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国立新美術館 ロビーコンサート「弦楽四重奏の魅力」

2018年09月10日 | 舞台・音楽会

国立新美術館で開催された、ロビーコンサートに行ってきました。

暮れなずむ空と、ほんのり灯りが透けた建物のコンビネーションが美しい。この時間帯に美術館に来ることはめったにないのでなんだか新鮮でした。私が着いた時にはすでに立ち見が出ていましたが、幸い席を見つけることができてほっとしました。

国立新美術館のロビーで不定期に開催されているコンサート。今回は、音楽の楽しみ「弦楽四重奏の魅力」と題し、大山平一郎さんヴィオラを中心に、水谷晃さん(ヴァイオリン)、土岐祐奈さん(ヴァイオリン)、辻本玲さん(チェロ)による透明感あふれる伸びやかな演奏を楽しみました。曲目は

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番ハ短調 作品110 (1960)
ボロディン:弦楽四重奏曲第2番ニ長調 (1881)

実はこの日、夏の疲れが出て体調が今ひとつだったので、内心「ショスタコーヴィチか...でもまあ、ボロディンもあるし」と思っていたのですが、結果としてはショスタコーヴィチ、とっても楽しめました。

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静かな不協和音からはじまる第1楽章から、間をおかずに演奏される激しい第2楽章へ。銀行から横領した大金をトランクに詰め込み、不安に怯えながらひたすら車を運転し続ける私...。ヒッチコックのサイコの主人公になりきりました。(注:サイコの音楽は、バーナード・ハーマンです)

ところがこの日いただいた解説を読むと、この曲はショスタコーヴィチが共産党に強制的に入党させられた直後に悲しみの中で作られ、表向きは「ファシズムと戦争の犠牲者の思い出に捧ぐ」となっていますが、実は自身へのレクイエムとして作られたそうです。第2楽章はサイコではなく^^; 共産党による粛清の嵐を表しているとのだとか。

そして後から知ったのですが、この曲にはショスタコーヴィチ(Dmitri Schostakovich) のイニシャル D-S(Es)-C-H、すなわち「レ・ミ♭・ド・シ」がテーマ音として織り込まれています。冒頭からこの音形が現れるので、思わずお~っとなりました。

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続いてのボロディンは、甘やかで美しい曲。この曲は、ボロディンが妻へのプロポーズから20周年を記念して作曲したそうです。なんともロマンティックな贈り物ですね。

どちらもロシアの作曲家ながら雰囲気はまったく違い、それぞれの個性が楽しめました。

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