち酸素50%窒素50%に混合されます。混合比率はこのままで潜降するにつれて水圧が上昇し、水深12mに達した②の時点で酸素分圧は1.2で頭打ちとなります。さらに深く潜降を続けると、常に酸素分圧が1.2となるよう希釈ガスを多く混合して酸素の比率を下げて、水深30mに達した③の時点では酸素30%、窒素70%の混合比になっています。その後ゆっくりと浮上してくるにつれて周囲の水圧は下がってきますが、酸素分圧は1.2気圧を保つように今度は徐々に酸素の混合比を上げて来て、水深10mの④の時点で酸素分圧1.0,酸素50%、窒素50%になっています。引き続きゆっくりと浮上を続けると周囲の水圧は下がりますが、酸素の混合比率が50%を超えると今度は発火の危険性が高くなるので、酸素と窒素の混合比率はこのままで酸素分圧は下がってゆきます。水深5mで安全停止中の⑤では酸素分圧は0.5になっているのが判ります。

 リブリーザー本体はこのようにダイバーが呼吸しているガスの酸素/窒素の割合を随時調整して混合しているのですが、ついでに減圧症予防のためのダイブコンピュータとしての計算も同時に行って、リブリーザーのパドル表示盤にダイブコンピューターと同様の無限圧潜水可能時間や減圧停止深度&時間なども表示します。ところがその酸素/窒素の割合は同時に予備的に携行しているGalileo2ダイブコンピュータ(以後、G2)には判りません。これではG2では正しくダイバーの体内窒素量を推計出来ず、減圧症予防のための無限圧潜水可能時間や減圧停止深度&時間の指示も出せません。そこでG2ではCCRモードという特別な動作モードを用意して、CCRモードで潜水中には近似的にリブリーザーが調整している呼吸ガスの酸素/窒素の割合を推計して、体内の窒素量を計算します。

 リブリーザーがダイブコンピュータとしての機能も提供してくれるなら、そこまで近似的に計算してもG2を携行する必要があるのか? 疑問を持たれるかもしれません。しかし次の理由のため、リブリーザーでダイビングする場合でも、ダイバーは予備的にもう一つのダイブコンピュータを携行する必要があります。

(1)レジャーダイビングではしばしば、毎回すべてリブリーザーで潜水するとは限りません。数日に及ぶダイブツアーでは前日まではスキューバでダイビングしていて、今日からリブリーザーを使用するかもしれません。あるいは午前中はスキューバで潜り、午後からリブリーザーを使用する場合もあるでしょう。この場合、リブリーザーは前日までや午前中までのダイビングでの体内の残留窒素濃度を把握できず、正しく減圧症予防が出来ません。スキューバで潜っていた時のダイブコンピュータも一緒に携行して、そちらの計算結果で減圧症を予防する必要があります。

(2)逆のパターンもあるでしょう。今日はリブリーザーで潜っていましたが明日からスキューバで潜る場合、もしくは午前中はリブリーザーで潜って午後からスキューバで潜る場合、リブリーザーで潜っている時にも同時に別のダイブコンピュータを携行していないと、リブリーザーでダイビングしていた間の残留窒素濃度がダイブコンピュータに記録されず、その後のスキューバでのダイビング中での体内窒素量の計算が不正確になります。

(3)リブリーザーは複雑で精密な電子機器のため、残念ながらしばしば正常に動作しなくなることがあります。その際にもダイバーは安全に浮上して陸上に戻ることができるよう、open circuitモードに切り替えて呼吸を続けたり、予備のbail-out cylinderも携行して緊急事態に備えます。しかし、リブリーザーが機能を停止してしまったり、あるいはbail-out cylinderからの呼吸に切り替えた場合には、浮上中の適切な減圧停止深度や時間の指示を得ることが出来ません。このような場合でも、リブリーザー本体とは別に予備的にダイブコンピュータを携行していれば、リブリーザーで緊急時に浮上中でもダイブコンピュータから適切な減圧停止深度と時間が指示されます。

 

