Re-Set by yoshioka ko

■君が代、に罰金刑

 連載中の『黄長はかく語りき』は、お休みとさせていただく。それよりも、まずは昨日のニュースをひとつ。

《以下引用》
 「東京都立板橋高校の卒業式で、出席した保護者らに国歌斉唱時に起立しないように求め、式を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われた同校の元教諭・藤田勝久被告(65)の判決が30日、東京地裁であった。村瀬均裁判長は「被告の行為は厳粛であるべき式典に悪影響を与えるだけでなく、実際に式の進行を一時停滞させ、非難は免れない」と述べ、罰金20万円(求刑・懲役8月)の有罪判決を言い渡した。藤田被告は、即日控訴した」(5月30日『読売新聞』)《引用ここまで》

 この日のことを私はよく知っている。なぜなら、都立板橋高校の卒業式の日(2004年3月)に、私は現場にいたからだ。私の耳に聞こえてきた藤田先生(そのときは名前も知らなかった)の声は、「国歌斉唱のとき、教職員は立って歌わないと戒告処分になります。国歌斉唱のときは、できたらご着席をお願いします」と保護者らに向かって呼びかけていた言葉だった。
 
 来賓らを引率してきた校長は、初めてその声に気づき、教頭らと共に藤田先生を会場から外に出そうと駆け寄った。そのときにまた藤田先生の声が聞こえてきた。「触るんじゃないよ」「なんで教員を追い出すんだ」・・・。

 判決には藤田先生の声の大きさも加味されたのか、「威力にあたり、相当な手段とはいえない。現実に業務妨害の結果を生じた」と述べ、検察側が求刑していた8ヶ月の懲役刑ではなく、20万円の罰金刑を言い渡した。

 卒業式の開会を2分間遅らせた罪は、確かにある。もっと違った訴え方があったかも知れない。しかし、事の本質は、国旗・国歌という内心にも通ずるデリケートな問題が、東京都では強要されているところにある。

 藤田先生は即控訴、とのことだが、国旗・国歌にしても、いま審議されている「愛国心」にしても、なぜか日本の為政者たちは、そもそも個人の心の問題を「法」で縛ろうとしているように見えて仕方がない。

 国旗を掲げないからあいつには「忠誠心」がない、国歌を歌わないからあいつは「非国民」だ、などというアナグロ的な時代が、裁判のなかにも押し寄せてきているのだろうか。

 そうそう、東京都の教育委員会にしても、校長や教師に対する国旗・国歌の指導は、正面を向かないとか、歌う、歌わないといったところでの判断はしない。あくまでも、地方公務員法の「上司の命令に背いた」という罪である。つまり、校長の命令に従わなかった罪である。だからこそさきごろ、東京都教育委員会は学校における職員会議での「多数決」を禁止した。学校内では校長が一番偉く、多数決は馴染まない、という考えからである。

 こうして、そう、藤田先生への昨日の判決も含めて、やはり日本もどこかおかしな方向に向かっているのか、とつくづく思う。
 

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