ラヂオ惑星モルファス

俳句・・・『的礫』から④



空蝉の背の古傷の吹かれけり西嶋あさ子

あれだけ暑かった日々も終わり、セミの声も聞こえなくなりました。私が住んでいるのは内陸部ですので、気象台はなくロボットアメダスしかありませんが、おそらく40度程度の気温も記録していたはずです。
特別な庭ではないのですが門柱の側に少々太めの杏の木があります。今年もこの木の幹には蝉が群がっていました。鳴くのは1~2匹で残りの蝉は鳴かずに掴まっています・・・ということは雌でしょうか?
毎日柔らかい土が盛り上がっている木の周りだけでなく、敷石や小砂利を敷いたアプローチのあたりからも毎日蝉が生まれ、門柱につかまって羽化していました。なので、門柱には空蝉がいつも2~3個はありました。

羽化する蝉が殻を抜け出た「背の古傷」がぱっくりと割れて朝の少し涼しい風に吹かれています。まるで自分の過去の「古傷」があらわになったようです・・・

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