56年宣言基に平和条約目指す
【モスクワ共同 平成31年01月23日】
ロシアのプーチン大統領は22日、安倍晋三首相との首脳会談後の記者発表で、歯舞、色丹2島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言に基づき平和条約締結交渉を行い、条約を締結する意欲を日ロ間で確認したと表明した。日本への2島引き渡しの用意を示唆したものとみられる。
昨年11月に両首脳は同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意したが、プーチン氏は日本からの経済協力強化を条件に、2島返還で決着させる方向性をにじませた。
【 所 感 】
※安倍総理・プーチン大統領 日露首脳会談後 共同記者会見【全編ノーカット】
プーチン大統領の演説内容では、経済分野における日本の役割やこれまでの成果というものを、ロシア国民にアピールすることで日ソ共同宣言に基づいた日ロ平和条約締結への実現を示唆したものと思われる。重ねて日本国民に対しては、領土問題や歴史問題においての認識の違いというものを克服し、平和条約締結(領土問題解決)に向けての努力を怠ってはならない、と訴えているようにも感じた。
しかしながら安倍総理の演説内容には、我々日本国民に向けての言葉が全くといっていいほど皆無であり、その言葉のほとんどが経済界に向けてのアピールでしかなかったことに不快さを感じてしまった。あくまでも経済協力や人的交流を柱とした形での平和条約締結への"夢"を語るばかりで、そこに政治的要素というものが全く感じられないのである。
そんな中日本国内では、色丹・歯舞諸島の二島返還が正しい選択なのか、それとも択捉・国後も含めた四島返還が正しい選択なのか、はたまた千島列島全域と南樺太も含めた四島プラスαが正しい選択なのか、といった形で民意が完全に分かれてしまっている現状において、安倍政権が担う役割というものは極めて重大であり、しっかりとその責任を果たしていただきたい。
筆者はこれまでずっと、四島返還論を支持してきた立場であったが、しかしこれだけ世界情勢というものがめまぐるしく変化する中にあって、ロシアとの平和条約締結を一日も早く実現しなければならないと考えるに至り、不本意ながらも1956年の日ソ共同宣言に基づいた形での領土問題や歴史問題を克服しなければならないと考えるようになった。
しかも日ロ関係というものが、現在の日米関係のような深い関係になってさえいれば、いつだって択捉や国後にも渡れるわけで、元島民の方々の立場になって考えてみれば、自由に故郷へ帰ることもできない状態が幾年も続いているというのは、極めて残念な想いであったろうと思うのである。
とにもかくにも、元島民の方々が一日も早く故郷へ帰られることを願うのであれば、そして日本の平和と安定を願うのであれば、ロシアとの平和条約締結に向けた意思というものを、国民ひとりひとりが示さなければならないと考える。
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