国家間の軋轢にもなりかねない負の歴史に立ち向かった韓国側の調査結果の公表は高く評価できる。当然ながら日本側は①主権が侵害されたことに対する謝罪②犯人の引き渡しなどを求めるべきだ。その上で、日韓両政府間の間で2度の決着に至った当時の経緯を明らかにすべきだ。
このこと抜きでは、被害者となった金大中氏の人権は回復されないことを知るべきだ。
ところで昨日から当欄で始まった金大中拉致事件に関連して、大阪港の沖合から金大中氏を韓国釜山まで運んだ竜金号乗組員のインタビューの2回目を、以下に掲載します。
『竜金号乗組員(船長)の証言②』
吉岡(以下Y)「事件後に金大中さんは、重りをつけられて海中に放り出されそうになった、といってますが、どうだったんですか?」
李淳柱船長(以下I)「私もそういう証言を『東亜日報』で読みました。しかしそんな話は聞いたことがありません。たぶんそれは、体を縛られて動くこともできなかったから、そんな風に思ったんではないかと考えます」
Y「殺そうとはしなかった?」
I「そうは思いませんでした。もし大統領(注 インタビュー当時、金大中氏は大統領に就任したばかりだった)を殺そうとしたら、日本のホテルかどこかで殺したでしょう。船に乗せられたときには、とにかく直接韓国に連れて行くんだ、と二人(KCIAに所属していた鄭と朴のこと)もいってました」
Y「途中で飛行機の音を聞いた、と金大中さんは証言してましたが、実際はどうでしたか?」
I「金大中さんはハッチの中にいましたから(聞こえるはずはなかったと思います)。もし飛行機が直接船に降りたのならまだしも、音を聞いたというのは理解できません」
Y「大阪港で金大中さんが船に乗せられた時間は?」
I「夜9時過ぎではなかったかと思います。小型のボートがやってきて、荷物を引き揚げろ、というんです。ボートは低いし、船は高いでしょう、持ち上げるのは大変でしたが、そのときこれは人だ、ということがわかったんです」
Y「大阪からどこに向かったんですか?」
I「釜山港です。500トンほどの船ですから、37~8時間かかりますよ」
Y「釜山港ではどこに着いたんですか?」
I「税関が決めた3区というところがあるんですよ、釜山港3区、そこに着いたんです」(以下次回)
今日、『毎日新聞』朝刊が報じた真相委員会「調査報告書」の要旨でも、飛行機が接近したという金大中氏の証言については、船員らも強く否定しており、根拠資料も探せない、と述べている。
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