資本主義のルールなき暴走に歯止めを

環境破壊、投機金融など、資本主義の暴走が目立ちます。ルールなき暴走に歯止めをかけなければ・・・。

民主党は、軍備拡大、弱肉強食路線か、軍備縮小、格差是正路線か?

2008-06-16 17:46:21 | Weblog
民主党は、軍備優先、弱肉強食路線か、軍備縮小、格差是正路線か?
■民主党代表 小澤一郎様 同代表代行 菅直人様、同幹事長 鳩山由紀夫様
四野党を束ねて、後期高齢者医療制度の廃止に向けて努力を重ねておられることに敬意を表します。しかし、このところの、問責決議案の採決に引き続く、欠席戦術、審議拒否の態度は賛成いたしかねます。
「世界」12月号所載の蒲島郁夫・大川千寿氏論文「福田康夫の研究」によると、小澤氏は、生活重視を唱え、従来のタカ派イメージから、ハト派イメージへとイメージ変更をされたことが、国民の支持を集める原因となっていると分析しています。しかし私たち一般国民からすれば、小泉、安部、痛み押し付け内閣から、福田無策内閣へという、いはば敵失による、民主党支持増であることは、依然として変わりありません。したがって、民主党の政権担当能力を見極めたいという気持ちは、ますます強まっています。
しかし、民主党の政権担当能力とは、自民党にすりより、物分りの良さを示すことではありません。むしろ、自民党との違いを明確にして、国民に選択を迫るのが、正道です。その意味で、小澤代表が、対決路線を取っておられのは首肯できます。
しかし、ここに来て、問責決議案をだし、その挙句、審議拒否の戦術をとることは、果たして対決路線を強化したことになるのでしょうか。思うに、小澤代表、菅代表代行、鳩山幹事長ともに、テレビ時代から、ネット次代への変化を十分に受け止めておられないのではないでしょうか。
小澤代表は、「政治は派閥のボス同士の話し合いによって決まる」との旧来の政治意思決定システムが、時代遅れになっていることを身をもって体得されました。従ってその後の民主党の運営は集団指導体制の強化を生み、そこに国民は、「政権担当能力」の強化を感じ取ってきました。しかし、時代はさらに先に進んでいるのです。
お隣の韓国では、つい100日ばかり前に、国民の歓呼の声に迎えられた李政権は、今や100万人のデモ隊によって包囲されています。当初高支持率で発足したフランスのサルコジ政権も、支持率低下に悩んでいます。外国の例をまつまでもなく、安部政権も、福田政権も、当初の高支持率からすべりおり、それが死に体内閣へと変わって行ったのです。安部氏も、福田氏も、党内の圧倒的支持を得て選出されたはずです。今や、政権執行能力は、党内の仲間内の評価ではなく、国民が、直接判断する時代へと変わってきました。
民主党が、イラク特措法の中止、日銀総裁人事拒否、道路特定財源の一般財源化など、従来であれば、マスコミのどっちもどっち論に抗しきれず、「大人の対応」で腰折れしたような重要案件を次々と乗り越え、その都度、民主党への支持が強まって行ったのは、強い国民の世論がそれを支えてきたからです。後期高齢者医療制度の問題もその典型です。もし、野党が、国民の運動と連動せず、主として議会内の力関係だけで、事を進めて行かれたら、「少子高齢化対策をどうするのですか」「財源問題を放置して、廃止法案だけだすのは無責任だ」との与党の反論に抗しえたでしょうか。堀内氏から始まって、中曽根、古賀と続き、党内からの批判が続々と火を噴き、今一歩で、与党は押し切られる寸前まできています。ところがここで、「問責決議案」を出すのは、応援団である国民のエネルギーを無視して、後は、議員だけでやるから、国民は、静観していてくれと言うのと同様です。
喩えですから、うまく言えませんが、今や政治の世界では、応援団も、選手も一体で頑張る時代に入っているのです。それが、21世紀型、ネット型の時代の民主主義のあり方です。中国もその例外ではあり得ないことは、チベット問題、オリンピック聖火問題、四川大地震問題をとっても、一方的な新聞やテレビ放送の時代から、ネットによる、庶民相互の情報交換が政治に影響を与える時代に移ったのです。
