空が蒼く澄み渡る休日。
少しお洒落をして古いフェアレディZに乗り込み、久々にエンジンへ火を入れる。
しばらく動かせていなかったからなのか、少しばかり乾いた発火音が続いたあと数発の爆発音を経てからエンジンに火がともる。
忘れかけていた轟音が、僕の心を大きく揺さぶる。
しばらく余韻に浸りつつチョークを緩めた左手が、急がんばかりにシフトレバーのギアを入れ、それに続けと手足が勝手にアクセル、クラッチ、ステアリングを操りながら車体を緩やかに動かし始めた。
重低音のサウンドを響かせながら路地を抜け、国道に続く信号が青へと変わると、まるでブラックアウトしたかの如くアクセルを踏み込んだ。
最近お気に入りにしている「THE KILLS」のCDと、L型6気筒エンジンが織り成すハーモニーが、僕の中に宿るロックの魂を呼び覚ます。
「イエー!!!!!! Fuck You !!!!」
そしてフロントガラスの向こうに広がる壮大な海を見渡した次の瞬間、僕はとてもFuckな事実に気が付いた。
「やべっ、車検が切れてる・・・」
僕は早速その足で、バイク屋をやっている知り合いの店へ赴いた。
「うぃっす、久しぶりーっ。突然で悪いんだけど、コイツの車検できる?」
「ちぃーっす。ユタカさんお久しぶりっす。全然OKっすよ」
彼は僕より9つ年下で、キッカケは忘れてしまったが随分前からの知り合いだ。
全身に所狭しとタトゥーが掘ってあり、見かけはワルだがいいやつである。
古い鉄工所だった倉庫を直して使っている店のドアは、スプレー缶を使ったスラッシュアートで彩られ、まるでアメリカのスラム街を彷佛とさせている。
そして店の前には、金髪のおかっぱ頭でマブタあたりにピアスをした若い女の子や、ゴツイ体格でいかにも喧嘩が強そうなタトゥーだらけの男の子。
そしてバイクが多く置かれた倉庫内には、大音量でロックが流れている。
う~ん。。相変わらずワルよのぉ。
しかし店の入り口頭上には、数年前に「バイク屋を始める」と言った彼の為に作ってあげた小さな看板が、さりげなく飾ってあった。
なんだか嬉しい。
それにしても彼は僕と話をする時、昔から口癖のように必ず言う台詞がある。
「ユタカさんって、相変わらずイカレてるっすよ!」
僕はイカレてなどいない。普通のおじさんだ。
それに、どう考えても君の方がイカレている。
と、いいつつも、理由はよく解らないが何となくリスペクトしてくれているようだ。
何はともあれ数年前、ボロいバイクを必死で探しては奇麗に直し、ネットオークションで売れては大喜びして子供のようにハシャいでいた10代の頃の彼を思うと、ボロではあるが広い倉庫を借り、10数台のバイクを並べて忙しそうに仕事をしている彼が、妙にたくましく見えた。
そんなことを想いながら彼のもとに愛車を置いて家路についた僕は、何だか親のように嬉しい気持ちになれたのだった。
数日後、僕は彼からの電話で愛車を取りにいった。
「ユタカさんのこのZ、なんかメッチャ有名じゃないっすか」
「え?知ってる人、来た?」
「みんな知ってますよ。乗ってるユタカさんの事も」
考えてみれば僕は過去にハードなロックのボーカルや、ロックDJとして各地でワルなキッズを相手にハシャいでいた。
どうやらその店に来るようなちょっぴりイカレた若者達の中にも、そのライブやイベントで一緒にハシャいだ子達が多くいたようだ。
そして40歳になろうとしている現在でも、この目立つフェアレディーZに乗り、アフロになったりモヒカン頭になったりと、客観的に観たらアホまっしぐらな僕の姿勢が、この若者達にウケているようである。
「ユタカさん、相変わらずイカレてるっすよ!」
うん。。僕って、すこしイカレているのかもしれない。。
いや、そんな事はない。
最近なんて真面目に仕事のことも考え、中小企業家の集いなどにも積極的に参加してるぐらいだし・・・アフロで。。
いや、アフロは先日卒業した。今はソフトモヒカンだ・・・。。
うん。。イカレてなどいない。。
僕の周りの人々に比べたら可愛いものだ。
普通、バンザイ!