2.CCRで使う前の準備

 SCUBAPRO Galileo 2 (G2)をCCRで使う時には、次のような事前の設定が必要です。

・8.7.機能アップグレード でCCRとPMGを使用できるようにする。

・2.12.CCR と 2.15.PMG をオンにする。

・2.4.最大酸素分圧 をオフにする。

・2.1.MBレベルを L0 に設定する。

・1.酸素設定で、Diluent の酸素濃度とセットポイント1、セットポイント2を、リブリーザーの設定に合わせる。

・1.酸素設定で、T1の酸素同度をオフボードシリンダーの酸素濃度に合わせる。

以下、各ステップの設定方法を詳しく説明します。

 

(1)G2でCCRモードとPMGモードの機能を有効にする。

G2のmenuから「8.7.機能アップグレード」を選択すると次の画面が現れるので、↓ ボタン(左端)でまず「Enable PMG」を選んで、SAVE ボタン(右端)を短く1回押すと、PMG機能を使用可能になる。続いて同様の操作で「Enable CCR」を選んで SAVE ボタン(右端)を短く1回押して、CCR機能も使用可能にする。

 

(2)CCRモードとPMGモードをONにする。

G2のmenuから「2.15.PMG」を選択すると次の画面が現れて、最初はPMG: オフ となっているので、中央の+ボタンを押して オン に変更し、SAVE ボタン(右端)を短く1回押すと、PMG機能が有効になる。

同様の操作で「2.12.CCR」を選択すると次の画面が現れて、中央の+ボタンを押してCCR: オフ を オン に変更して、SAVE ボタン(右端)を短く1回押すと、CCR機能が有効になる。O2補正、N2補正の値は、4%のままでよい。

 

(3)Diluent と オフボード・シリンダーの酸素濃度を設定する。

G2のmenuから「1.酸素設定」を選ぶと次の画面が現れる。

まずタンク: Diluent のまま右端の⇒ボタンを押して、「O2%: 21%」、「Set point1: 0.50 bar」の値を必要に応じて変更する。Diluentに圧縮空気を使用して、リブリーザーのSet point 1が0.5 barであれば、変更の必要はない。続いて右端の⇒ボタンを押して、次の画面に移る。

この画面でーボタン(左端)か+ボタン(中央)を押して Set point 2 の値をリブリーザーの Set point 2と同じ値(通常は1.20 bar)に変更する。そして SAVE ボタン(右端)を短く1回押して Diluent の酸素設定を保存し終了する。

 続いて同様の操作で「タンク:T1」の酸素設定画面に移り、

右端の⇒ボタンを押して「O2% :21%」の項目を必要に応じて変更する。希釈ガスに圧縮空気を使用する場合は、21%のまま変更しない。SAVE ボタン(右端)を短く1回押して T1 の酸素設定を保存し終了する。

 

(4)マイクロバブル(MB)レベルをL0に設定する。

 

(5)最大酸素分圧の設定をオフにする。

 G2のmenuから「2.4.最大酸素分圧」を選ぶと次の画面が現れるので、中央の+ボタンを何回かおして「最大酸素分圧:オフ」に変更する。

右端の SAVE ボタンを押すと確認を求められるので、「コード:___」の欄に「313」を入れてSAVEボタンを押して、最大酸素分圧をオフに設定終了する。

 

(6)トランスミッターをT1とペアリングする。

 

3.CCRでダイビングするときのGalileo 2の操作

(1)潜水開始

 ダイバーが海中に入ると、通常はダイブコンピュータは自動的に潜水開始と判断して、体内の窒素量の計算を始めます。セットポイント1が0.5気圧に設定されている場合、水面では酸素分圧0.5気圧、すなわち酸素50%、窒素50%の呼吸ガスを呼吸していると想定します。

 

(2)潜降途中でセットポイント2に切り替え

 ダイバーが潜降して水深が深くなるにつれて、多くのCCRではセットポイント2(通常は1.2気圧)を上限として徐々に呼吸ガス中の酸素分圧が高くなるよう、酸素と希釈ガス(通常は空気)の混合比率を細かく調整します。例えば水深20mに達する頃には周囲の水圧は3気圧となり、酸素40%、窒素60%の混合比率で酸素分圧は1.2気圧に達します。ところがダイブコンピューターG2はセットポイント1の酸素分圧0.5気圧のままでは、実際に呼吸している混合比率とはズレてしまいます。そこでG2では、水深が10mに到達するまでにセットポイント2の酸素分圧1.2気圧に切り替える必要があります。

