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Rebreather トレーニング(前編)

2020-07-07 06:58:01 | SCUBA diving

伊豆大島へ、PADIのRebreather Open Water Diverトレーニングコースを受講に来ました。

 
 前回は3月末に大島へ潜りに来て以来、3ヶ月半ぶりにダイビング解禁です。今回はいつものファンダイブではなく、PADIのRebreather Open Water Diverコースを受講するため、Fish Island Crewのインストラクター只野さんにお世話になりました。
 
■Rebreatherって、なに?
 
 今回トレーニングを受けるRebreatherは、普段使っているSCUBAとは別のダイビング器材です。
今回使用した器材は Poseidon Cis-Luna Mk 6、見た目はこんな感じです。
こちらで3D写真をご覧いただけます。
かっこいい・・・ かな?
ちょっとモノモノしいですね。
 
その仕組みの一番の特徴は呼吸の度に吐いた息を循環させ、排出した二酸化炭素を取り除いて消費した酸素を補充し、再び呼吸するものです。その結果、次のようなメリットがあります。
(1)酸素を効率よく使うので、小さなタンクを使うだけでSCUBAの何倍もの時間、潜っていられます。
(2)呼吸の度にほとんど泡が出ないので、静かに潜っていられます。これにより、水中の生物を驚かさず近寄ることができます。
(3)安全な範囲内で酸素の割合が大きく窒素の少ないガスを呼吸するので、減圧症の危険が大幅に軽減され、SCUBA よりも減圧不要潜水可能時間が何倍も増えます。
(4)吐いた息を再生して循環させ呼吸するので、吸う息が暖かく湿度があって快適です。
 
その代わりいくつかデメリットもあるのですが、それらは追々トレーニングを進めていく中で苦労した点を紹介してゆきましょう。
 
■学科講習
 
 講習初日、まずは座学。朝から始めて昼食を挟んで約3時間、器材の基本的な仕組みと、ダイビングの手順、トラブル時の対処手順についてレクチャーを受けました。PADIのコース教材は英語版だけなので、インストラクターが用意してくれた日本語の補助教材に沿って進めて、所々でPADIの教材を参照しました。
 
■器材のセットアップ
 
 次は器材のセットアップの実習です。リブリーザーダイビングの一連の手順の中で、最初の大きなハードルです。
何しろ仕組みが複雑、部品の点数も多い、そして判りにくいし、組み立て作業もデリケートです。
器材の詳しい組み立て手順の説明書は後に見せていただけたのですが、この時は手元に説明書もなく、
ひたすらインストラクターの指示に沿って見様見真似で一つずつ組み立ててゆきました。全部組み立てるのに1時間くらいかかったと思います。
 
■ダイブ前チェック
 
 そしていよいよ海での実習です。器材一式をクルマに積み込んで、SCUBAで慣れ親しんだ秋の浜へ向かいました。ここでいざ海に入る前に、リブリーザーダイビングの2番目のハードルがあります。
 
 リブリーザーは複雑な仕組みと多くのデリケートな部品が組み合わされているため、どこかに組み立てのエラーや故障がないか徹底的にテストする必要があります。万一動作不良や誤作動があると、酸素欠乏や酸素中毒など命に関わる事故に直結しかねません。さいわいこのテスト手順は大部分がコンピュータによって自動化されていて、細かいテスト手順を一々覚える必要は無いのですが、テストの途中でコンピュータの指示に沿ってあっちのバルブを開いたりこっちのバルブを閉じたり、はたまたマウスピースを咥えて数回呼吸する必要があるので、テスト手順を全部コンピュータに任せて放ったらかすわけに行かないんです。そしてこのテストがとてもデリケートで、ちょっとでもどこかの接続に緩みがあったりするとエラーで止まってしまい、そこを修正したらまた最初からテスト手順を繰り返して、最後まで完璧にテストを終了しないとダイビング出来るようにならないんです。
 
 実際、私の初めてのダイブ前チェックでは、一部のバルブの開け忘れなどもあって最終的に30分くらいかかったと思います。そんな面倒なダイブ前テストを何とかクリアして、ようやく器材を全部装着して海に飛び込みました。
 