少しお洒落をして古いフェアレディZに乗り込み、久々にエンジンへ火を入れる。
しばらく動かせていなかったからなのか、少しばかり乾いた発火音が続いたあと数発の爆発音を経てからエンジンに火がともる。
忘れかけていた轟音が、僕の心を大きく揺さぶる。
しばらく余韻に浸りつつチョークを緩めた左手が、急がんばかりにシフトレバーのギアを入れ、それに続けと手足が勝手にアクセル、クラッチ、ステアリングを操りながら車体を緩やかに動かし始めた。
重低音のサウンドを響かせながら路地を抜け、国道に続く信号が青へと変わると、まるでブラックアウトしたかの如くアクセルを踏み込んだ。
最近お気に入りにしている「THE KILLS」のCDと、L型6気筒エンジンが織り成すハーモニーが、僕の中に宿るロックの魂を呼び覚ます。
「イエー!!!!!! Fuck You !!!!」
そしてフロントガラスの向こうに広がる壮大な海を見渡した次の瞬間、僕はとてもFuckな事実に気が付いた。
「やべっ、車検が切れてる・・・」
僕は早速その足で、バイク屋をやっている知り合いの店へ赴いた。
「うぃっす、久しぶりーっ。突然で悪いんだけど、コイツの車検できる?」
「ちぃーっす。ユタカさんお久しぶりっす。全然OKっすよ」
彼は僕より9つ年下で、キッカケは忘れてしまったが随分前からの知り合いだ。
全身に所狭しとタトゥーが掘ってあり、見かけはワルだがいいやつである。
古い鉄工所だった倉庫を直して使っている店のドアは、スプレー缶を使ったスラッシュアートで彩られ、まるでアメリカのスラム街を彷佛とさせている。
そして店の前には、金髪のおかっぱ頭でマブタあたりにピアスをした若い女の子や、ゴツイ体格でいかにも喧嘩が強そうなタトゥーだらけの男の子。
そしてバイクが多く置かれた倉庫内には、大音量でロックが流れている。
う~ん。。相変わらずワルよのぉ。
しかし店の入り口頭上には、数年前に「バイク屋を始める」と言った彼の為に作ってあげた小さな看板が、さりげなく飾ってあった。
なんだか嬉しい。
それにしても彼は僕と話をする時、昔から口癖のように必ず言う台詞がある。
「ユタカさんって、相変わらずイカレてるっすよ!」
僕はイカレてなどいない。普通のおじさんだ。
それに、どう考えても君の方がイカレている。
と、いいつつも、理由はよく解らないが何となくリスペクトしてくれているようだ。
何はともあれ数年前、ボロいバイクを必死で探しては奇麗に直し、ネットオークションで売れては大喜びして子供のようにハシャいでいた10代の頃の彼を思うと、ボロではあるが広い倉庫を借り、10数台のバイクを並べて忙しそうに仕事をしている彼が、妙にたくましく見えた。
そんなことを想いながら彼のもとに愛車を置いて家路についた僕は、何だか親のように嬉しい気持ちになれたのだった。
数日後、僕は彼からの電話で愛車を取りにいった。
「ユタカさんのこのZ、なんかメッチャ有名じゃないっすか」
「え?知ってる人、来た?」
「みんな知ってますよ。乗ってるユタカさんの事も」
考えてみれば僕は過去にハードなロックのボーカルや、ロックDJとして各地でワルなキッズを相手にハシャいでいた。
どうやらその店に来るようなちょっぴりイカレた若者達の中にも、そのライブやイベントで一緒にハシャいだ子達が多くいたようだ。
そして40歳になろうとしている現在でも、この目立つフェアレディーZに乗り、アフロになったりモヒカン頭になったりと、客観的に観たらアホまっしぐらな僕の姿勢が、この若者達にウケているようである。
「ユタカさん、相変わらずイカレてるっすよ!」
うん。。僕って、すこしイカレているのかもしれない。。
いや、そんな事はない。
最近なんて真面目に仕事のことも考え、中小企業家の集いなどにも積極的に参加してるぐらいだし・・・アフロで。。
いや、アフロは先日卒業した。今はソフトモヒカンだ・・・。。
うん。。イカレてなどいない。。
僕の周りの人々に比べたら可愛いものだ。
普通、バンザイ!
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