 G2はダイバーが潜降して水深が10mに達する頃に、「セットポイント2へ切り替え」の操作を促すメッセージを画面に表示します。しかしこれで自動的にセットポイント2に切り替わることはありません。この時点でダイバーがG2の左端の SAVE ボタンを短く1回押して、セットポイント2への切り替え動作を確認する必要があります。ダイバーがこの操作を行うと、次のように画面に表示されて、セットポイント2への切り替えが完了します。

 一方、メッセージ画面表示後も1分間ほど確認操作を行わないと、G2はセットポイント1のまま体内残留窒素の計算を続けます。ダイバーはセットポイント1よりも高い酸素分圧、すなわち窒素分圧の低い混合ガスを呼吸しますので、G2で計算される無減圧停止潜水時間が本当よりも短く表示されてしまいます。これではリブリーザーを使用するメリットが活かせないので、ダイバーは手動でセットポイント2に切り替えることができます。その方法は、左端の BOOK ボタンを長く1回押すと、「セットポイント2 切り替え」と確認メッセージが表示されて、左端の SAVE ボタンを短く1回押すと切り替えを完了します。

 

(3)浮上途中でセットポイント1に切り替え

 G2はダイバーが浮上して水深10mに達する頃に、「セットポイント1へ切り替え」の操作を促すメッセージを画面に表示します。しかし、これで自動的にセットポイント1に切り替わることはありません。この時点でダイバーがG2の左端のSAVEボタンを短く1回押して、セットポイント1への切り替え動作を確認する必要があります。ダイバーがこの操作を行うと、次のように画面に表示されて、セットポイント1への切り替えが完了します。

 一方、メッセージ画面表示後も1分間ほど確認操作を行わないと、G2はセットポイント2のまま体内残留窒素の計算を続けます。ダイバーはセットポイント2よりも低い酸素分圧、すなわち窒素分圧の高い混合ガスを呼吸しますので、減圧停止が必要な場合にはG2で計算される減圧停止の時間が本当に必要な時間よりも短く表示されてしまいます。これでは減圧症の発症リスクが高くなってしまうので、ダイバーは手動でセットポイント1に切り替えることが出来ます。その方法は、左端のBOOKボタンを長く1回押すと「セットポイント1切り替え」と確認メッセージが表示されて、左端のSAVEボタンを短く一回押すと切り替えを完了します。

 

4.CCRでダイビング中の緊急時のGalileo 2の操作

 G2を携帯しながらのリブリーザーでダイビングの途中で、リブリーザーのトラブルなどの理由でダイビングを中止して浮上を余儀なくされる場合があります。この場合は通常は直ちにリブリーザーでの呼吸は中止して、緊急用のオフボードシリンダーからの呼吸に切り替えて、安全に浮上します。この際、リブリーザーの動作とG2とは連動していないので、G2が浮上途中でも必要な減圧停止を計算できるためには、ダイバー自身の手でG2にオフボードシリンダーからの呼吸に切り替えたことを通知する必要があります。G2ではこれを、T1へのガス交換の形で操作します。具体的な操作手順は次の通りです。

 リブリーザーでダイビング中に何らかのトラブルなどの理由でClosed CircuitからOpen Circuitへ切り替えた場合、もしくはオフボードシリンダーからの呼吸に切り替えた場合には、

(1)G2の左端のBOOKボタンを長く1回押す。

(2)「セットポイント1に切り替え」のメッセージが表示されるが、ここではSAVEボタンは押さずに、中央のMOREボタンを短く1回押す。

(3)「ガスT1に切り替え」とメッセージが表示されたことを確認し、SAVEボタンを短く1回押すと「ガスT1切り替え完了」と表示されて、以後G2はT1の酸素・窒素濃度に基づいて残留窒素量の計算を続ける。

(4)画面左下の T1 BAR の欄に、オフボードシリンダーに取り付けたトランスミッターから受信した残圧が表示される。なお、トランスミッターは残圧が10分間変動しないとスリープモードに入っているので、「ガスT1に切り替え完了」の直後には残圧が表示されていない場合もある。その場合でもオフボードシリンダーから呼吸して残圧が低下し始めたら、自動的にトランスミッターは送信を再開するので画面に残圧が表示されるようになる。

 

 

 



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