Re-Set by yoshioka ko

■あれから1年、ふるさとは変わったか?

 ちょうど1年前の今日、合併なった佐久市はどのようなまちを目指すのかが問われた。だが、この1年、まちはどのような方向に向かっているのか、あるいは変わろうとしているのか、その戦略も姿も鮮明には見えてこない。これでは佐久市のみならず合併した町村だって不安になるのではないか。

 それもそのはず、といっていいのかは多少の説明も必要だが、市の広報誌(06年3月15日号)に市民アンケートの結果が載っている。多少の説明、というのは、このアンケート結果をどう読むのか、があるからだ。

 つまり、14問中8問までが「どのような施策に力を入れて取り組む必要があるとお考えですか」式の質問で、この場合、これまでもやってきたが「さらに、どのような施策に」と読むか、それとも、これまでやってきたわけではないが、もし力を入れるとすれば何か、と読むか・・・。

 ここは後者かな。その方が最後の質問がすんなりと生きるからだ。

 市民3000人中答えてくれた人は1834人。回答率61%のアンケート結果によれば、佐久市にずっと住み続けたいと考えている人は59.1%。6割の方々が住みたいと思っている。

 また住みやすいまちか、という質問には「大変」と「どちらかというと」を合わせて60.4%の人が住みやすい、と答えているが、自然環境なのか、まちの環境がなのか、何が住みやすい根拠になっているのかは、その質問と答えがないのでわからない。

 ただ後半の質問などから、行政による政策など、住むまちとしての環境がいいから住みやすい、と答えているわけではないな、というのが読み取れる。ここはやはり自然環境がいい、ということか。

 行政に最も力を注いで欲しい分野は何か、という質問もある。
 1位は保険・医療・福祉で43.2%。2位は生活環境で17.9%。以下教育・文化(16.1%)、産業(10.9%)、都市基盤(5%)と続く。やはり、住むまちとしての環境がいい、ということではないな、とすぐ気づく。それに長寿都市を目玉にしてきた現在の市にしては、市民の指摘は痛い、かもしれない。

 将来どういうまちになって欲しいか、という質問がある。
 これも現在の市には痛い答え、かも知れない。1位「保険・医療・福祉が充実した健康長寿の町」(40.8%)。2位「安全・安心に暮らせるまち」(36.3%)。3位「生活インフラ、住宅・公園・情報が整備された快適に暮らせるまち」(29.5%)。4位「農・林・水産業が盛んなまち」(24.4%)。以下「教育・文化・スポーツ」「子育て支援」「商工業・産業の発展」などと続く。

 ここまでくれば、現在の市は、いったい何を戦略としてまちづくりをしてきたんだ、といいたくなる。そういう意味では、このアンケート結果が生かされるのであれば、いい効果を生むに違いない、と私は思う。

 続く8問は前述したとおり、では具体的にはどうしたらいい?式の質問。

 最後の質問。
 「佐久市の行財政運営にとって、特に重要だと思うものは次のうちどれですか?」。次のうちどれか、ということはあらかじめ予想される答えを市が用意して尋ねた、ということなのだろうか。

 その結果。
 「市民・企業・行政の協働によるまちづくり」が36.5%で第1位。2位は「無秩序な開発を防止するために土地利用の規制を行う」で29.1%。3位は「建築物の高さの制限や電線の地中下などを進め、景観や環境を保全する」で25.4%。以下「公園・緑地・広場などの整備」(23.3%)。「千曲川などの水辺の整備」(16.6%)。「雨水・排水路の整備」(15.8%)。「下水道整備」(12.3%)。などと続く。

 今さらながら感じるのは、市民意識というものは正直なものである。
 冷戦が崩れ、何を国や国民や市民は物差しにするかが問われ続けてきた。「不毛の10年」といわれながらも、国対地方の構図も大いに変化した。その変化を読み取りながら、変化した分、多くの市町村は自らの生き方を模索してきた。合併もそういうきっかけになったはずだった。

 このアンケート結果は、このまちの行政はまだそんなレベルだ、ということを正直に示した、という意味では勇気ある広報誌への掲載だった、のではないか、と思う。

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