本日の問題です(特実)。(誤植があったらご容赦願います。)
平成19年度弁理士試験論文式筆記試験問題
[特許法・実用新案法]
【問題Ⅰ】
在外者甲は、「新規物質α」(以下「発明イ」という。)を自ら発明し、発明イが除草効果を有する旨とともに明細書に記載して、パリ条約の同盟国に特許出願A1をした後、その同盟国で発明イ及び発明イが除草効果を有する旨を刊行物Xに発表した。甲は、その後に、新たに「新規物質αを有する除草剤」(以下「発明ロ」という。)を自ら発明したので、発明ロを明細書に追加するとともに、発明イ及びロを請求の範囲に記載して、出願A1に基づくパリ条約による優先権を主張して日本国を指定国に含む特許協力条約に基づく国際出願A2を英語でその同盟国にした。出願A2は、その後、国際公開がされた。
一方、乙も、発明イを自ら発明し、発明イが除草効果を有する旨とともに明細書に記載して、出願A1の出願の日前にパリ条約の同盟国に特許出願B1をした。その後、乙は、自ら発明した発明ロを明細書に追加して、刊行物Xの発表の日後かつ出願A2の国際出願日の前に、出願B1に基づくパリ条約による優先権を主張して日本国に特許出願B2をした。その後、乙は、新規物質αの含有率が特定の数値範囲にある場合に除草剤の除草効果が著しく向上することを示す実験結果をさらに明細書に追加するとともに、発明イ及びロを特許請求の範囲に記載して。出願A2の国際出願日の後かつ国際公開の日前に、出願B2に基づく特許法第41条の規定による優先権のみを主張して特許出願B3をした。出願B3は、その後、出願公開がされた。
この設例において、以下の問いに答えよ。ただし、「パリ条約の同盟国」は、日本国以外の国であり、いずれの出願も記載要件は満たされており、いかなる補正もなされておらず、いずれの優先権の主張も適法になされ、一度なされた優先権の主張は取り下げられていないものとする。
(1)(イ)日本国の特許出願とみなされた出願A2が取り下げられたものとみなされないための、日本国において甲がなすべきすべての手続について説明せよ。
(ロ)出願A2に係る発明ロが、刊行物Xを引用例とする拒絶理由を有さないようにするための、①刊行物Xの発表に対する出願A2の時期的関係、及び、②日本国において甲がなすべき手段についてそれぞれ説明せよ。
(2)出願A2に係る発明イ及びロが、乙による出願を引用例とする特許法第29条の2の規定に基づく拒絶理由を有するか否かについて、それぞれ理由とともに説明せよ。
(3)(イ)甲による出願又は刊行物Xを引用例として、出願B3が拒絶される場合に想定される拒絶理由を、発明イ及びロそれぞれについて、根拠とする条文及び引用例を示して説明せよ。
(ロ)(イ)で挙げた拒絶理由が通知された場合、出願B3が拒絶されることを回避するために乙がなし得る手続について説明せよ。
【120点】
[特許法・実用新案法]
【問題Ⅱ】
甲及び乙は、請求項が1のみの特許権Aを共有しており、丙は、特許権Aの全範囲について設定登録を行った専用実施権者である。
同業者である丁は、特許権Aに係る特許出願の日後、特許権Aに係る特許発明の技術的範囲に属することが明らかな製品の製造、販売の準備に着手した。丙は、そのことを知り、丁に警告を行った。
これに対して、丁は、甲及び乙を被請求人として新規性欠如のみを無効理由とする特許無効審判を請求し、その請求において、特許権Aに係る特許発明は、その特許出願前に頒布された刊行物Xに記載された発明と同一である旨の主張を行った。
この設問において、以下の問いに答えよ。ただし、(1)および(2)は、それぞれ独立しているものとする。
(1)(イ)丁による特許無効審判の請求に対し、専用実施権者として審判手続に関与するために、丙が特許法上とり得る対応について説明せよ。
(ロ)丁が請求した特許無効審判において、特許を無効にすべき旨の審決がなされた直後に、乙と丙が、特許権Aについての乙の持分の全部を丙に譲渡する旨の契約を締結した場合、特許権Aに係る特許を維持するために、丙が特許法上とり得る対応について説明せよ。