■トレーニングダイブ1本目
 
 さぁ、いよいよリブリーザーを使ったダイビングの初体験です。SCUBAと同様、潜降するためにインフレーターホースの排気バルブを押してBCD内の空気を抜きます。さらにSCUBAでは息を大きく吐き出して肺を小さくすると浮力が無くなって沈んでゆきますが、リブリーザーでのダイビングではここに3番目のハードルがあります。リブリーザーでは吐き出した息はすべてカウンターラングに入るので、浮力は全く減らないんです。代わりに鼻から息を吐き出して、リブリーザーの呼吸回路内の空気を水中に放出してやると、浮力が無くなって沈んでゆきます。
 
 その後は息を吸うとカウンターラングから空気が送られ、不足分は自動的にシリンダーから必要な分だけ補充されて、普通に呼吸できます。人生で初めてのリブリーザーでの呼吸の感覚(、、、大袈裟な!)はSCUBAとはかなり異質な感覚でしたが、不思議と息苦しいことはありませんでした。
 
 その後インストラクターの指示に沿って、異常時の対処手順など基本的な操作を少しだけ練習したあと、左の砂地の水深23mの人工漁礁まで一回り泳いで、トレーニング一本目のダイブ実習を36分で終えました。
 
■一休みファンダイブ
 
 講習二日目の午前中はインストラクターの都合により、講習は半日お休み。そこで、いつものダイブショップのガイドさんに頼んで、午前中一本だけSCUBAでファンダイブしてきました。
 
■トレーニングダイブ2本目
 
 午後から海洋実習再開です。前日の一本目では最大水深23メートル、潜水時間35分だけだったので、二酸化炭素吸収キャニスターはまだまだ十分使用可能で、3Lの酸素シリンダーも2割ほど使っただけで残圧も十分なので、希釈ガス(空気)シリンダーだけ満タンに再充填して、その他のリブリーザーユニットはそのまま再度使用することになりました。これでセットアップの時間と手間が大幅に軽減されます。ただし、プレダイブ・テストの手順は一切省略できません。
 
 エントリー後は、リブリーザーに関わる水中での基本的な操作手順を練習しました。その多くは、リブリーザーに何かしら異常が発生した場合に、安全に水面に浮上する手順です。リブリーザーのマウスピースにはベイルアウトバルブ bail-out valveというレバーがあって、これを回すだけでワンタッチでSCUBAのレギュレーターセカンドステージと同じ動作に切り替えられるようになっています。リブリーザーの安全対策の基本は、異常時にはその原因の種類に関わらず、呼吸回路を通じた呼気の再呼吸を止めて、SCUBAと全く同じ仕組みで呼吸しながら水面に浮上することです。SCUBA同様、バディに異常が発生した場合に空気を与えるオクトパスレギュレーターも付いているので、バディのオクトパスに切り替えて浮上する練習もしました。
 
■ダイブ後メンテナンス
 
 トレーニングダイブ2本目の後には、ダイブ後の器材の洗浄と後片付けの手順を学びました。ここにもSCUBAと違ってリブリーザーに特有の手順がいくつかあります。リブリーザーダイビングの最後のハードルです。
 
SCUBAの器材は使用後には全体を真水で洗って洗って乾かすだけですが、リブリーザーの器材には次のような手間が加わります。
 
(1)マウスピースと左右の呼吸ホース、カウンターラング、マニフォールド、キャニスターを全部繋げた呼吸回路は、暖かく湿った自分の呼気が循環するので、使用後は専用の消毒剤を使って消毒する必要があります。
 
(2)装置の構造が複雑で多くの部品に分解されるので、それらを全部分解して水洗いするだけでも、SCUBA機材を水洗いするより何倍も時間と手間がかかります。
 
(3)SCUBAで使う電子機器は、せいぜい単体で腕に付けるダイブコンピューターくらいですが、リブリーザー器材は電子制御のため何か所にも電子部品とそれらを結ぶケーブルがあり、水洗いの時には特別に注意して取り扱う必要があります。
 
(4)約2kgにもなる二酸化炭素吸収材は、深度に関わらずのべ潜水時間3時間まで、最大でも開封後24時間でキャニスターごと使い捨てです。
 

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