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ラヂオ惑星モルファス

理解し合えるのか?

2月の24日に更新して以来、しばらく更新していませんでした。一つには93歳になる母親の認知症の為でもあります。医師から処方された薬を飲むことも忘れています。熱が出たり明らかに身体の具合が悪ければ服用を忘れないでしょうが、認知症の進行を緩やかにする薬のようですから、薬を飲まないと行けない呑まなければ治らない・・・と言う意識が働かず飲み忘れるのも仕方ないかもしれません。

そして、とても気になる記事があって、そのことをまとめたいと思いつつなかなか出来なかったからでもあります。
その記事とは・・・2月26日の日経新聞に載った「うつろう韓国世論の底流」と題する韓国関係の有識者3人への取材記事でした。とりわけ、世宗研究所日本研究センター長の陳 昌洙 氏の「異なる法律感覚 誤解生む」という発言が大いに気になったのです。気になった部分を引用します、つまみ食い的になってしまうのはご容赦ください。

『慰安婦合意を日本は破棄状態と思っているが、韓国政府は財団の残り約150億ウオンの使い道を日本と一緒に考えようと話しているので、破棄ではない。再交渉は要求しないが、日本が真心を込めた謝罪をするのが一番の解決の道だと言っている。』
『法律に対する感覚が韓国と日本では違う。日本人は法律を守ることに重きを置く。韓国人は法律が間違っていたら、改正し良い方向に持って行こうとする。・・・・・このため前の政権が間違ったことをすれば、直すのが当たり前と思う。日本から「法律を守っていない」と誤解される部分だ。』
他にも気になる部分がありますが、際だって気になるのは上記の2カ所です。

ここで思い出したのは、佐藤優氏が池上彰氏との対談「新・戦争論」の中でイランのことに言及した部分です。『佐藤 ・・・約束をしたら守る、「合意は拘束する」というのがローマ法の原則として決まっているでしょう。それが西側社会の原理になっている。しかし、「約束はしたけれども、約束を守るとは約束していない」というのが含まれると、メタ理論が入ってきてものすごい複雑系になります。』

ここではたと気がついたのです。福沢諭吉の『脱亜入欧』を待つまでもなく、日本人は武士道の時代から「いったん約束したらその約束は守るべきものとして約束した当事者を拘束する」と言う考え方に立っていると思います。
ですから、明治維新においても、西欧人との間にそれなりの信頼関係を構築することが早く出来たのでしょうし、その後の条約改正にも真剣に約束事を見直していく態度をとり続けたと思います。

しかし、韓国は、敢えて言えばローマ法の支配する西欧的な合理主義の国ではなく、飽くまで『アジア国家』であり、西欧的論理は基本的に通じない・・・と考えるべきなのだと思います。

『法律が間違っていたら、改正しよい方向に持って行く・・・』とは、日本人からすれば恐れ入った論理です。間違っている、と誰が判断するのでしょうか?そのように判断する立場の人もいれば違う立場の人もいるでしょう。権力を握った側にいる人がそれ以前の権力者の作った法律を「間違っている」と判断したら『良い方向・・・』すなわち、『自分達の都合の良い方向』に直して良い・・・ということでしょう。
従って、国家間の約束であっても、「間違って」いれば従う必要は無い、わけなのでゴールポストを動かす・・・のは西欧的な考え方からすればとんでもないことではあっても、韓国の人々には通常の論理の中に入っていることになります。

もう一つ気になるのは、知日家と目される人も『日本が真心を込めた謝罪をするのが一番の解決の道』と考えていることです。これまでの日本の対応・・・河野談話や村山談話・・・時の総理大臣の発言・・・も真心がこもっていない、と断じている訳です。やはり国会議長の発言が正直な真意なのでしょう、要は極めて情緒的な話しで「手を握って涙をぼろぼろ出してなければも心がこもっていない」ということだろうと思います。
つまりここでも、脱亜入欧して西欧的合理主義に片足・・・飽くまで片足・・・を突っ込んだ日本とは論理構造の異なる、アジア的な情緒を重要視しているのだ、と言うことだと思います。

これからの韓国との付き合い方は、韓国人はこうした情緒的な人間であること、約束したらその約束を守るという約束が必ず必要だということ、アラビア半島から朝鮮半島までは巨大なアジアの大陸であってほとんど共通する論理感を持っており、日本はアジアにカテゴライズされてはいるが、実は韓国やアジアから見れば西欧的な理屈を振りかざす異端の国である、ということを自覚しなければならないかもしれません。

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