ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

韓国動乱のゆくえ(その2)

2024-12-19 08:51:04 | 日記
(承前)

「破廉恥な従北反国家勢力」によって自由韓国は蝕まれている、ーーこの尹大統領の見方は、はたして被害妄想の所産なのかどうか。この問題を考えてみたい。

朝日新聞は先日、ユーチューバーの介在を指摘して、次のように書いている。

韓国の極右のユーチューバーらは、2020年の総選挙から『不正選挙』を主張。現政権の保守系与党・国民の力が大敗した今年4月の総選挙を含め、『北朝鮮や中国のハッキング攻撃による不正』が行われたと主張してきた。尹氏がこうした主張に影響を受けたのではないかとも指摘されている。
(朝日新聞12月15日)

なるほど。ユーチューバーは「根拠のないデマや陰謀論をふりまく妄想オタク」という印象が強い。そうした「根拠のない印象」に基づけば、尹大統領の見方はたしかに「被害妄想」じみた思い込みだということになる。
根拠のない思い込みによって権威主義的な「非常戒厳」の鉈(なた)を振りかざし、民主主義の手続きを放り投げたのだから、尹大統領は民主主義を破壊した大罪人だということになるのだろう。

だが反対に、もしユーチューバーの言説が根拠のないデマではなく、ズバリ核心を突いているとしたら、どうなのか。韓国の民主主義は、北朝鮮や中国の策略によってすでに救いがたく破壊されている、ということになる。

北朝鮮や中国の策略によって政権与党「国民の力」が少数与党に転落した以上、「数の力」が物を言う民主主義の手続きに訴えても、勝ち目はない。
だからこそ尹大統領は「非常戒厳」という非常手段に訴えたのだろう。

韓国の国会が尹大統領の弾劾(だんがい)訴追案を可決した今、尹大統領がとったこの「非常戒厳」という非常手段の、その正当性は民主的な「数の力」によって完膚なきまでに否定されてしまった。
残された道は、憲法裁判所でこの正当性がどう判断されるかである。尹大統領はその最終舞台での闘争に望みをつないでいる。

私が懸念するのは、この憲法裁判所でも尹大統領の主張の正当性が否定され、彼の職務権限が剥奪された場合である。(韓国世論の大勢を向こうにまわし、これまで対日融和策をとってきた)尹大統領が失脚すれば、日韓関係は元の木阿弥で再び悪化し、(バイデン米大統領が主導してやっとこさ構築した)「日米韓」の軍事同盟はあえなく瓦解することになる。
そうなれば、尹大統領が心配した通り、また、日本の石破首相が心配する通り、中国や北朝鮮が跋扈(ばっこ)し、猖獗(しょうけつ)を極めることになる。
日本は、好戦的な中国・北朝鮮に対抗するかけがえのない盟友を失うことになるのである。

(つづく)

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