(2)丁が請求した特許無効審判において、審判請求は成り立たない旨の審決がなされた直後に、丁は、特許権Aに係る特許出願前に頒布された刊行物Yを入手した。刊行物Yに、①特許権Aに係る特許出願当時の技術常識を示すものであって刊行物Xに記載された発明のもつ意義を明らかにする事項が記載されている場合、及び②特許権Aに係る特許発明と同一の発明が記載されている場合のそれぞれについて、刊行物Yを証拠として用いて特許権Aに係る特許を無効にするために、丁が特許法上とり得る対応をその理由とともに説明せよ。
【80点】
平成19年度弁理士試験論文式筆記試験問題
[特許法・実用新案法]
【問題Ⅰ】
在外者甲は、「新規物質α」(以下「発明イ」という。)を自ら発明し、発明イが除草効果を有する旨とともに明細書に記載して、パリ条約の同盟国に特許出願A1をした後、その同盟国で発明イ及び発明イが除草効果を有する旨を刊行物Xに発表した。甲は、その後に、新たに「新規物質αを有する除草剤」(以下「発明ロ」という。)を自ら発明したので、発明ロを明細書に追加するとともに、発明イ及びロを請求の範囲に記載して、出願A1に基づくパリ条約による優先権を主張して日本国を指定国に含む特許協力条約に基づく国際出願A2を英語でその同盟国にした。出願A2は、その後、国際公開がされた。
一方、乙も、発明イを自ら発明し、発明イが除草効果を有する旨とともに明細書に記載して、出願A1の出願の日前にパリ条約の同盟国に特許出願B1をした。その後、乙は、自ら発明した発明ロを明細書に追加して、刊行物Xの発表の日後かつ出願A2の国際出願日の前に、出願B1に基づくパリ条約による優先権を主張して日本国に特許出願B2をした。その後、乙は、新規物質αの含有率が特定の数値範囲にある場合に除草剤の除草効果が著しく向上することを示す実験結果をさらに明細書に追加するとともに、発明イ及びロを特許請求の範囲に記載して。出願A2の国際出願日の後かつ国際公開の日前に、出願B2に基づく特許法第41条の規定による優先権のみを主張して特許出願B3をした。出願B3は、その後、出願公開がされた。
この設例において、以下の問いに答えよ。ただし、「パリ条約の同盟国」は、日本国以外の国であり、いずれの出願も記載要件は満たされており、いかなる補正もなされておらず、いずれの優先権の主張も適法になされ、一度なされた優先権の主張は取り下げられていないものとする。
(1)(イ)日本国の特許出願とみなされた出願A2が取り下げられたものとみなされないための、日本国において甲がなすべきすべての手続について説明せよ。
(ロ)出願A2に係る発明ロが、刊行物Xを引用例とする拒絶理由を有さないようにするための、①刊行物Xの発表に対する出願A2の時期的関係、及び、②日本国において甲がなすべき手段についてそれぞれ説明せよ。
(2)出願A2に係る発明イ及びロが、乙による出願を引用例とする特許法第29条の2の規定に基づく拒絶理由を有するか否かについて、それぞれ理由とともに説明せよ。
(3)(イ)甲による出願又は刊行物Xを引用例として、出願B3が拒絶される場合に想定される拒絶理由を、発明イ及びロそれぞれについて、根拠とする条文及び引用例を示して説明せよ。
(ロ)(イ)で挙げた拒絶理由が通知された場合、出願B3が拒絶されることを回避するために乙がなし得る手続について説明せよ。
【120点】
[特許法・実用新案法]
【問題Ⅱ】
甲及び乙は、請求項が1のみの特許権Aを共有しており、丙は、特許権Aの全範囲について設定登録を行った専用実施権者である。
同業者である丁は、特許権Aに係る特許出願の日後、特許権Aに係る特許発明の技術的範囲に属することが明らかな製品の製造、販売の準備に着手した。丙は、そのことを知り、丁に警告を行った。
これに対して、丁は、甲及び乙を被請求人として新規性欠如のみを無効理由とする特許無効審判を請求し、その請求において、特許権Aに係る特許発明は、その特許出願前に頒布された刊行物Xに記載された発明と同一である旨の主張を行った。
この設問において、以下の問いに答えよ。ただし、(1)および(2)は、それぞれ独立しているものとする。
(1)(イ)丁による特許無効審判の請求に対し、専用実施権者として審判手続に関与するために、丙が特許法上とり得る対応について説明せよ。
(ロ)丁が請求した特許無効審判において、特許を無効にすべき旨の審決がなされた直後に、乙と丙が、特許権Aについての乙の持分の全部を丙に譲渡する旨の契約を締結した場合、特許権Aに係る特許を維持するために、丙が特許法上とり得る対応について説明せよ。
