ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

フクシマ処理水をめぐる中国へ反論

2023-08-23 10:50:40 | 日記
う〜む、さっぱり解らない。
きのうの朝日新聞のコラム「天声人語」に、こんなことが書かれていた。


福島第一原発の処理水について、中国政府は『安全ならば、海に流す必要はない』などと、放出に反対している。安全な水なら、捨てずに使い道があるだろうと言いたいらしい▼水不足に悩む国では通用するかもしれないが、ひどく乱暴な主張である。
(朝日新聞6月22日)


フクシマ処理水は安全だ、心配する必要はない、と日本政府は主張しているが、ホントに安全なら、この処理水をわざわざ海に放出する必要はないではないか。フクシマ処理水を海に放出するのは、これが安全でない証拠だ、ーー中国政府はそう主張して、フクシマ処理水の海洋放出に反対しているというのだ。
コラム「天声人語」は中国政府のこの主張を「ひどく乱暴な主張」だと一蹴しているが、私はそうは思わない。
この主張はズバリ正鵠を射たしごくまっとうな主張だと感じている。「天声人語」がこの主張を「乱暴な」主張だとみなす理由が私には解らない。


「乱暴な」主張かどうかはともかく、フクシマ処理水の海洋放出を是とする我々としては、これにどう反論すればよいのだろうか。それを考えてみたい。
一番手っ取り早い効果的なやり方は、このフクシマ処理水をぐびぐび飲んでみせることだが、いくらパフォーマンス好きの麻生太郎・自民党副総裁でも、これには二の足を踏むことだろう。


では、そういういかがわしいパフォーマンスを抜きにして、純粋に科学的な見地から中国政府の主張に反論するには、どうすればよいのだろうか。


A「処理水に含まれるトリチウムの濃度がa%以下なら、人体の健康に及ぼす影響はない。フクシマ処理水に含まれるトリチウムの濃度は、a%以下である。よってフクシマ処理水は人体の健康に悪影響を及ぼさない。」


この論法Aには、だが致命的な欠陥がある。何%以下なら健康に悪影響を及ぼさず、何%以上なら健康に悪影響を及ぼすのか、その線引きの基準が科学的なエビデンスを伴った形で検証されていないからである。


日本政府がAのような主張をしたら、中国政府はこう切り返すだろう。
「よろしい。だったらフクシマ処理水は安全なはずだから、海に流す必要はないはずだ。岸田総理、ひとつあなたが一口処理水を飲んでみて、その安全性を実証していただきたいものだ。それまでは、我々はフクシマの海産物を禁輸することにしたい。」


こうして議論は堂々巡りとなり、いつまでも埒が明かない。


日本政府は中国政府に対して「科学的な根拠に基づかない主張は受け入れられない」と抗議するだろうが、科学的な根拠に基づいた反論ができないのでは、日本政府の抗議は説得力に乏しいと言わなければならない。そうではないだろうか。

コメント
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