今夏2日目となる夏休みをとり、草紅葉の月山見たさに一人で登ってきた。
東日本大震災から1年半が経過。
自分なりの慰霊の思いもあった。
やはり平日だと少ないのか、姥沢の駐車場には10台くらいの車。
ここから見える山々は、濃い緑のまま。
リフトで上に登り、まずは姥ヶ岳へ。
草紅葉は始まったばかり。
あいにくガスっていて、朝日連峰や鳥海山の方向は良く見通せない。
▲月山山頂の方角
金姥~牛首を経由し、月山山頂を目指す。
とにかく暑い。
時折吹き抜ける風がこんなに気持ち良いものとは久しぶり。
▲リンドウ
▲姥ヶ岳からの道(白いのは残雪)
※中央左手方向に延びる道は、リフトへのものと姥沢小屋側へのもの
当方の先を行く登山者は一人。
静かでゆったりとした時間が流れる。
牛首に着いたあたりからは、リフトから直行してきた登山客が多くなってきた。
ここの岩場の登りは、足元がしっかりしているとはいえやはりキツイ。
山頂神社ではお祓いを受け、参拝。
御祈祷を受けている女性の傍らから、こちらは神妙に手を合わせる。
三角点を確認したり、少し早目の昼食をとったりと、だいぶ長めの休憩をとる。
▲ハクサンイチゲの花と月山神社
▲残念、鳥海山は見えない!!
▲湯殿山方角
▲神社裏のアザミの群落
胎内岩の方向を散策の後は、下山開始。
それにしても、山並みは美しい。
紅葉していたのならなおさらであったろう。
▲胎内岩付近の巨石群
▲巨石の彼方に見える雁戸山
牛首まで戻り、リフト側ではなく、徒歩での下りを選択。
ここの道は、大部分が木道。
▲左手が姥沢小屋方向への道
しかし、かなり下ったところで衝撃的なことに出会ってしまった。
道は土に変わり、低灌木の間を抜ける先はカーブしていて見通せない。
風でこすれる木々の出す音に混じって、聞こえてきた不気味な音。
“シュ、シュー”
“ザザー、ザザー”
「熊か!!」
「こちらを威嚇している? 木の幹を爪で引っ掻いている?」
先ほどから着けた熊よけ鈴を思い切り鳴らし、声を出したりしてもその音は消えない。
「何これ? 退散してくれないの?」
「エサ不足で今年の熊はやせ細っている。通常、熊一頭が生息するために必要とされるエリアは40平方キロ。エサ不足のときは100平方キロ。熊も大変な状況?」
しかし、だれもこの道を下ってくる気配がない。
われ一人でここを突破する度胸は、もとより無い。
仕方がない、来た道を戻ろうか。
方向転換をしかかったところに、一人の男性が降りて来た。
状況を話すと、それは“小屋に水を引くパイプの裂けたところから出る音”だと言う。
3か所あるとのこと。
「何、なに、ナニイ~!!」
“幽霊の正体見たり枯れ尾花”
“熊公の正体見たり裂けパイプ”ではないか。
それにしても、あまりにあまり。
判るようにしておいてくれなければ、分岐点までもどる覚悟のこちらは大変な目に遭うことになってしまうではないか。
安心したからではないが、雄宝清水の清らかで冷たい水の美味いこと。
ブナの巨木を見ながら姥沢小屋の後ろに出る。
立札には熊出没とある。
しかし、小屋に水を曳くパイプの出す音が、熊に似ているとの表記は無かった。
ホントに人騒がせな道を下って来たものだ。
心地よい山歩きも神妙な慰霊の思いも、“消沈”となってしまった。
▲歩いたコース
私も固まってしまいましたよ。(笑)
今年もわかっていたのに一瞬ギクリ!
本物が出たら笑い話にはならないので、早いとこ治してもらいたいものです。
紅葉の月山も魅力的ですね。
かつて最上海道(軽井沢越え)を歩いた時に、なかなか退散してくれないだけでなく、ものすごい鳴き声を発するクマと出会ってからは、ビビっています。今回もその時と同じかとつい思ってしまいました。
ホントに、この場所が”オオカミ少年”と同じにならなければいいですね。
今年3度目の月山は、木々の紅葉を楽しみに、来週にでも湯殿山コースで行ってこようと思っています。