■ 2-2 甲状腺機能低下症
一定量以上の放射線に被ばくした後、数ヶ月の期間をおいて、
甲状腺の細胞死の結果として甲状腺ホルモンの分泌が減少することにより、
甲状腺機能低下症が発症する場合がある。
甲状腺機能低下症の発症は、放射線の確定的影響であって、
しきい線量が存在する。
そのしきい線量を超えた場合には、被ばく線量が増加するに従って
発生率が増加し、重篤度も高くなる。
現在、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)
並びに世界保健機関(以下「WHO」という。)では、
内部被ばくによる甲状腺機能低下症が発症すると予測される
しきい線量として甲状腺等価線量で、5Gyが提案されている(14,15)。
このしきい線量については、下方に、見直しが行われているところである(15,16)。
■ 2-3 その他の甲状腺疾患
マーシャル諸島における核爆発実験で生じた放射性降下物による
甲状腺被ばくの影響調 査(4,17)及び
チェルノブイリ原子力発電所事故調査(9)では、
小児の甲状腺良性結節の発症が報告されている。
一方、長崎の原爆被災者の最近の調査では、
甲状腺被ばくの影響として自己免疫性と考えられる
甲状腺機能低下症の発症も示されている(18)。
これら甲状腺疾患の発症に係る放射線被ばくとの関連については、
さらに検討が積み重ねられているところである。
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