論語を現代語訳してみました。
泰伯 第八
《原文》
子曰、狂而不直、侗而不愿、悾悾而不信、吾不知之矣。
《翻訳》
子 曰〔のたま〕わく、狂〔きょう〕にして直〔ちょく〕ならず、侗〔とう〕にして愿〔げん〕ならず、悾悾〔こうこう〕として信〔しん〕ならずんば、吾〔われ〕 之〔これ〕を知〔し〕らず。
《現代語訳》
孔先生はまた、次のようにも仰られました。
学ぶことへの意欲が人並み外れでも、なにか別のことを想うがあまり集中ができず、慎んでいても純粋さがない、誠実そうであっても信念がない、とすれば、私が詩や楽(=琴)を学びきることはなかったであろうな、と。
〈つづく〉
《雑感コーナー》 以上、ご覧いただき有難う御座います。
孔子は、詩や楽(=琴)を学ぶ上でもっとも大事な要素として、集中・純粋さ・信念の三つを上げられたんだと思われますが、まさに詩や音楽というのは、その情景までもが浮かんできて初めて、読んだり聞いたりした人の心にまで響くといいますからね。そういう純粋さというのは、人間として大切な心のひとつともいえましょう。
※ 孔先生とは、孔子のことで、名は孔丘〔こうきゅう〕といい、子は、先生という意味
※ 原文・翻訳の出典は、加地伸行大阪大学名誉教授の『論語 増補版 全訳註』より
※ 現代語訳は、同出典本と伊與田學先生の『論語 一日一言』を主として参考