後期高齢者問題でも、ここで問責決議案をだすことは、いかにも対決姿勢を示すかのように見えますが、それは、これまで、野党の国会議員と、一体で反対運動を進めてきた、高齢者を中心とした国民を、反対運動の主役から脇役へと、落としてしまいました。
しかも、そこで、審議拒否を行うに至っては、民主党も所詮、高齢者の怒りを党利党略に利用しただけでなかったのかとの問いかけに発展します。民主党が、自民党に対抗して、二大政党の一方の極として、政権を奪取し、それを維持しようと本気で考えておられるのであれば、従来の間接民主主義に、直接民主主義的色彩をどちらが、どれだけ早く、深く、その方向を取り入れるかに勝負はかかっていることに、思いを致すべきだと思います。自民党はしたたかですから、万一、政権を離れても、忽ち、その教訓を読み取り、再び奪取に向かうでしょう。
今一つは、民主党が、敵失ではなく、実力で政権を奪取し、それを維持しようとすれば、自民党との対立軸を明確にしなければなりません。例えば、国家公務員改革法、宇宙基本法、少年法などが相次いで、民主党の共同提案で、一気に可決、成立しましたが、本当にそれでよかったのでしょうか。百歩を譲って、いずれも正しい判断であったとしても、国民の間では、多くの疑問のあるこれらの法律を、国民の前で十分な論議を交わすことなく、共同提案で成立させることは、国民の利益につながるでしょうか。これらの法律には、「天下りは本当に防げるのか」「宇宙軍拡につながらないか」「被害者側の出席は、少年に萎縮をもたらさないか」等々、さまざまな疑問があります。やはりもっと時間をかけて、丁寧な審議が必要であったと思います。衆参のいわゆる「ねじれ」が、マイナス要因ではなく、むしろ議会政治の進化と深化につながる機会であるだけに、いち早く、共同提案で切り抜けられたのは、国民的議論を避ける結果となり、残念と言わねばなりません。
オスロプロセスで、クラスター爆弾は99%禁止されるにいたり、米、ロ、中などをはじめ、保有国も、次第にその圧力を受け止めざるを得なくなるといわれています。その流れを作ったのは、仏、独、英などのヨーロッパの保有国でした。しかし、日本は最後まで抵抗し、遂に抗しきれず同意にいたりました。一方、昨年のインドネシア、バリ島での環境問題の会議でも、米国、カナダとともに、抵抗三人組と称され、福田氏は不名誉な「化石賞」をたてまつられました。
又、EUでは、非正規労働者の賃金その他の諸権利でも、正規労働者との均等待遇が、理事会で承認されました。ところがアメリカでは、労働組合を弱体化する産業が栄えているとのことです。日本では、トヨタ系の関東自動車の派遣労働者が無差別殺人事件を引き起こしました。
アメリカ、中国、ミヤンマーで、相次ぐ自然災害が人類を脅かしています。岩手・宮城地震は、少なくとも向こう30年間は地震の起こる確率は0%とされた地帯でM7級の地震が発生しました。温暖化防止対策、砂漠化、水資源の枯渇等々の環境問題、8億数千万に達する飢餓人口、サブプライム問題に発する、金融問題の解決等々、問題は山積しています。
ノウルウエーなどの、北欧、西欧などから発信される、非軍事化、社会保障充実、格差是正の方向に向かうのか、アメリカを中心とした、軍事大国化、格差放任の方向に向かうのか、世界はその分岐点にあります。
二大政党を目指すのであれば、このいずれの流れに乗るのかが問われます。後期高齢者の問題も、年金問題を含む、社会保障充実の問題も、消費税導入是か否かから始まり、米、中、ロと肩を並べて、軍事大国化の道に進むのか、北欧などとともに、非軍事化、社会保障充実の方向に向かうのか。企業の自由放任に任せるのか、一定の歯止めをかけるのかが、二大政党の政策的対立軸にならなければならないと思います。
国民の意識は、従来の枠を超えて、大きく広がろうとしています。民主党も、「世界」12月号が指摘しているような、小澤氏のタカ派からハト派へのイメージチエンジをさらに大きく超えて、世界史的な立場で、国民の前に姿を示されることを期待したいと思います。