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商標法第7章の2 (その3)

2005-04-28 08:32:00 | 商標法
さて、第二節の規定にいきます。ここは、基本的には外国人が自国の基礎出願や基礎登録に基づいて国際登録をするにあたり、日本を領域指定した場合です。

第68条の9(領域指定による商標登録出願)  日本国を指定する領域指定は、議定書第3条(4)に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。ただし、事後指定の場合は、議定書第3条の3(2)の規定により国際登録に係る事後指定が議定書第2条(1)に規定する国際事務局の登録簿(以下「国際登録簿」という。)に記録された日(以下「事後指定の日」という。)にされた商標登録出願とみなす。
2 日本国を指定する国際登録に係る国際登録簿における次の表の上欄(A)に掲げる事項は、第五条第1項の規定により提出した願書に記載された同表の下欄(B)に掲げる事項とみなす。

(A)国際登録の名義人の氏名又は名称及びその住所
(B)商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 

(A)国際登録の対象である商標
(B)商標登録を受けようとする商標 

(A)国際登録において指定された商品又は役務及び当該商品又は役務の類
(B)指定商品又は指定役務並びに第6条第2項の政令で定める商品及び役務の区分 


★第1項は、日本国を指定する領域指定は、議定書第3条(4)に規定する国際登録の日(以下「国際登録の日」という。)にされた商標登録出願とみなす旨を規定しています。
 ここで議定書3条(4)は以下のような規定でした。
 マドプロ3条(4) 国際事務局は、前条の規定に従って出願された標章を直ちに登録する。本国官庁が国際出願を受理した日から二箇月の期間内に国際事務局が国際出願を受理したときは、当該本国官庁が国際出願を受理した日を国際登録の日とし、当該二箇月の期間の満了後に国際事務局が国際出願を受理したときは、国際事務局が国際出願を受理した日を国際登録の日とする。国際事務局は、関係官庁に対し国際登録を遅滞なく通報する。国際登録簿に登録された標章は、国際出願の記載事項に基づき、国際事務局が定期的に発行する公報に掲載する。
★★ここでは基本的に国際出願の受理の日が国際登録の日でしたが、「2箇月」というのがポイントであることはマドプロを解説したときに確認済みですね。

★★1項ただし書には、事後指定の場合が述べられていますが、この事後指定というのはPCTにはない概念であることにくれぐれも注意しましょう。事後指定に関する議定書3条の3の規定は以下のとおりです。

マドプロ第三条の三 領域指定
(1) 国際出願に際しては、国際登録による標章の保護の効果が及ぶ領域としていずれの締約国を指定するかを特に記載する。
(2) 領域指定は、標章の国際登録の後においても行うことができる。この領域指定は、規則に定める様式に従って行う。国際事務局は、領域指定を直ちに記録し、当該領域指定を関係官庁に対し遅滞なく通報する。記録された領域指定は、国際事務局が定期的に発行する公報に掲載する。領域指定は、当該領域指定が国際登録簿に記録された日から効力を生じ、当該領域指定に係る国際登録の存続期間の満了によりその効力を失う。



第68条の10(国際商標登録出願の出願時の特例)  前条第1項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定(以下この章において「国際商標登録出願」という。)に係る登録商標(以下この条において「国際登録に基づく登録商標」という。)がその商標登録前の登録商標(国際登録に基づく登録商標を除く。以下この条において「国内登録に基づく登録商標」という。)と同一であり、かつ、国際登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務が国内登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務と重複している場合であつて、国際登録に基づく登録商標に係る商標権者と国内登録に基づく登録商標に係る商標権者が同一であるときは、国際商標登録出願はその重複している範囲については、国内登録に基づく登録商標に係る商標登録出願の日にされていたものとみなす。
2 第68条の32第3項及び第4項の規定は、前項の国際商標登録出願に準用する

