Re-Set by yoshioka ko

■金大中拉致事件~竜金号乗組員の証言③~

やっぱり隠せないものだ。案の定、明るみに出た。

《以下引用》
 「一九七三年に韓国の野党指導者だった金大中(キム・デジュン)前大統領が拉致された金大中事件の調査報告書をまとめた韓国政府の「過去事件の真相究明委員会」の安炳旭(アン・ビョンウク)委員長は二十六日、ソウルで記者会見し、日本側から調査を中断するよう間接的に圧力をかけられたとの認識を明らかにした。(中略)安委員長は「調査開始前は日本政府の協力を期待したが、日本は『調査結果を公表すれば捜査を再開するしかない』などと間接的に意思表示してきた」と述べ、日本側が圧力をかけたために調査の終了が遅れた、との見方を示した」(10月26日『東京新聞』)

 1998年、金大中氏が大統領に就いた直後に「極秘」と印された文書が出回ったことがある。出所は当時の安全企画部。KCIAの後身である。どのような経路をたどって表に出たのかは不明だ。

 その文書は完璧なものではなく、一部と思われた。そこには金大中拉致事件の実行責任者をはじめ、どこ所属の誰が拉致事件のどの部門を担当したのかが一目瞭然だった。当然ながら、当欄で連載している「竜金号乗組員の証言」に登場する船員らの名前もあった。

 その文書を手がかりにして取材を続ける中で、この文書の信憑性が高いことがわかった。当時日韓両政府の間では、新しい事実が出てこない限り捜査は終了、というのが政治決着の中身のひとつだった。しかし手にしていた文書はいわば下手人たちの名簿である。

 そこで外務省にインタビューも申し入れをしたのだが、長いこと任されたあとで、カメラなし、録音機なし、メモなし、という条件でだったらインタビューを受けてもいい、という返事が来た。

 「極秘文書、といっても韓国政府が公式に出したものではない、出ある以上、外務省がコメントすべきことはない」という人を食ったものだった。それが今日の記事にあるように、日本政府自体から捜査中止の圧力があった、というのだ。

 いったい日本の政府は何を恐れたのだろう?これもいずれ明らかになる。そうなる前に政府は、当時2度の決着に至ったいきさつを情報公開すべきだろう。そうしなければ、また政府は隠した、と非難されるに違いない。

 ということを念頭に、以下は『竜金号乗組員の証言』の続きです。

『竜金号乗組員の証言③』
吉岡(以下Y)「拉致という事件に繋がるこの仕事は秘密だとか、誰にも喋るな、といったことはいわれてましたか?」
李淳柱船長(以下I)「鄭さん(竜金号に乗り込んでいたKCIAのひとり)がたびたび言うんですよ、必要ないことを喋るなってね。だからハイのひと言です。じゃないと殺されたり、南山(ソウルにあったKCIA本部の俗称。南山と呼ばれる小高い山の中腹に本部があった)に引っ張られたら、どこに連れて行かれるか分からないわけですから。怖くて仕方なかったですよ」

Y「この仕事が終わったあとも、事件については誰にも言わなかったんですか?」
I「家族にも言いませんでした。家族に言って、それがまた誰かに伝わったら誰が言ったか分かるわけですから、なにも言わなかったですよ」

Y「事件のあとも、日本とは行き来をしたんですか?」
I「最初はものすごく調べられました。海上保安庁とか、警察とか。刑事が後ろからついてくるんですよ、日本で。船員手帳とか全部調べられました。(神戸の)本町を歩いているときなんかでも、逆に刑事さんですか?って私聞いたんですよ。そしたらああ済みませんと言って帰ってしまったり」

Y「事件に協力をしたということで、KCIAからなにかご褒美というか褒賞金のようなものは出たんですか?」
I「事件から3年ぐらい経ってからですよ。あのときの船員はみんな苦労するでしょう、外航船には乗れなかったんですから。だからその当時の責任者、尹(ユン)さんという人がソウルから来てね、ひとり300万ウォンくれたことがあったんですよ」
Y「300万ウォンは補償だと言ってくれたんですか?」
I「船員たちは苦労しているからそうすべきではないか、と鄭さんと朴さん(いずれも事件当時乗船していたKCIA要員)が言うたんでしょう」
Y「一回だけでしたか?」
I「そうですよ。そのときに聞かされたんですよ、個人的に。尹さんが言うには、中央情報部部長の李厚洛(イ・フラク)、あの人から貰ってきたと。だから少ないかも知れないが喜んでくれと」

Y「朴正熙大統領の指示でやった、という話はありましたか?」
I「うわさ話でしたが、李厚洛がその事件で首にされたと。朴大統領から首にされたということは聞いたんですよ」
Y「李さんにとって中央情報部はどんな存在でしたか?」
I「大統領よりも情報部のほうが恐いですよ。こんな話をしていますが、いまでも
怖いですよ」(以下次回)

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