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「電話」

2014-02-04 23:58:31 | PCT・国際出願法
「はい。弁理士の甲です。」
「もしもし、甲先生こんにちは。トゥンクです。」

「うぐっ。(またか。)こここんにちは。」
「ソムチャイと一緒にお尋ねしたときは、詳しく教えて下さってありがとうございました。」
「いえいえ、どういたしまして。(それってもしかして嫌みかよ。)」
「昨日も電話をしたのですが、いなかったので、今日また電話しました。」
「昨日は大阪だったんですよ。不在ですみませんでした。それで、今日は、どんな用件ですか。」

「国際出願は国際事務局に直接出すこともできるそうですね。」
「え?あ、そういえば、そうだったな。忘れてた。あ、はい。直接国際事務局にも出せますよ。」
「先生、みずくさいなあ、この前、そう言ってくれればよかったのに。それは何で決まっていますか。」
「(いやいや、みずくさいってそういう意味じゃないと思うが)えーっと、PCT規則19.1(a)(iii)というところに、出願人の選択により「国際事務局(出願人がその居住者又は国民である締約国のいかんを問わない。)」とあります。
「やっぱり大丈夫だったのですね。あのう、結局、ソムチャイと相談して、例の国際出願は、国際事務局に直接提出しようということになりました。」
「(ほっ。)ああ、そうですか。(やったー。これで縁が切れる。助かったー。)それは良い考えですね。国際出願は、直接、国際事務局に提出することもできますね。」

「ところで国際事務局ってどこにあるんですか。」
「スイスのジュネーブですよ。」
「ほんとですか。ずいぶん遠いなあ。旅行費用もかかるなぁ。」
「うぷ。まさか直接行って出すわけじゃないでしょ。」
「え、どんな手段があるのですか。」
「(おいおい。)郵便でもいいし、ファックスでも出せるし、インターネットも使えますよ。」
「ほんとですか。インターネットやファックスが使えるのは便利ですね。うちからでも出せますね。でも、うちのファックスはぼろいので、書類が届かなかったらどうなりますか。」
「そうですね。PCT規則92.4(a)というところで、ファクシミリ等でも送付できるとなっているし、92.4(c)というところで、一部が届かなかったら教えてくれるみたいですよ。では、ぜひ、頑張って手続して下さい。陰ながら応援していますね!ではでは。」

「ちょっと待って下さい。陰ながらじゃなくていいのです。遠慮しないでください。甲先生はいい人なので、私たちの代理人をやって欲しいのです。」
「(「遠慮」ってちょっと意味が違うだろう。それに「いい人なので」って意味わかんねえ。)え?あ。えっと、何語で明細書を作成するのですか。」
「もちろん、タイ語です。もう、ソムチャイが書類は作ってますから大丈夫です。」

「えっ。

(ちょっと待った。タイはタイ語で国際出願を受け付けることはわかったし、その場合には、国際調査用の翻訳文とか国際公開用の翻訳文を出せばよかったところまではこの前の先輩B(とは言ってもタメ口で話す仲なのだが)との話の流れでわかったけど、国際事務局に直接送付する国際出願までタイ語でいいのかな。それから同じように国際公開の言語の翻訳文さえあればいいのかな。せっかくこの前教えてもらったのに、それっきりになっちゃってたなぁ。そもそも国際事務局が受け付ける言語って?国際公開の言語以外もありなのかな・・・。)
(国際事務局に国際出願をした場合、だいたい、国際調査はどこがやるんだ?そもそもタイ語の国際出願がどこで国際調査が行われるのかまでは調べてないや。うわ。弱ったなぁ。)

タイ語で国際事務局に提出するのですか。それで日本弁理士の私が代理人ですか。私はタイ語はわからないし、ちょっとそれってそもそも日本の弁理士が代理できるのは・・・」

「甲先生、大丈夫ですよ。私が日本語も英語もわかりますから。」
「いやいやいやいやそういう問題ではなくて・・・、そもそも代理権限があるのかとか、国際事務局がタイ語の国際出願を受け付けるのかとか、あの。」
「PCTという条約で決まってないのですか。知らないのですか。」
「(うう、またかよ。)あの、いや、その、代理人をやるかどうかについては、じじじじゅうような、とても重要なことですから、私の一存では決められないので、所長と相談してからお答えします。また、日を改めて連絡しますけど、それでいいですか。」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。どうか遠慮なさらずに連絡して下さい。」
「(だから「遠慮」ってそういう意味じゃないよ!)」

弁理士甲はさっそく先輩Bに電話をかける。
「ちょっといい?国際出願を国際事務局に出す場合の言語って知ってる?」
「おまえ、もしかして頭悪い?言語をいちいち覚えてないし、覚えておく必要もない。そんなの調べりゃわかるだろ。この前もいっただろう。ただ、事務局は何でもありだったと思うが。」
「あ、そっか。そうだった。わかったよ。」
電話を切った甲は、早速調べる。国際事務局のことを「IB(アイビー)」と略記することを知らなかったこともあって、ちょっと時間がかかったが、あった。これだ。

http://www.wipo.int/pct/guide/ja/gdvol1/annexes/annexc/ax_c_ib.pdf

「国際出願の作成に用いることができる言語  いかなる言語でもよい」
「願書の提出に用いることができる言語  公開の言語のいずれか」
とあった。

「うおお。国際事務局はすべての言語を受け付けるのか!すげえな。さすがじむきょく!!!見直したぜ!願書は国際公開の言語でいいんだな。よし。」
 PCTが苦手で避けてきた弁理士甲であったが、少しわかってきたような気がしてきた。
 ところが、話はこれで当然に終わるはずがないのだ。
 そして、弁理士甲は大きな泥沼に引きずり込まれていくかのごとく・・・・・。
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