それは名盤「ハチミツ」と「フェイクファー」で、どちらがスピッツの代表作かは甲乙付けがたいトコロだと思います。
スピッツは私が中高生の頃にキャリアの絶頂期を迎え、他にもミスチルやイエモン、グレイやラルクなども流行りましたが、世代を超えて幅広いファンを獲得しているスピッツは、特別な「妙なるアーティスト」だと言えます。
「ハチミツ」では「涙がキラリ☆」と「ロビンソン」が有名ですが、コアなファンならば「愛のことば」と「グラスホッパー」にも特別な思い入れを持つでしょう。
ここで言う「コアなファン」の定義としては、スピッツのデビュー作である「スピッツ」に特別な思い入れを持ち、そこで用いられている数々の「隠喩」を理解するコトを指します。
それはオープニング曲「ニノウデの世界」のサビで、「石の僕は空を切り取った」と歌われている類いの「隠喩」で、「石」は英語のストーンを意味しています。
「愛のことば」にもこうした「隠喩」が用いられており、草野正宗の詩が特別なBold(赤裸々)さを持つのは、上のコラムで述べられてる様な精神から来ているかと思えます。
この歌で正宗は、「愛のことば」を探し続けるコトが自分の使命だとしており、文章だとキザになり勝ちなのですが、私も彼に続きたいと思っております。
次に「フェイクファー」に移りますと、このアルバムでは「運命の人」と「楓」が人気ですが、やはりコアなファンにとっては「仲良し」と「謝々!」が外せません。
特に「仲良し」は、17才でアメリカ留学した時にシングルアルバムを10枚ほど持って行き、たまたま「運命の人」のB面に入っていて何度も聴いた思い出の曲です。
これはシンプルな「弾き語り」に近い曲で、草野正宗の「味」が一番良く出ていると思います。
「謝々!」はかなり後に好きになった曲で、中国を旅してそこの人々の「温もり」を肌で感じられたコトも関わっています。
最近の日本人アーティストで中国語を用いている例は非常に珍しく、逆に英語は氾濫しております。
草野正宗は歌詞で英語を極力用いないポリシーを持っており、逆にフランス語や中国語は積極的に用いようとしています。
中国はアメリカよりずっと近く、予約無しで船に飛び乗れば行ける国です。
人々は我々と同じ見た目で、言葉と精神はかなり違いますが、まあメッタに外国人だとバレるコトはありません。
その為どこでも人々の中に気兼ねなく入って行け、何か文句を言われても「謝々!」と言っとけば大抵はごまかせます。
もしあなたが海外一人旅を初めてするのでしたら、アメリカやヨーロッパなんてとてつもなくハードルが高く、逆に中国は一番楽に旅が出来るコトは知っておくべきでしょう。
話が脱線しましたが、「愛のことば」と「謝々!」はスピッツを知る上で外せないマスターピースですので、ぜひとも聴いてコアなファンに成って下さい。