旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

勤王の学者 菅野白華~宮城県塩竈市と兵庫県高松市の交流拡大への期待

2015-11-17 01:59:58 | 水の道逍遥
宮城県塩竈市の浦戸諸島の一つ寒風沢(さぶさわ)島には、幕末に海防急務と認識し、仙台藩が建造した西洋式軍艦『開成丸』の造艦碑がある。
その碑の撰文は、姫路藩の儒学者である菅野白華(すがのはつか)(1820.2.6~1870.3.8 享年51歳。諱(いみな)は潔(みさお)、字(あざな)は聖与、号は白華、通称は狷介(けんすけ))による。



(造艦碑と開成丸)


(寒風沢水道:右が寒風沢島、左は野々島 2010.10.11撮影)


この菅野白華は、軍艦建造の指揮を執りうる者は三浦乾也(みうらけんや)をおいて他にないと小野寺鳳谷(1809.1.19~1866.4.13 鳳谷は号。諱は篤謙、字は君鳴、謙治。)を通じて仙台藩に推挙した人物である。
また菅野白華は、仙台藩候や家臣とも多彩な人脈を持ち、交流も深い。

私にとって、この勤王の儒者と佐幕の道をたどった仙台藩とを結ぶ縁は、心惹かれるものであった。
「菅野白華についてもっと知りたい」という思いを常々持っていた。
またかつて、『幕末の鬼才 三浦乾也』著者の益井邦夫氏からは「高砂市では菅野白華顕彰が進められている。」といった情報もいただいていた。

そこで菅野白華に関する資料を求めて先月半ばに兵庫県高砂市教育委員会に問い合わせたところ、生涯学習課文化財係の方からまとまった資料を送っていただくことができた(その丁寧な対応に心から感謝している)。


ところで、高砂市観光協会(兵庫県)と塩釜市観光物産協会(宮城県)、高原町観光協会(宮崎県)がともに「日本三奇観光パートナーシップ宣言」をし、2014年7月1日に協定を締結している。
謎の建造物“日本三奇”とされてきた高砂市の「石の宝殿」、塩竈市の「四口の神釜」、高原町の「天の逆鉾」にちなむものだという。
協定書では観光情報の提供をはじめ、行事・イベントや特産品流通での協力などを掲げているとのこと。
これ以来、子供たちの派遣交流が始まっているようだ。

翻って、「矢を遠くまで飛ばしたかったら弓は引け」の如く「未来を見通しかったら歴史を掘り下げ、そして学べ」とは、広く世に知られる思考。
そこでどうだろうか。先の協定に基づく交流に、菅野白華と仙台藩との人脈、『開成丸』造艦、寒風沢島に関するものを組み入れては・・・。
仙台藩と姫路藩との諸々の交流の歴史は、現在も宮城県・兵庫県の友好関係の気脈になっているはず。
それぞれが人物や歴史に光をあて、それをもとに新たな人的交流の歴史を積み重ねていくことは、両市民、両県民のエトスethosの喚起につながり、観光情報の提供、イベントや特産品などといった表層的・面的な協力関係に“深み”を加えていくことにつながるのではないかと私は思っている。

今回高松市からいただいた資料を読みながら、両市、両県の友好関係のさらなる発展を切に願っているのだが・・・。

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