真の動物福祉牧場を目指して

賛否の別れる中国故郷(グーシャン)文学

 故郷文学というのは、共産革命下の中国で唯一栄えた文学です。
階級闘争は中国では農民一揆に等しかったので、都市の文化は否定されて農村文化が美化されました。

 こうした共産主義社会が生んだ文化を、特別にねじ曲がった病んだモノとする考えが、我々の資本主義社会では主流になっておりますが、はっきり善悪を決定するのは人間の技ではない気もします。

 残念ながら、故郷文学は共産党の検閲を免れなかったので、地主や富農を駆逐した土地改革を善と決定しており、国家の物である農地と収穫物に対し権利を主張する人間を悪と決めつけています。

 日本語に訳されているモノでは、中国で300万部のベストセラーになった「艶陽光(浩然)」が有名で、これは文化大革命当時に発表され日本でも大いにプロパガンダ効果を発揮しました。

 浩然は農村出身の作家で真に故郷を愛し描いたので、日本の左翼(アナーキスト)や共産主義者からは特に絶賛されました。
 しかしそんな浩然ですら、大躍進時代の農村の悲劇については書けず、そうした面から党の政策を絵解きした作家に過ぎないと批判される向きもあり、中国と台湾では作品の賛否が別れております。

 私はちょっとアンチ都会派の向きがあるので、素朴な故郷文学は大好きです。
 日本では武者小路実篤や宇野千代などがそうした実直な文学を残しており、特別な愛着を覚えます。
 浩然の文学にもそうした実直さがあり、革命当初の中国を描いているので土地改革の歴史を農民の視線から知る事が出来ます。 私はまだ最近読み出したばかりなのですが、「郷」の章を書く上ではとても参考になるでしょう。

 とは言っても物語のコンセプトは正反対で、私は豊かな農民こそが真に国を支えると考え、その豊かさを産む技術を司る富農の蔡恩諧を主人公として描きます。
 次回では彼の故郷の物語に入り、そこは「個人農業の牙城」と呼ばれた福建省の農村が舞台で、富農達がいかにお上の押し付けた集団農業に対峙したかを描きます。
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