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平成27年度論文式試験問題(特実)

2015-07-05 19:22:25 | 平成27年度(2015年度)過去ログ
平成27年度弁理士試験論文式筆記試験問題(特実)です。

【特許・実用新案】

【問題Ⅰ】
 船舶工学の教授甲と教授乙が共同で完成した船舶の振動防止装置α1の発明イについて、乙は、甲の承諾を得ることなく単独で、平成26年8月20日にパリ条約の同盟国Xに、英語で最初の特許出願A1をした。その後、乙は、船舶の振動防止装置α2の発明ロを単独で発明した。なお、発明ロは出願A1の出願書類(明細書、図面等を含む。)に記載されていない。そして、乙は、甲の承諾を得ることなく単独で、平成27年4月10日に、出願A1に基づいてパリ条約の優先権を主張するとともに、発明イ、ロを、明細書に記載し、特許請求の範囲において別個の請求項に記載した外国語書面出願A2を日本国特許庁にした。
 他方、船舶工学の教授丙は、造船会社丁の依頼を受け、装置α2の発明ロを自ら単独で完成し、装置α2の図面βの写しを丁に交付するとともに、発明ロに係る特許を受ける権利を丁に譲渡した。発明ロに係る構成は、図面βから認識することはできるが、装置α2の外観のみからは認識することはできない。丁は、丙に秘密保持義務を課して、発明ロを秘密として管理することとした。
 丙の死亡後、丙の相続人(丙の秘密保持義務を負担しているものとする。)は、展示開始までは秘密にすることを条件として、図面βの原本を含む丙所蔵の資料を博物館に寄贈した。博物館は、平成27年1月20日に、図面βの原本に代えて、図面βのマイクロフィルムγの閲覧を可能とし、それを印字して複写物として交付として交付することができるようにして、図面βの展示を開始した。展示の開始後、マイクロフィルムγとして図面βが展示されたことを知った丁は、平成27年6月10日に発明ロを明細書、特許請求の範囲又は図面のいずれにも記載して特許出願Bを日本国特許庁にした。

 以下、設問(1)及び(2)ついては、事例とは関係なく一般的に答え、設問(3)から設問(5)までについては、上述の事例を前提として、答えよ。

(1) パリ条約において優先権制度が採用された趣旨について述べよ。

(2) パリ条約による優先権を主張して日本国特許庁になされた外国語書面出願について、審査官による審査が行われるためには、特許庁に対して一般にどのような手続きをとらなければならないか、その手続きが可能な期間及びその期間を経過したときの手続も含めて説明せよ。ただし、特許法第43条第1項及び第2項の手続はされ、当該外国語書面出願は、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではないものとする。

(3) 出願A2の審査が行われたとして、発明イについて、拒絶の理由として認められるものを挙げ、その理由についても、説明せよ。なお、特許法第37条に規定する発明の単一性の要件を検討する必要はない。

(4) マイクロフィルムγの閲覧及びその複写物の交付が可能とされた時点において、マイクロフィルムγは、頒布された刊行物に当たるかどうか、説明せよ。

(5) マイクロフィルムγの閲覧及びその複写物の交付が可能とされた時点において、マイクロフィルムγが頒布された刊行物に当たるとしたとき、マイクロフィルムγとの関係において、(i)出願A2に記載された発明ロ、 (ii)出願Bに記載された発明ロは、それぞれ新規性を喪失するかどうか、説明せよ。
                                                            【100点】


【問題Ⅱ】

 外国法人甲は、発明イを対象とする日本国特許権Pを有している。甲は発明イの技術的範囲に属する製品aを日本国外で外国法人乙に販売している。日本法人丙は、業として、乙から製品aを輸入し、日本国内において販売するとともに、発明イの技術的範囲に属する製品bを日本国内で製造、販売している。
 以上を前提とし、以下の各設問に答えよ。ただし、各設問はそれぞれ独立しているものとする。

(1) 甲は、丙に対して、丙による製品aの販売は、特許権Pを侵害する行為であるとして、販売の差止めを求める特許権侵害訴訟を提起した。
 甲が乙に製品aを日本国外で販売したことを考慮しても、甲の丙に対する特許権Pの行使が認められるためには、甲は、乙に製品aを販売するにあたりどのようなことをしていた必要があるか、簡潔に述べよ。

(2) 丙は、甲に対して、発明イに係る特許について、発明イは、当該特許出願前に公開された特許公報Xに第1実施形態として記載された発明ロと同一であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができないことを理由とする特許無効審判を請求した。しかし、発明イは発明ロと同一ではないとの判断により発明イに係る特許を無効としない旨の審決がなされ、確定した。その後、丙は、甲に対して、発明イは、特許公報Xに第2実施形態として記載された発明ハと同一であるから特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができないことを理由とする特許無効審判を請求した。
 この場合、丙の特許無効審判請求が、特許法第167条を根拠として審決により却下されないものとして、審決により却下されない理由を同条が設けられた趣旨を述べつつ説明せよ。
 なお、第1実施形態として記載された技術的思想と第2実施形態として記載された技術的思想とは異なるものとする。

(3) 甲は、丙に対して、特許権Pに基づき製品bの製造販売につき損害賠償を求める特許権侵害訴訟を提起し、丙は、発明イは、特許公報Xに記載された発明ロと同一であって特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができないから特許無効審判において無効にされるべきものであるとの主張をしたが、かかる主張は排斥されて、認容判決がなされ、当該判決が確定した。
 その後、甲は、発明イは、当該特許出願前に公開された刊行物Yに記載された発明ニと同一であることを発見し、これを根拠として発明イに係る特許が特許無効審判により無効にされないようにするため、発明イを発明イ’と訂正することについて訂正審判を請求し、訂正をすべき旨の審決が確定した。
 丙は、製品bは訂正後の発明イ’の技術的範囲には属さないと判断し、製品bの製造販売が特許権Pを侵害することを理由とする損害賠償請求を認容した判決には再審の事由があるものとして、再審の訴えを提起した。
 当該再審の訴えにおいて、丙は、当該訂正審決が確定したことを主張することができるか否か、根拠となる特許法の条文が設けられた趣旨を述べつつ説明せよ。
                                                           【100点】
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