★ここでは概念が明確にされているので確認しておきましょう。
国際商標登録出願=68条の9第1項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定のこと
→これは、特許法で規定する「国際特許出願」と同じ意味合いです。
国際登録に基づく登録商標=国際商標登録出願に係る登録商標(日本の商標権と同じレベルの登録商標であることに注意)
国内登録に基づく登録商標=国際登録に基づく登録商標を除く登録商標(日本の商標権に係る登録商標のこと)
なお、「国際登録出願」といった場合には日本国民等が国際登録をするための出願(68条の2)のことですので概念が異なる点に注意しましょう。


★68条の10第1項は、日本を領域指定してきた外国人がすでに日本でも全く同じ内容の商標権を持っていた場合には、
その国際登録に基づく登録商標については、出願日を日本の商標権に係る出願日まで遡及させてあげましょうという規定です。これは国内登録の国際登録への置き換え、代替ということでマドプロ4条の4条の2に規定してありましたね。
2項は、国内出願が優先権主張を伴っていた場合には、1項により遡及した効果を有する国際商標登録出願についてもその優先権主張を認めるという規定です。
★★マドプロ4条の2 国際登録による国内登録又は広域登録の代替
(1) いずれかの締約国の官庁による国内登録又は広域登録の対象である標章が国際登録の対象でもあり、かつ、その名義人が国際登録の名義人と同一である場合には、当該国際登録は、当該国内登録又は広域登録により生ずるすべての権利を害することなく、かつ、次の(i)から(ⅲ)までの条件を満たすことを条件として、当該国内登録又は広域登録に代替することができるものとみなす。
 (i) 国際登録による標章の保護の効果が第三条の三(1)又は(2)の規定に基づいて当該締約国に及んでいること。
 (ⅱ) 国内登録又は広域登録において指定されたすべての商品及びサービスが当該締約国に係る国際登録においても指定されていること。
 (ⅲ) (ⅰ)に規定する効果が国内登録又は広域登録の日の後に生じていること。
(2) (1)に規定する官庁は、求めに応じ、自己の登録簿に国際登録について記載しなければならない。

★★青本には、議定書4条の2の代替については、日本では、国際登録(領域指定)と国内登録は併存させる扱いとしている旨書いてあります(青本1286頁)。


第68条の11(出願時の特例) 国際商標登録出願についての第9条第2項の規定の適用については、同項中「商標登録出願と同時」とあるのは、「国際商標登録出願の日から三十日以内」とする。

★博覧会出品出展の仮保護の手続については出願と同時に出したくても出せないので、30日以内に出せばよいこととしたものです。特許法184条の14の規定と雰囲気的には同じ規定です。

第68条の12(出願の分割の特例) 国際商標登録出願については、第10条の規定は、適用しない。
第68条の13(出願の変更の特例) 国際商標登録出願については、第11条及び第65条の規定は、適用しない。

★これは重要ですね。国際商標登録出願については出願分割や出願変更はできません。短答で「国際登録商標を考慮しない」と明記している場合や、明らかに国際商標登録出願を考慮してはいけない場合は別ですが、「二以上の指定商品を包含する商標登録出願について、当該指定商品同士が類似している場合であっても、当該出願が審査に係属していればいかなる場合にも出願分割できる。」は×です。このような問題では、「類似していても分割できるんだよな~。」というところに注意がいってしまうと問題文にだまされてしまいますので注意しましょう。
★出願変更はできないといっても「12条は適用しない」と書いてないのはどうしてでしょうか。12条は防護標章登録出願から商標登録出願への変更ゆえ、国際商標登録出願は日本の「商標登録出願」とみなされている以上、適用される余地はないからあえて適用しないと規定しておく必要はないわけですね。

★★明らかに国際商標登録出願を考慮してはいけない場合・・・例えば、外国で商標権を取得したり商標登録出願をしたりしたことがない人がした商標登録出願は、国際商標登録出願である可能性はありませんね。



第68条の14(出願公開に係る商標公報の掲載事項の特例) 国際商標登録出願についての第12条の2第2項の規定の適用については、同項第二号中「商標登録出願の番号及び年月日」とあるのは、「国際登録の番号及び国際登録の日(事後指定に係る国際商標登録出願の場合は事後指定の日)」とする。

★これは公報掲載事項の読み替えだけ


つづく

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