(2)丁が請求した特許無効審判において、審判請求は成り立たない旨の審決がなされた直後に、丁は、特許権Aに係る特許出願前に頒布された刊行物Yを入手した。刊行物Yに、①特許権Aに係る特許出願当時の技術常識を示すものであって刊行物Xに記載された発明のもつ意義を明らかにする事項が記載されている場合、及び②特許権Aに係る特許発明と同一の発明が記載されている場合のそれぞれについて、刊行物Yを証拠として用いて特許権Aに係る特許を無効にするために、丁が特許法上とり得る対応をその理由とともに説明せよ。
【80点】
今日の特許法の問題は、勉強をしたとかしないとかより、自分の「脳力」(IQ)を超えているよう感じました。時間的にも難しかったし、多くの情報を短い時間内に相関関係を判断して処理するという点においても、お手上げでした。それに比べて、意匠法と商標法の問題はほとんど基本問題の域を脱せず誰もができるやさしい問題のように感じました。
どうみたらいいのでしょうか。自分としては、特許バツ、意匠三角、商標二重丸だった感覚ですが、たぶん、みんな同じような感覚をもったのではないでしょうか。
結局のところ、意匠、商標できちんと条文列記、あてはめができたかどうかが勝負を決するように思います。
今日の感触はとりあえず消し去って、あと3週間がんばろうと思います。
I問目のPCTの問題は記載量が多く、問われている事項に簡潔に答えるだけで精一杯で、詳細は制度趣旨に触れる余裕などは全くありませんでした。
なんだか、短答の枝のような問題で、なおかつ複雑度が短答の数倍にUPしているように感じました。
あれ、素直に回答できたのは私ぐらいだと思うけど。そんなに簡単でありませんでしたね。
商標法も一見して簡単なようで、落とし穴だらけでしたね。
特実は基本的に難しかったですよ。どこを落として、何処を書くかですね。最後の問題は論理的思考を問う問題だったと思いますね。常識問題で論理的思考を試してましたね。論理展開次第では点はつかないはずだけど。論文試験は相対的なものだから、どんな採点になるか、不明ですけど。
厳しく採点したら合格者は少ないと思います。
難しかったです。さすが本試験ですね。
意匠: 特許庁公表論点のすべてを書いてきました。はずした点は全くありません。かなりの高得点が付きそうです。
商標: ハッキリ言って、この科目でこけてしまいました。設問(1)と(2)①②は全く問題なく書けたのですが、設問(3)で50①括弧書の社会通念上同一の商標である場合とそうでない場合、2③の使用と言える場合とそうでない場合のパターンに分けてしまって、駆け込み使用(50③)やその他(50②等)については、全く言及できませんでした。ただ原則類型の50①のみ、要件を列挙しただけです。試験中および特許庁公表を見るまで、駆け込み使用のことについては、全く頭に思い付きませんでした。あとは、もう、この科目で50点を下回らない点であって、特実または意匠の超過分でカバーできることを祈るだけです。
一つ試験が終わるたびに、2000人が消えていくのを感じてました。それくらい難しい問題だと思ったのです。
そして、吉田ゼミの答案練習を受けた連中ならと思いました。
でも、今振り返ると、不安要素はいっぱいです。
人事は尽くしました。結果を待ちましょう。
答案を採点していてよく見られる特にダメな答案は、
1.出題者の問いに素直に答えてない答案、
2.確かに項目は挙がっているが根拠が書いてない答案、
3.要件は挙げているがあてはめが雑な答案、
4.原則を書かずにいきなり例外から書く答案(いきなり論点から書き出す)、
こういう答案は心象としてはかなり悪いです。時間がない中でもいかに「法律論文」を書けるか、弁理士としての素養があるかを採点者は見ているのです。今年のような「原点回帰型」の問題を見ていれば、いかに出題者が素養や基礎力を重視しているかが分かります。「落とし穴」などはなく、条文・青本(改正本)・重要判例をしっかり理解しておけばまず問題ないでしょう。
要は、誰が受かっているかなど分からないということです。これが例年の感想です。本当に分かりません。毎年、できなかったと落ち込む受験生が相当数合格しているのです。それよりも、近年の口述試験は落とす試験になってきていますので、今の時期からぬかりなく準備して、論文合格を信じてがんばって下さい。
以上