その日、私は衝撃的な映像に釘づけになった。2月28にホワイトハウスで行われた、トランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領との首脳会談である。そこで交わされた激しい口論は、二人の心づもりの違いを浮き彫りにした。
損得勘定にこだわるトランプ大統領と、〈正義〉にこだわるゼレンスキー大統領との違いである。
損得勘定にこだわるトランプ大統領と、〈正義〉にこだわるゼレンスキー大統領との違いである。
(〈正義〉にこだわる)ゼレンスキーの態度が(損得勘定にこだわる)トランプ大統領を苛立たせた格好だが、センセーショナルなこの「事件」に対する米国民の反応も、トランプと同じく「ゼレンスキーはけしからん」だったようだ。「やつは無礼だ!」、「大金をつぎ込んで、ウクライナを支援してやっているのに、感謝の念がない!」等々。
ヨーロッパ各国の首脳たちの受け止め方は、だがこれとは明らかに違っている。この「大事件」の後でも、ヨーロッパの各国首脳はゼレンスキーへの変わらぬ支持を表明した。
フランスのマクロン大統領は、次のように述べたという。
「侵略者がいる。それはロシアだ。被害者がいる。それはウクライナだ。私たちが3年前にウクライナを助け、ロシアに制裁を課したのは正解だったし、それを継続することも正解だ。」
ヨーロッパ各国の首脳たちの受け止め方は、だがこれとは明らかに違っている。この「大事件」の後でも、ヨーロッパの各国首脳はゼレンスキーへの変わらぬ支持を表明した。
フランスのマクロン大統領は、次のように述べたという。
「侵略者がいる。それはロシアだ。被害者がいる。それはウクライナだ。私たちが3年前にウクライナを助け、ロシアに制裁を課したのは正解だったし、それを継続することも正解だ。」
この言葉に示されるように、ゼレンスキーを支持し、トランプを退ける理由は、やはり〈正義〉の如何なのだ。
問題を複雑にしているのは、それでもアメリカが圧倒的な経済力・軍事力を保持していることである。〈正義〉にこだわるゼレンスキー大統領が、怒りを胸におさめながらも、トランプの意に従わなければならない所以である。
ロシアの軍事的脅威にさらされているヨーロッパ諸国の、その首脳たちにとっても、(アメリカの軍事力に頼らざるを得ない、という)事情は変わらない。
だが、その事情も変わりつつあるのではないか。前回のブログで、私はフランス・マクロン大統領の言説をとりあげた。
「マクロン大統領は『アメリカが私たちの味方であり続けると信じたい。しかし、もしそうでなくなった場合にも備える必要がある』と述べ、フランスを含むヨーロッパ各国が防衛力を強化し、ウクライナへの支援を継続する必要があると強調しました。」
もうトランプの気まぐれな言動に振り回されるのはご免だ。我々はアメリカ抜きでもやっていけるように、防衛力を強化しようではないか。ーーこのマクロン大統領の訴えが各国首脳の共感を得て、防衛力強化の構想が現実のものになるようなことがあれば、トランプ大統領ももはや気まぐれな言説を振りまくことができなくなるに違いない。
(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます